最近リリースされた新譜から ㉖
ロトの新譜で、ブルックナーが出ていたので聴いてみました。ロトのブルックナーは、第7番、第4番に続く3曲目の録音になります。出るCDが全て話題になるロトですが、実は聴くのは初めてなんですよ(笑)。
【CDについて】
作曲:ブルックナー
曲名:交響曲第3番ニ短調 第1稿ノヴァーク版 (61:45)
演奏:ロト指揮 ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽曲
録音:2022年9月11-13日 ケルン Philharmonie (ライヴ)
CD:MYR033 (レーベル:myrios classics)
【曲について】
ブルックナーの交響曲第3番の第1稿(1873稿)は、ブルックナーがワーグナーの元に持参した版で、その時はまだ第四楽章は未完成であったようです。そして、トリスタンやワルキューレなどの引用が各所にありましたが、その後の改訂によって、引用は取り去られています。この版が出版されたのは、1977年のことなので、クラシックの演奏の歴史から見ればごく最近ですね。
【演奏について】
ロトの指揮は今まで縁が無くて聴いていなかったのですが、ブルックナーの新譜が出ていて、お手頃な値段だったので、買ってみました。ロトの新譜は高いという印象があって手を出していませんでした(笑)。この第3番がブルックナーの3曲目の録音なのですね。フランスの指揮者の演奏するブルックナーというのもあまり印象にないのですし、ロトは人気なので、それなりに構えてしまいます。演奏はギュルツェニヒ管弦楽団で、歴史の古いオーケストラですが、ブルックナーの録音は僅かのようです。でも、楽しみです。
第一楽章。はやっ…。サクサク進みますね。それに、とても音が澄んでいていて美しいと思います。これはロトの音作りによるものでしょうか?ところで、この演奏は第1稿なので、今まで聴いたことがありません。ですから、感想も版によるものか、演奏によるものかわからないので、そこはご容赦ください。さて、休止がワンテンポ長めで、こだわりのニュアンスを感じます。一方、フレーズの息が短い感じがして、ふっと終わる感じがします。軽くふわふわした浮遊感がある感じです。一方で、盛り上がるところは思い切り盛り上がるので、この落差は面白いと思いました。そして、その時の音が、一転とても重厚に聞こえます。このあたりは作り込んでいるのかなと思います。
第二楽章も、印象は第一楽章と一緒で、流れていくというよりは、浮かんでは消えという雰囲気を感じました。この感じ、正直言うと乗れないので、流れが悪く感じます。そして、後半の盛り上がりは、まさにワーグナーですね。第1稿の特徴でしょうか。第三楽章も早めで、なかなか闊達な感じが気持ち良かったです。第四楽章も流れはいいと思います。盛り上げるところなど、ニュアンスがよくつけられていると思います。流石のコーダの盛り上がりで終わりました。
といった感じでしたが、何か割り切れない感じもあったので、何度も聴き返していました。とてもうっとりするような美しい音ですが、聴けば聴くほど流れが良くないところが耳についたり、盛り上がりに品が無いと思う様になりました。版の影響もあると思いますが、いろいろな細工が鼻についてきたのだと思います。という訳で、我ながら保守的だなぁと思いつつ、今回はこれ以上聴くのはやめて、また改めてですね…。
【録音について】
細かいところまで精緻に表現された、非常に美しい録音だと思います。
【まとめ】
ロトは第4番も、一般的な版とは大きく違う第1稿を使ってますし、これも第1稿なので、今後もそういった路線でいくのでしょうか。第1稿はまだ演奏の歴史がそれほど長くないのですが、だいぶ録音も出そろってきたようです。他の演奏も聴いて再トライです。版による相違があまり大きくない第7番とかで聴いてみたいですね。
購入:2024/01/14、鑑賞:2024/01/14
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