司法書士試験を不退転のルビコン川に喩えた先人の話に深く首肯する。

 

社会人が法律系資格に挑む時に、試しに行政書士を受ける人は多いと思う。

かく言う私もその一人で、それなりに勉強して無事合格できた。

そこで勘違いする。

 

「自分はやれば出来る!」と

 

科目数で比べると行政書士は

①憲法 ②民法 ③行政法 ④商法 ⑤基礎法学の5科目+一般知識

 

司法書士は

①民法②不動産登記法③商法・会社法④商業登記法⑤民事訴訟法⑥民事執行法⑦民事保全法⑧司法書士法⑨供託法⑩刑法⑪憲法の11科目。

 

2倍くらいならと思うかもしれないが、そう単純な話ではない。

行政書士のテキストが900p弱の1冊に対して、司法書士は500p前後のテキストが13冊くらいある。

文量で言うと約7倍。

 

加えて難易度も違う。

 

例として行政書士にも記述問題が3問有り、昨年の民法の問題がこちら(他に行政法1問、どちらも40字前後で解答)

 

①配偶者が私の土地を無断で売って死亡、私が配偶者を相続した場合、買主からの履行請求を拒否できるか?

②賃借登記の無い賃借をしている土地に勝手に塀を建てられた時に、賃借人として塀を立てた人に対して何ができるか?

 

答え

【① 無権代理を相続した本人は信義則に反しないので拒否できる】

【② 所有者の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使できる】

以上。しかも部分点がある。

司法書士試験の記述で言うと、何も考えず全部申請して、とにかく添付書類いっぱい書きました、レベルで余裕の合格点。

難易度で言うと2倍かそれ以上違うんじゃないかと。

択一も行政書士は5肢択一、司法書士は5肢組み合わせ問題が主、難易度は2倍くらい違うと思う。

 

問題量や合格基準にも差が有る。

試験時間は行政書士3時間、司法書士5時間。

合格点は行政書士6割、司法書士8割。

 

まとめると

司法書士試験の難易度≒行政書士試験の難易度×7(範囲)×2(問題の難易度)×1.66(問題量)×1.33(合格基準)

 

司法書士試験の難易度≒行政書士試験の難易度の約31倍

 

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資格予備校が3倍とか5倍とか言ってますが、一部の天才を除いて全部ウソです。

行政書士800時間、司法書士3000時間とか抜かしてますが、少なくとも行政書士の800時間は嘘です。

憲法読んだこと無いとかのレベルでない限り、合格点ギリギリで良いならそんなに要りません。

簡単な行政書士を難しく喧伝し、桁違いの難易度で殆ど誰も受からない司法書士試験を受けさせる罠です。

 

司法書士試験に挑む人(非天才)は行政書士試験の31倍やる気があるかどうか考えた方が良いです。

 

合格率の差が2~3倍くらい(行政書士10~12%対司法書士4~5%)ですが、騙されてはいけません。

行政書士の受験者約5万人、司法書士の受験者約1万人。

広大な試験範囲と難易度のせいで、司法書士試験はそもそも試験まで辿り着いてない人が多いと思います。

行政書士試験並みにカジュアルに受ける人が増えたら司法書士試験の合格率は1%を切るでしょう。

 

行政書士試験は法律資格界のゲートウェイドラッグみたいなもんです。

皆さん気を付けましょう!(手遅れcaution)