プロフィールのとおり、私の趣味は海外を旅することです。仕事のモチベーション維持に繋がるような刺激や学びが欲しいと思っても、なかなかインスパイアされるような機会に恵まれないときは、思いきって海外に出かけたくなります。実際、先月のこと、私はニューヨーク・マンハッタンを30年ぶりに訪ねることにしました。

 

タイムズスクエア、セントラルパーク、ハドソンヤーズからハイラインを含むエリア、ワールドトレードセンター、ウォール街周辺エリアなど、多様性や文化的な融合を象徴する有名スポットは活気に溢れ、まさに好調な米国経済を現わすような様子が窺えました。円安も相俟って、物やサービスの価格には確かに驚かされます。しかし、市民の消費行動、働き手の意欲、街往く人々の表情から、前向きで強気な景況感だけが印象に残り、ネガティブな風景に出くわすことが全くありませんでした。

 

あと、私が体験した非日常を述べるなら、街の至る所にデジタルテクノロジーが整い、利用せざるを得ない環境にいたことです。何をするにもどこに行くにも、滞在10日間のほとんどが電子決済でした。たとえば、地下鉄のシステムはOMNY、タクシーは日本でもお馴染みのUber、ミュージカルやスポーツ観戦などのチケットは全てスマホの中のアプリといった具合です。レストランやカフェに入れば、QRコードを読み取り注文します。地元の人と言語の壁を乗り越えて交流することもスマホが可能にしてくれます。美術館や観光名所でも、日本語オーディオガイドが、歴史や文化芸術の知識を深める手助けをしてくれ、実に効率的で便利です。その都度口座引落の報告メールを受け取れるのも安心です。

 

デジタルがもたらす恩恵は、持続可能で環境に優しい社会の実現です。既に世界のグローバル都市の多くは意識的に高い水準にあり、東京も同じとは思います。しかし、国全体で、情報格差の解消は先延ばし、アナログの選択肢も仕方無し、そんな風潮が続けば、経済的競争力の衰えとグローバル化の遅れは必至と思えてなりません。

 

「少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば則ち死して朽ちず。」

 

【解釈】少年時に学んでおけば壮年になって何かを為し遂げ、壮年時に学べば、老年になっても気力が衰えることはない。老いて学べば、社会に役立ち名が朽ちることはない。

 

 これは小泉純一郎元総理が衆議院の教育関連法案審議の際に引用した有名な一節。(佐藤一斎著『言志四録』出典)

 自分が壮年期か老年期なのかは判りませんが、いずれにしても、私自身は今回の旅で、インフレに対する免疫力と進化するテクノロジーへの適応力の必要性について、体験的に学ぶことができた気がします。