(セ・リーグ、阪神0-2広島、19回戦、阪神10勝9敗、28日、甲子園)


阪神は広島に0-2で敗れ、今季10度目の零封負け。首位ヤクルトと1ゲーム差に開き、30日にも自力優勝の可能性が消滅する。「7番・右翼」で先発した佐藤輝明内野手(22)は3打数無安打で、2リーグ分立後、野手ワーストタイの53打席連続無安打。矢野燿大監督(52)は今後の起用法を問われ「わからん」と首をひねった。


本当は輝かしいレジェンドたちの記録を掘り起こしてほしいところだが、佐藤輝の試練のときに終わりが見えない。連続打席無安打は「53」に伸び、不名誉な野手ワースト記録に並んでしまった。矢野監督は「一本出れば」という質問に多くを語ることはなかった。


「毎日、そうやで」


指揮官の会見はわずか90秒で終わった。その短さに、この一戦への落胆ぶりがにじむ。そして、29日のスタメンについて聞かれると…。


「そんなん、今のことではわからへん」


明言を避けたのだった。佐藤輝は二回に床田の外角148キロに見逃し三振に倒れると、五回は力ない一ゴロに打ち取られ、七回は島内の高め155キロにバットが空を切った。3打数無安打に終わり、Hランプは8月21日の中日戦を最後に1カ月以上も灯せていない。


快音が響く瞬間を待ちわびる虎党からは何度もため息がもれ、打線も2安打無得点で今季10度目の零封負けと散々だ。24-26日の巨人戦を2勝1分けで終え、指揮官も怪物ルーキーについて「底は抜けている」と上がり目を期待していたが…。1993年にはトーベが野手ワーストの53打席連続無安打を記録。その隣に、虎の未来を背負う男の名も刻まれた。


開幕スタメンを勝ち取り、ルーキーとは思えない存在感と輝きを放って猛虎打線をけん引。首位に立つ虎をときには4番として支え、堂々の23本塁打を積み上げた。だが、勢いは徐々に消える。トンネルから抜け出させるために矢野監督は2軍に落とすことを決断。徹底的にバットを振り込ませ、23日に再登録させると、そこから使い続けているが、いまだにフェアゾーンで白球が弾んでくれない。


この日、DeNAに勝利した首位のヤクルトとは1ゲーム差に開いてしまった。30日にも自力優勝の可能性が消滅。燕に優勝マジック18が点灯する。佐藤輝の復活を待つのか、大胆な策を講じるのか。虎将が模索している。