「阪神11-0ヤクルト」(19日、甲子園球場)

11得点の口火を切ったのは、1番抜てきの島田だ。初回、マウンドにはチームが今季、苦しめられてきた奥川。「派手な打撃はできない。泥臭い安打が持ち味」とバットを短く持って、しぶとく中前へ運んだ。

これで流れに乗ると、止まらない。第3打席から3打席連続で適時打を放ち、プロ初の猛打賞&4安打。「ファームでやってきたことがつながった。そこは自信になりました」。1軍でも自分の打撃が通用することを証明した。

前夜は1-0の七回無死一、二塁で代打起用もバント失敗。それでも、矢野監督は3試合ぶりに1番で使ってくれた。「見返すチャンスだと思った。やってやろう」。気迫あふれる表情で、ツバメ投手陣を打ち砕いた。

2軍では父の日だった6月20日の巨人戦で3安打をマーク。松阪牛をプレゼントした父・博文さんに「次は1軍で打てるように」と活躍を約束していた。4カ月はたったが、今季中に有言実行してみせた。

「取り返してこいという思いで使った」と矢野監督。最終盤でその思いに島田が見事に応えた。「色んな役割を果たすのが僕の役割」と背番号53。自慢の快足で、最後までグラウンドを駆け回る。