物語りもようやく佳境に入り、時代が時代だけに、ハレンチな会話が止まりません。(^ω^)


ところで、この連載を始めてから、何故か、毎日、RSS2.0からのアクセスがグングン伸びています。




【登場人物】


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 設定資料
http://ameblo.jp/toraji-com/entry-10173606845.html



【おはなし】


以下の続き。


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その7
http://ameblo.jp/toraji-com/entry-10176815075.html



◇ 旅館「東野」の男用の露天風呂。


娘、絵里子についての部下のリアルな証言にくらくらする服部さん。


とん吉 「これで分かったでしょ。


アニキのところの絵里ちゃんだって、これだけもらえるんだったら、


(とん吉が、両手を伸ばして、手のひらをパッと広げて見せる。)


ヌードにでも何にでもなるってんだからよう。


あそこの娘が水着になったとしても、おかしくもなんとも、ありゃしねえじゃねえですかい。


だから、最初に俺も言ったじゃねえですかい。


『俺が、あのオヤジの立場で、そんな大金をもらえるんだったら、


親子そろって、ケツの穴までおっぴろげて見せやすぜ』ってよう。


『どぉぞ、じっくり、こころゆくまでご鑑賞ください』ってなもんだ。」


服部 「お前なあ。


どこの世界に、そんな大金払って、おめえの尻の穴をじっくり鑑賞してえって奇特な御仁がいるんだよ。


そりゃあよう、おめえが独身で、常識がねえから、そう思うだけでよう。


そりゃ、世間一般の常識じゃねえんだよ。


あのなあ、普通の親御さんはそんな風に考えたりはしねえんだよ。


(遠くにいる東野主人を眺めながら。)


そらあなあ、あそこにいる東野のオヤジだって、同じなんだよ。


おりゃあよう、同じように若い娘を持つ父親としてよう、


あのオヤジの気持ちが、よぉく分かるんだよ。」


とん吉 「ついこの間、知り合ったばっかりだってえのにですかい。」


服部 「おおよ。 あのオヤジはよう、


ああ見えても、若い頃にカカアを亡くしてよう、


今日の今日まで、あれこれ苦労して、あの娘を育てたに違えねえんだよ。


俺はよう、あのオヤジの、そんな人間ドラマに賭けたんだよ。」


とん吉 「それが見事に外れちまったじゃねえですかい。」


服部 「そうなんだよなあ。


(腕を組みながら、悩む仕草をする服部。)


