自分のやりたいことに突き進め | 東大SPHを目指す貴方へ

東大SPHを目指す貴方へ

東京大学 公共健康医学専攻 (SPH:公衆衛生大学院)の卒業生有志による、入試対策法・学生生活・キャリアプランについて綴っているブログです。
東大ひいては日本国内でMPH(公衆衛生修士号)取得を目指されている皆様のご参考になれば幸いです。

東大SPH現12期生の夜間飛行さんのTwitter上のつぶやきで非常に共感すると言うか、心を痛めた内容がありましたので、それについて述べたいと思います。

誠に勝手ながら簡単に搔い摘んでお話しますと(若干、憶測が入ってますので正確な情報ではないかもしれませんが)、東大文科3類から専門課程にあがる際に、医学部健康総合科学科の看護コースを選んだ彼は、親や親せきから「なんで看護師なんかに」と非難轟々だったそうです。彼の中では看護の世界に身を置いて新たな分野を開拓したいと言う野心を持っていたにも関わらず、です。

↑夜間飛行さん、事実と相違する内容がございましたら申し訳ありません。仰って頂けましたら、訂正いたしますので(汗


何というか「子供の夢や情熱をあっさりと否定するのって、親としてどうなんだろう」と思いました。

私は、以前の記事でこのようなことを書いたことがありました。

愛する我が子が医学部受験をするように英才教育などで誘導するのは結構ですが、いざ子供が医学部に入ったあと、ないしは晴れて医者になったあとに「やっぱり臨床よりも他のことがやりたい」と言い出した時には、気持ちよく背中を押してあげてください。

「あなたを医者にするために20年かけて育てたのに親不孝だ!」などと言うのだけはやめてください。


と。なぜこのようなことを書いたのかと言いますと、実はこれ、私自身が東大SPHに入学した際に親に言われたセリフなのです。もっと言うと、「養う家族がいるのに仕事を辞めて学費を払って大学院に通うなど非常識だ」とも罵られました。

医者の世界では、博士号(Ph.D)を取るために大学院に4年間通うことは当たり前ですし(もっとも、それのせいでPh.Dのインフレが起こっているのも由々しきことなのですが)、それと比べて公衆衛生学修士号(MPH)は1年でとれるので、支払う学費も単純に4分の1になるので、大した負担ではない。実際に、東大SPHは学年の半分が医師である。もっと言えば、通学しながらでも外来や当直のバイトでそれまでの倍ぐらいの給料を稼ぐこともできる(実際、バイトの方が常勤よりも手取りが良いのです)。

と理路整然と伝えるも、「臨床を離れる=非常識」という結論ありきで、話が通じませんでした。いわゆる「お医者様」から「その他の職種」に移ることは失墜を意味していたのだと思います。

そして、SPH在学中に数理モデルを用いた疫学研究と出会い「これは面白い!」と感動したことを親に話した時も、第一声が「そんな仕事、儲からなそう」でした。「金儲けが全てではない」と反論するも「養う家族がいるのに綺麗ごとを言うんじゃない」と返されました。

バイトができるから経済的な心配はないのに・・・。

そもそも、私は物心ついた頃から親に医学部を受験するよう勧められ、育てられてきました。高校時代、数学と理科が大好きだったので研究職に行きたいと思っていましたが、「研究者は給料が不安定だ」とあっさり否定されました。別に医者になりたいとも思っていなかったですし「だったらせめて遺伝学など医療と関わる分野の研究をしたい」と説明するも「医者にならないで研究してもいいから、医師免許は持っておけ」と言われて医学部に進学した経緯があります。

黙って親の意向に従ったわけですし「研究してもいい」って言われたのだから、公衆衛生の世界で疫学研究したって良いと思うのですが、笑いながら「そんなこと言ったっけ?」と白を切られました。更に

本当に情熱があるのなら、親に反対されてもそれを押し切ってでもその道に突き進むものだ

と言われましたが、だったら「臨床医を辞めるなら親に一度頭をさげろ」などと言わないで欲しいですし、そもそも子供の夢を否定して良い理由にはならないと思います。まぁ、そこで反対を押し切ったからこそ、今の私があるのですが。

こういう話って珍しいことでもないようです。私の周りにも(Twitter上も含めて)臨床医をやめて研究や行政の世界に飛び込んだ方が何人かいますが、ほぼ全員が多少なりとも親との摩擦を味わっています


我が子の夢は、何も言わずにサポートしてあげることが親の務めだと思うのです。


私の例にしても、夜間飛行さんの例にしても「臨床医学>>公衆衛生学」とか「医者>>看護師」という不等式が世間では出来上がっているんですよね。そういう概念に親が縛られていると、結果、子の将来の可能性を潰すことがあるのだと認識して欲しいです。もちろん、子の夢が何であっても全力でサポートされる親御さんだって世の中には多数いらっしゃることは存じていますし、自分の子には同じような境遇には会わせないようにするつもりです。

最後に、「医学部に進学したものの or 臨床医になったものの、臨床以外のことがやりたい」のに世間体を気にして「次の一歩」を踏み出せずにいる医学生・医師の方々に一言言いたいです。

周りの目を気にするな!やりたいことへ突き進め!

それでもまだ二の足を踏んでいるようであれば、私に直接相談してください。何ができると言うわけでもないですが、できる限りお力になりたいと思います。