12月18日に発売になりました拙著『親が後悔しない、子供に失敗させない 中学受験塾の選び方』(ダイヤモンド社)の中から、著者として気に入っているフレーズをいくつか抜粋して掲載します。



小学生に、「とにかく自分で考えて走り続けなさい」と言うことはほとんど拷問です。肉体よりも先に精神がやられてしまいます。「何かをしなければいけないプレッシャーをひしひしと感じながら、でも具体的に何をしていいのかが明確になっていない」というのは、人間にとって最もつらい状態です。
そこで、現在地からゴールまでの距離と方角を知っていて、期限までの日数で毎日走るべき距離を割り出し、ペース配分を考えてくれる「コーチ」が必要となります。それが中学受験塾の役割です。


本当にキツイのはラストスパートです。自分自身とのギリギリの戦いです。そこだけを切り取ると、中学受験は過酷なレースです。
しかし少なくともラストスパートまでの道のりは、ペースを守り、毎日着実に前に進むことが大切です。怪我をしないように気をつけながらできるだけ前進させ、同時に、ラストスパートのときに必要になる脚力を鍛えておかなければなりません。優秀なコーチは、絶妙なさじ加減で短期目標を与えてくれます。


子供の「視力」には差があります。「視力」がいい子は早めにゴールを「視野」にとらえることができますから早い時点からラストスパートにかかることができます。
「視力」の悪い子だと、なかなかゴールに気づくことができないかもしれません。この場合の「視力」とは、「目的意識」のことです。
意欲喚起教育とは、「視力」の悪い子には、少し遠くの風景を眺めさせ、少しでも「視力」を良くするようなものです。そうして自分のゴールがどこにあるのか、少しでも早く気づいてもらうのです。テストの点数をとらせるだけではなく、「目的意識」を盛り上げ、やる気を引き出すのも、コーチの重要な役割です。


塾の先生は他人だからこそ、親がわが子には言えないような臭いセリフを言うことができるし、親が見逃しがちな子供の成長に気づいてもあげられます。多くの塾で導入している「自ら学ぶ子」を育てるための意欲喚起系の取り組みは、家庭ではなかなかできないでしょう。親子の間ではどうしてもお互いに照れや遠慮が入ってしまうからです。


寿司職人にしても大工にしても、いい職人は、しっかりとした技とこだわりを持ちながら、状況に合わせた臨機応変なシゴトができるものです。それが本当の職人気質です。自分のやり方にこだわり柔軟性に欠けるのでは、本当の職人とはいえません。「職人気質」はいいけれど、「職人気取り」はダメということです。


親は、子供のことを思えば思うほど、間違った方法で子供を守ろうとしてしまう生き物です。だからこそ、塾という存在があるのです。集団塾だけではダメならば、個別指導塾や家庭教師の助けを得ることもできます。
複数の大人が見守ってくれているからこそ、子供は自らの将来を切り拓くための厳しい勉強にも耐えることができるのです。