都響スペシャル 「インバル×ショスタコーヴィチ」
★オール・ショスタコーヴィチ・プログラム★
チェロ協奏曲第2番作品126
交響曲第5番ニ短調作品47

チェロ:ガブリエル・リプキン
指揮:エリアフ・インバル
コンサートマスター:矢部達哉
2011年12月14日(水)
東京オペラシティコンサートホール
(2階2列目中程、B席)

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今日は初物づくしでした…

初・オペラシティ、初・京王電車、なんなら、初!初台(笑)
さらには、初・都響に、

聴いたこともないショスタコーヴィチのチェロコン…
そして、ベルリン・フィル・ショック(ブログ名称:ベルリン・フィル脳症)を患って以降、初・ライヴ。

なのですが、

と、いうより、だからこそ、なのかもしれませんが、ワクワク感ゼロ。

仕事に行くようなルーティンな気分で出発です。




初めて聴く都響も、弦楽器は繊細だけど詰まらないし、金管も、ねぇ…
ソリストのリプキンもやや怪しい音程…。
ベルリン・フィル脳症、継続、かと思いきや、

第2楽章あたりから、纏まり出し、いい感じ。

リプキンはあまり力んだ演奏、というよりも、

サラサラ行書体のような弾き方に感心。

その中音の優しく美しい音と言ったら…!
やはり、予習してから行くんでした。
まずまず。

でも、なにかまだ興醒めしている自分がいます。

曲が知らないから・・・・(笑)

そして、メインのシンフォニー。
ショスタコーヴィチの作品の中で最もポピュラーで、

私もCDではよく聴いていますが、ライヴでは初です。

この作品でも、冒頭が何だか怪しい…。弦楽器もなんか引っ掻けて違和感あるし、

トランペットなんかも安物のブラス、

て感じのおもちゃのよう。

ベルリン・フィル脳症から改善がみられないなあ、と思いはじめてから…、

しかし、この弦楽器の引っ掛け方が、

そして、金管のスラブ的なものは、すべてがインバルの要求や指示によるものだったとは

2回目の繰り返しでようやくわかりました。


するとどうでしょう!

滅茶苦茶よくわかるこの作品の真髄!!

なんと論理的なかいしゃくなのでしょうか?!


このメロディは重要ですよ!ここはこんな感じで発展していて、

ここは、ほら、マーラーを意識していますでしょ?


ってな按配で、ぐいぐい引き込まれます。


たとえば、第2楽章。

こんな支離滅裂な舞踏ぽさは、確かにマーラー的ですね。

初めて知りました。

あまり好きな楽章ではなく、

CDでは飛ばしてしまうことがあるくらいなのに、

今日は終わらないで、とまで思いました。


そして、第3楽章のラルゴ。

ここも退屈なCDは冗長にかんじてしまいますが、

あら不思議。

あっという間!!(笑)

低音部がよく歌い立派だし、

フルートにオーボエもまったく危なげなく。。。

都響、やります!!


そして、ラルゴからそのまま小休止なしで、

部長刑事のテーマ(←関西人しかわからない?)で始まる第4楽章。


そのテンポのゆったりとした骨太なサウンド、

そして、主題での加速。

このメリハリのつけかたのインバルの棒にしっかり寄り添うオケ、

凄いです!!



引っ掛けやタメ、

テンポの自在な動きに加速、ブレーキ、

陰鬱な音色に、濃厚な音色、

かなりシビアに感じるピアニッシモと強烈なフォルッテシモ、

これらの対比、メリハリのつけ方は、

まさにインバル・マジック!!

フォルテッシモの鳴りは強烈すぎて、

オペラシティではやや飽和気味でしたが、

気持ちいいサウンドでした。

フィナーレのコーダのティンパニも良かったし、

ドラなんか一歩助走つけて「ぶっ叩かせて」いました。



インバルは、都響のように真面目で向上心の強いオケと相性がいいのでしょう。

フランクフルトを見違えさせたのはこの人。

でも、その後、旧東ドイツのベルリン交響楽団とは大した功績ものこしていませんし、

実際、一度だけライヴにも接しましたが、全く感動できずがっかりしました。

また、チェコフィルとは評判自体あまり伝わってきません・・・。


その点、都響とのコンビは、

先月に聴かされた、父ヤルヴィとN響とは全く反対の

以心伝心、両者一体、がっぷり四つ。

この両者の関係が非常にうまくいっているのだろうな、

と聴いていて爽快でした。

恐らくは、オケ側の涙ぐましい努力、献身さも手伝ってことでしょうが、

いい音楽をやりたい、という指揮者とオケのベクトルが同じ方向である限り、

いいコンビネーションを発揮し続けてくれることでしょう。


そんな感じで、今日は

ケチの付け所がない、

今年聴いた国内オケでは、

ブロムシュテット&N響のブルックナー、

そして、今日のインバル&都響。

ベスト1、2位を争う、大層満足のいく演奏会でした。


思い起こすと、インバルとの出会いは中学生くらいのとき。

ライヴではなく、テレビですが、

NHKで放送されたフランクフルト放送交響楽団との来日公演によるマーラー5番。

マーラーをこの指揮者が私に教えてくれたようなものです。


そして、私にとってやや苦手なショスタコーヴィチ。

インバルが大きなヒントをくれた、そしてこれからもくれそうに思います。

来週の12番、3月の4番・・・。

インバルのショスタコーヴィチに入門が許されたような気がします。


あと、オペラシティホール。

ここで聴くには、あまり席のランクを落とすと危険ですね。

っていうか、あの1階席はそれはそれで、舞台がわかりにくそう。

てことは、2階センターの前から2列目まで、だけがスイートスポットのような気がします。

ここんちの視界の悪さは最悪ですね。

ついでに椅子も重心を変えると木が軋むし、

ファブリックは家庭にあるダイニングチェアみたいなやつで、

繊維の擦れる音がするし。。。。(笑)


やはり座席の造りの良さでもダントツでサントリーホールがベスト。

次点に、東京文化かも知れません。

山形テルサや横浜みなとみらいもいいです。

芸劇にオペラシティは椅子は悪すぎ・・・、に思います。