そこのユンギ好きな貴方。
いや、ユンギ以外を好きな貴方も、
ぜひ夜にこっそり読んで、キュンとしてください。恋は人生のスパイスなり。
トリより↓
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episode 3の3
次の朝、かおちゃんと大事なプレゼンを無事成功させた。すべてユンギさんのおかげだ。
かおちゃんには、昨夜どうやってあのデータを修正したのか話していない。
どうしてか分からないけれど、何となく秘密にしてしまった。
黒い羽織りジャケットのせいかもしれない。
持ち帰って、洗濯するか散々悩んだ挙げ句、洗わないことにした。私の香りがついたら、彼は嫌かも知れないから。
ユンギさんに、早くプレゼンがうまくいったことのお礼を言いたかったけど、あの夜以降すれ違うことが多かった。
私も多忙だったし、何度か企画課を訪ねて行ったけれど不在。黒い羽織りジャケットは、返せないまま手元にある。
プレゼンから3日後の夜、シアトルのナム先輩から電話がかかってきた。
「連絡できなくてごめん。こっちで色々とトラブルがあってさ。」
ナム先輩の声を聞くと安心する。
私は業務について一通り報告し、プレゼンが上手くいったと伝えた。
あの日、ユンギさんに無理を言って、真夜中に助けてもらったことも。
「知ってるよ。ユンギから聞いた。
まいった。って言ってたよ。」
ナム先輩が笑いながら話す。
迷惑だったんだ・・。
羽織りジャケットをかけてもらって、私は浮かれていた。
そりゃそうだ。関係ない仕事を時間外に急に頼む他部署の女なんて、私なら願い下げだ。
途端に気持ちが沈む。
あの、ユンギさんには失礼なお願いをしてしまって・・本当に反省しています。
「いや、そうじゃなくてさ、まぁいいや。後はあいつに直接聞いてくれ。」
何を聞くべきか、ナム先輩は教えてくれない。
私は、二人がどういう関係なのか知りたくなり、思わず質問した。
あの・・ナム先輩とユンギさんは仲良しなんですか?
「俺ら?中学時代からの腐れ縁だよ。
ユンギは難しく見えるけど、懐に飛び込んでしまえば、ものすごく愛すべき奴なんだ。
まーよろしく言っといてくれ。じゃあな。」
最後まで楽しそうな声で、電話は切れた。
懐に飛び込めば、愛すべき奴、か。
どうやって飛び込めばいいかわからないよ。
ユンギさんの懐に飛び込みたいと思っている
自分に気が付いた。
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時計がPM10:00を回った頃、自販機に飲み物を買いに出た。
会議室がいくつも並ぶ廊下を横切ると、突き当たりに人影。
うそでしょ、ユンギさんがいる。
背をむけているのは、女性だ。
一瞬、ユンギさんと目があったような気がした。慌てて踵をかえす。
タイミング最低。最悪なものを見てしまった。
結局外に出て、飲み物を買った。
コーヒーを避けて、お茶にした。
うつむきながら、オフィスに戻る。
私だけが浮かれていた事実が、胸に刺さる。
ユンギさんは優秀な社員だ。
簡単に女に心を動かしたり、惚れたりしない。
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少し街を散歩して、オフィスに戻ってきた。
仕事が終わらないのに何をしているんだろう。
でも、切り替えなくてはならない。
エレベーターの中で自分に言い聞かせた。
エレベーターを降りて数歩、
急に手首を捕まれた。
・・・え、やだ、やめてっ!
思ったより大きな声が出た。
「しっ!俺だよ、俺。叫ばないで。」
ユンギさんが、私の右手首を掴んでいる。
そのまま、階段で上の階の資料室に連れて行かれた。
ユンギさんの呼吸が荒い。
内鍵をかけられる。
ユンギさんっ
あの私、この前のお礼を・・・と言いかけながら、手首を掴んだままの至近距離に気まずくなり、ユンギさんが反対側の壁まで離れた。
この前、データの件すごく助かりました。
私、とても失礼なことをしたのに、体調まで気遣ってくださって・・御迷惑をおかけしてすみません。今すぐジャケットを持ってくるので、待っていてください。嫌な匂いがついたら失礼かと思い、洗濯はしていないんですけど!
矢継ぎ早に話し、資料室の鍵を開けようとすると、
「待って。違うんだ。話を聞いて欲しい。」
ユンギさんが再びドアを背にして、私のすぐ前に立ち塞がった。
「迷惑なんかじゃないんだ。失礼でもない。
むしろ、待ってたんだ。」
どういうことですか?
一息ついて、後頭部の綺麗な髪に手櫛を入れながら、ユンギさんが話し始める。
「きっかけが無くて・・俺からは無理だった。
君がナムジュンの隣で働くようになってから、ずっと話せる機会を待ってた。
あの夜、泣きそうな顔の君が来て、俺は年甲斐も無く舞い上がって。」
「仕上げたデータもメールで届くのに、わざわざもう一度顔を見たくてオフィスに向かったんだ。そうしたら、君は眠っていた。」
上着の謎が解けた。
ようやく、ユンギさんがいつもの眼鏡をしていないことに気付く。素顔のユンギさんの美しさに呑み込まれる。
私の鼓動が、彼に聞こえてしまうのではないかと思う程、高鳴った。
「ナムジュンには、俺の気持ちも全て話していたから、あいつは知ってる。データの件も昨日電話で伝えた。君から俺を頼ってくれるなんて、まいった、って。」
低い穏やかな声で、ユンギさんが私に言った。
「ずっと見ていました。君の側にいたい。」
情報がうまく整理できず、泣いてしまった。
私も、好きになってしまいました。
その事を伝えたくて、ユンギさんの黒いジャケットの袖口をきゅっと掴んだ。
「俺のものになってくれるの?」
小さく頷くと、
ユンギさんは私の頬を包んで、私の涙にキスをした。
それから、しなだれかかるように、私を両手で抱きしめた。
「ヤー、良かった!ホッとした。駄目かと思った。」
私を抱いたまま、ユンギさんがおどけた表情で騒ぐ。
ユンギさん、さっきの女性は誰ですか?
ヘッドハンティングの誘いだ、と耳元でユンギさんが呟く。
華奢に見えるのに、胸板や腕の逞しさが心地よくて、離れられない。
私も、そっとユンギさんの背中に手を回した。
「黒い羽織りジャケットは、洗濯して返して。君の匂いが知りたい。」
真っ赤になる私を見て、ニヤニヤするユンギさん。
「あのデータ、時間外だったからご褒美もらっていい?」
真顔になったユンギさんの唇が私に重なった。
~ End ~
なっっが~~い!
会社でイチャイチャ!
悪いユンギさん最高!
長々と、トリの妄想にお付き合いいただき、ありがとうございました!
次はどんなの書こうかな~(笑)
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素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。