姫様へ
少し気持ちが落ち着いたので、姫様へ手紙を書こうと思います。
姫様へ
12年間、お疲れ様でした。
このままずっとそばに居てくれるんじゃないかと思ったときもありましたが、やっぱり、お別れのときは来てしまうのですね。
ここ何年かの病院通いと、だんだんとやせっぽちになって行く姫様を見ていて、しようがない事だと覚悟は出来ていたはずなのに、最後泣き続け、なんの覚悟も出来ていなかった自分が本当に情けないやつだと思いました。笑ってやって下さい。
姫様へ
とらじは姫様たちの言葉に疎いもので、お気持ち等がよくわからず、至らない部分が多々あったと思います。姫様がとらじと暮らした12年間は、姫様にとって幸せな日々でしたか?
とらじにとっては、姫様と暮らした12年間は、とても、とても、幸せなものでした。
だって、子供の頃から想っていた「猫と一緒に暮らす」と言う夢が、現実になった12年間だったからです。
姫様には感謝しても感謝しきれません。
姫様へ
最後の日、姫様の鼓動が止まったあと、とらじには姫様が、いつもの様にお昼寝しているようにしか見えませんでした。
夕方になって様子を見に行き、そっと撫でて、日が暮れてからもういちど撫で、深夜に何度か目が覚めて、その都度撫でてみたけれど、やっぱり姫様は眠ったままでしたね。
もしかしたらお昼寝しているだけで、撫でたらいつもの様にハッと目を覚まし、大きなあくびをしてから、丸い瞳で見つめてくれるんじゃないかと思ったんですが、そんなわけないですよね。
姫様へ
棺(と言う名のダンボール箱)の中には、大好きだったシーバのチーズ味と焼きカツオを入れておきました。もう誰も止めないので、好きなだけお食べください。
よく遊んでいたおもちゃも入れようかと思ったんですが、(とらじが振らないと遊べないでしょ!)と怒られそうだったので止めておきました。
お着替えして早く戻っておいでと言う考え方もあるようですが、とらじは、姫様の姿以外の姫様と暮らすつもりはないので、そのまま、虹の橋のたもとで、とらじがそこに行けるようになるまで待っていてはもらえないでしょうか?おもちゃはその時にとらじが持っていこうかと思います。
姫様へ
前日の夜に、だいっ嫌いな添い寝してくれたのは、お別れがわかっていた姫様の、とらじへのお気遣いだったのですね。とても嬉しかったですよ。
姫様へ
もう一度会える日を、楽しみにしています。
姫様へ
ありがとうございました。
姫様へ
本当は、今すぐにでも会いたいです。