そこがどうしても、納得が行かねえところなんだよなあ。」


しばらく間を置いて。


服部 「でよう。あのオヤジもよう、


初日こそ、あーだ、こーだ、偉そうなこと、言ってやがったくせによう。


次の日には、慌てて電話かけてきやがってよう、


『今日のところは泣いといてやる。』


なんて、鼻息荒くぬかしてよう、声はしっかり弾んでやがんだぜぇ。


でよう、『打ち合わせしてえから、明日、うちの旅館に来い』なんて、ぬかしやがるからよう、


とりあえず、行くだけ行ったんだよ。


そしたらよう。」


とん吉 「そしたら、どうしたんです。」


服部 「そしたら、あのオヤジよう、


向かってくるなり、丸めた競馬新聞、俺に突きつけてよう、


『服部さん、こらあ来るぜ。』


なんて言って、赤線、引っ張りやがったんだぜ。


服部”さん”だよ。 服部”さん”。


俺はおめえの友達じゃねえッつんだよ。


つい昨日まで、人のこと、鬼か、悪魔みてえに言ってやがったくせによう。


あのオヤジ、娘のおかげで舞い込んできた金、全部、馬に食わせちまう気だぜ。」


とん吉 「あーあ。どうしようもねえや。


これじゃあ、旅館も傾くはずだぁね。」




◇ 同じく、旅館「東野」の男用の露天風呂。


東野旅館の3名が、服部たちの様子を遠くから眺めている。


合田番頭 「親方、なんやら知りまへんけど、さっきから、あの連中、


両手を、しきりに、グッパ、グッパ、開いたり閉じたりしてますね。」


さやか 「すごい指の数だわ。」


東野主人 「そうかぁ、


おりゃあ、最近目が悪くなってきてよう。


遠くが霞んで、見えやがらねえんだよ。」


眉に手のひらを当てて、目を細める東野主人。


合田番頭 「おい、さやか。


さっき、服部に返した、最初の水着あるやろ。


アレ。しばらくの間、返してもらってこい。


親方が、それ着て、お前と一緒に旅館のPRしたいそうや。」


さやか 「そうね。」


東野主人 「(二人の会話に耳を止めず) いやあ、疲れ目かなあ。」


独り言を言いながら、しきりに首を傾げる東野主人。




◇ 同じく、旅館「東野」の男用の露天風呂。


再び、服部ととん吉の会話。


とん吉 「そういや、アニキよう。


さっきから気になってたんですがね、


その水着、どうしたんですよ。


それ、あの女が着ることになってたんじゃねえんですかい。


なんで、あの女、違うの着てんです?」


服部 「おお、そうよ。 それも、聞いてくれよ。


あの女ぁ、今の今、本番の直前になってよう、


俺んところにやって来てよう、


『服部さん、水着、これに変えさせていただきます。』


なんて、言いやがんだぜ。」


とん吉 「ええ。そりゃあねえよ。それじゃあ、約束と違うじゃねえですかい。」


服部 「そうよ。それで、俺も頭に来てよう。


『おう、姐ちゃん、フザケんじゃねえよ。 てめえ、これ着る約束だったろうがよ。』


って、凄んだんだがよう、あの姐ちゃん、涼しい顔してよう、


『じゃあ、もう一度、契約の内容を確認させていただきますから、書類を見せてください。』


なんて、言いやがるんだぜ。」


とん吉 「何、言ってやがるんだ。


書類なんか、あるわけねえじゃねえかい。」


服部 「おう、そうよ。


最初っから、書類がねえのをオヤジに確認した上で、平気な顔していいやがるんだぜ、あの女。」


とん吉 「なんて、太てぇ尼なんだ。」


服部 「でよう。


『駄目なら、今日の撮影会は中止しましょう』なんて言いやがるんだぜ、


東京から、新聞記者だの、カメラマンだの、たくさん来てるのによう。


いまさら、中止出来るわけねえじゃねえかよ。


俺が、この撮影会のために、どんだけ自腹切って、手配にどんだけ苦労したと思ってるんだよ。」


とん吉 「それじゃあ、アニキ、結局、泣き寝入りですかい。」


服部 「おお、そうよ。


挙句の果てにゃあ、おめえよう。


しっかり、これを渡されてよう。


(と言いながら、懐から、さやかから手渡された水着代の領収書を取り出す。)


『撮影前にお支払い願います』なんて、言いやがんだぜ。


おりゃあよう、 あッんな小娘に、いいように振り回されてよう、


悔しくて、悔しくてよう。」


とん吉 「汚ねぇ真似しやがる。


あの女、仁義ってもんを知らねえんですかい。」


服部 「まったくだ。 今の世の中、いったいどうなっちまったんだい。


仁義なんてよう、今どきの堅気の連中の間じゃあ、屁のツッパリにもなりゃしねえんだよ。


それに、俺もよう、別に自分の娘と差して歳の変わらねえ娘に、こんな水着、着せてえわけじゃねえからよう。


それで仕方がねえから、今日のところは諦めたんだよ。」


とん吉 「結局、いつも泣かされるのは、俺たち、チンピラなんだよな。」


服部 「ちげえねえ。」


服部さんと蛾邪郎が深く頷く。



(以下に続く)


【原作】裸足の大将 放浪日記 第1話 その9
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