9月1日に新刊『21世紀の「男の子」の親たちへ』が祥伝社から発売になりました。おかげさまで発売から3週間ですでに4刷がかかるほど好評です。

 

男子校の先生たちの金言を詰め合わせたような1冊なので、「男の子の親たちへ」というタイトルにしていますが、実は多くの内容は女の子の親御さんにも共通するものです。

 

今日は先生たちの金言のなかからお気に入りのエピソードを1つ紹介したいと思います。

 

私の大好きなある先生は日ごろから保護者に「栄養バランスなんて考えなくていいから、お弁当には毎日子供の好きなものを詰めてあげてください。それでももしお弁当を残していたら、それはなんらかのサインですからお子さんの様子を注意深く見てあげてください」と伝えているそうです。

 

私はこの話が大好きです。「お弁当」は親子関係の象徴だととらえることもできます。

 

親が「子どものため」を思って、良かれと思ってやってしまいがちな「ありがた迷惑」をユーモラスに牽制しつつ、親としてカチンと来てしまうときこそそれを子供からの何らかのサインだととらえて、子供の気持ちに寄り添ってあげてくださいというアドバイスです。

 

もしお子さんが「お弁当」を残して帰ってきたら、心配すべき可能性はいろいろあります。「お友達関係で何かあったのかな?」「部活で失敗でもしたのかな?」「先生に怒られたのかな?」……。でも一つの可能性として、親である自分自身が子供に対して過度な期待を寄せてはいないか、勝手な価値観を押しつけていないかということも、胸に手を当てて考えてみてください。

 

「這えば立て、立てば歩めの親心」とは、昔からよくいったものです。元気に学校に通っていれば「もう少しいい成績をとってきてほしい」と望み、そこそこの成績をとっていれば「できれば現役で大学に行ってほしい」と望み、受験勉強を始めれば「できれば一流大学」「できれば医学部」と思い始めるのが親心。

 

子供に期待するのは悪いことではありません。が、それが子供にとっては過度なプレッシャーになっていることも多いのです。

 

思い当たる節があるのなら、「自分だってたいしたことないのに、なに贅沢言ってんだ!」と自分を笑い飛ばしてみてください。自分がそんな贅沢を言っていられるのも、息子さんが立派にやってくれているからだということに気づいてください。そして、手を放して抱きしめてあげてください。

 

これもその先生のおっしゃっていた名言です。

 

思春期になったお子さんを本当に抱きしめちゃったら嫌がられます。本当に抱きしめるんじゃなくて、手を放して心で抱きしめるのです。

 

「え、どうやって?」と思うかもしれませんが、やってみると意外に簡単にできますから、だまされたと思って、リビングのソファでスマホでもいじって寝そべっているお子さんを、実際に手を放して抱きしめようとしてみてください。

 

生まれてからこれまでの成長が一気に脳裏に甦よみがえり、いま彼が抱える葛藤や不安や怒り、そんなものまですべてを含めて、心理的に抱きしめている気持ちになれるはずです。

 

すると、親としての自分のなかにあった不安や不満がすーっと消えていくのを感じられるはずです。それがわが子のありのままを受け入れるということです。子供を見守る苦しさに耐えられなくなりそうなとき、このことばを、ときどき思い出してみてください。

 

親でいることは日々不安との戦いですが、親の「不安に耐える力」が、子供の「自由に耐える力」すなわち自分の頭で考えて判断し手行動できるひとになることにつながるのです。

 

※2019年9月26日放送のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。