政治のことには疎い私ですが、新しい大臣には、先ずは

エールを送るのがエチケットだと思っています。その意味で、

評判の悪かった前防衛大臣の後を受ける森本防衛大臣の

力量を見ずに批判するのは、ちょっと抵抗感があります。

 それでも防衛大臣は、日本国民にとっては、とても大切な

大臣です。国民一人ひとりの命が係っています。ですから、

儀礼的なセンスを用いてはならないことでもあるのです。


 世間も同じ思いなのか、早々と森本防衛大臣批判が公然

と湧きあがっています。その主張は、森本氏が政治家でなく、

民間人だということのようです。

 防衛大臣は政治家でなければならない、それがシビリアン

コントロールだと言うのです。森本氏が民間人であることが、

とても強調されています。

 私には、その論理が奇異に感じられてなりません。つまり、

森本氏が民間人だとは思えないのです。私は、元自衛官の

森本氏は政治家でも民間人でもなく、防衛大学出身の軍人

としか思えないのです。


 憲法第66条は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民

でなければならない」と規定しています。これこそ大日本帝国

の軍部が暴走したことの反省から、軍国主義復活を抑制する

文民統制の象徴なのです。

 森本防衛大臣の就任を批判するなら、元軍人が文民統制を

崩そうとしている点を指摘しなければなりません。民間出身だ

という観点での議論は、問題のすり替えのような気がしてなり

ません。


 このところ、素人防衛大臣の失態が目立っていましたが、何

か、意図的な臭いさえします。軍国主義の復活を目指す力が

働いていないか、妙な勘繰りを抱いてしまいそうになるのです。