私は最低限の夢を成し遂げることは出来たが、それで人生が終わるわけではない。

最初の夢は叶うまでは天空にあるが、叶ってしまえばただの足場に過ぎなくなる。これからが本番だ。


私は自分の夢をさらに引き上げることにした。次の夢は自分がメイン発明者となって特許をとることにした。

そしてさらに夢が膨らんできた。できれば最初の2つの夢を融合させられないだろうか。

その頃1つの社会問題が見えてきた。いわゆるヘイトスピーチだ。

SNS上であからさまに特定のマイノリティに対して心ない発言をする人たちが目立ってきた。

その頃から私はSNS上でのヘイトスピーチを分析する手法を考案できないかと考えるようになった。しかしそのためには従来のITの技術だけでは不十分だということに気がついた。

何が足りないのだろう、何が必要なのだろう。私は真剣に考え、調べ始めた。そして最終的にSNS上での人間のやり取りを社会心理学の理論に基づいて心理分析することを考え始めた。社会心理学の教科書に乗っているような古典的で単純な理論を色々と学習して、現代のSNS上での人間同士のやりとりをテキストマイニングなどのIT技術と組み合わせたSNS分析に使えないかと考え始めた。かれこれ10年近く前の話だ。

ちょうど基礎研究所のITの研究員の人たちが同じ意図で感情心理学に基づいたSNSぶんせきの検討を始めていたところで、私も大学の心理学者の教授からのレクチャーに参加させていただいたりした。どうも自分の考えている方向は必ずしも間違ってはいないようだという手応えがあった。


(続く)