「うちの子、やる気がなくて、困ってるんです。どうやったらやる気になってくれるんでしょうか」という話をよく聞きます。この場合の「やる気」とはいわずもがな勉強に対するやる気であることが圧倒的に多い。その質問自体にいろいろ思うところはあるものの、一端それを脇に置いて、額面通りにお答えするならば、子供がやる気になるきっかけは大きく4つあると考えられます。
1 「儀式」を設ける
実は「やる気」はやり始めてから活性化することが、脳科学的にはわかっているそうです。「作業興奮」というのだそうです。だからやる気が湧いてきてから始めるのではなく、とにかく始めてしまえば、やる気はあとからついてくるということです。そこえ、とにかくやり始めるために、「儀式」のようなルーティンをつくってしまえばいいというわけです。とにかく机について、計算ドリルを一枚やるとか、心理的ハードルの低い「儀式」があれば、そこからエンジンがかかるはずです。
2 「やる気」のあるお友達から感染する
親や先生からけしかけられてもなかなかやる気になりません。でも仲の良いお友達ががんばっているのを見ると、子供は意外に単純に「自分もがんばろう!」と思えるものです。やる気がある子供たちが集まる場所に行くことで、やる気が感染する可能性は格段に高まります。塾に行って勉強をがんばるようになるのはその効果が実は大きい。いっしょに遊んでしまうということもままあるわけですが、それでも仲のいい友達がたくさんいれば、そのうちの一人でもやる気になれば、たちまちやる気の集団感染が起きる可能性だってあるわけです。
3 「こうなりたい」と思えるロールモデルを見つける
ノーベル賞をとった科学者に憧れるでもいい。宇宙飛行士やお医者さんに憧れるでもいい。近所のお兄ちゃんやお姉ちゃんが素敵な制服を着て学校に通うのを見て憧れるのでもいい。「ああなりたいな」と思える対象が見つかると、「よし、自分もがんばろう」と思えるようになる可能性があります。大概の場合は、「ああいいな」で終わってしまうものですが。でも、もしこのパターンで一度やる気に火が付けば、その火は割と長く燃え続けます。1の「儀式」はその日限りのやる気です。2の「お友達感染」に明確な目的意識があるわけではありません。でもロールモデルが見つかれば、人生において大きな目標ができます。子供ですから将来の夢がころころ変わることもありますが。
4 当たり前にできていることを褒められる
靴紐が結べるとか、人から親切にされたときに素直に「ありがとう」と言えるとか、勉強以外のことでも何でもいいので、その子が当たり前にできていることを褒めてあげると、子供の気持ちが前向きになり、いままでやったことのなかったことや難しいことに挑戦する意欲が湧きやすくなります。その子にとっては当たり前にできることって、本人もまわりもいちいち評価しないのですが、そういう足下の「すごいこと」を見つけてあげるのが子供を褒めるコツ。褒められれば子供は「その気」になりやすい。「その気」も継続すれば、そのうち「やる気」になります。
そもそも「やる気」ってなんでしょう? なぜ「やる気がない」とわかるのでしょう? 子供だって、サッカーやゲームにはやる気を感じているかもしれません。それなのに、親がそれを「やる気」と認めてくれないどころか、否定するので、やる気を隠してしまっているだけかもしれません。何かにやる気になっていたらほかのことにやる気を感じないのは当然です。
親が言う「やる気」とは、大概の場合、親にとって都合の良い「やる気」でしかありません。親にとって都合の良い「やる気」なんてはっきり言って幻想です。親にとって都合のいいやる気を引き出すことに必死になるよりも、子供のなかにあって表には出にくい静かな情熱に気付いてあげられる親になるほうが、本来的にはよほど大事です。
