次の南海トラフ巨大地震は全割れか半割れか? | 俳句銀河/岩橋 潤/太宰府から

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この土・日、NHK スペシャル「南海トラフ巨大地震」が放送された。

 

これまで、最も恐れられるのは南海トラフ全体が一度に活動する(南海東南海東海の3つが連動する)“全割れ” と考えられてきた。

 

ところが、番組では西側の南海地震と東側の東南海・東海地震が時をずらして起きる “半割れ” が最も人的・物的・経済的被害が大きく、そうなれば日本が衰退してしまうことが描かれていた。

 

半割れの場合に想定される震度分布の例> NHK のウェブページより(リンク

西の半割れ

東の半割れ

 

西と東のどちらが先に起きるかは分からないが、例えば西の半割れが先に起きた場合、東のエリアの自治体は近いうちに来る東の半割れに備えて救援・消防部隊を留めておかなければならず、甚大な被害が出ている西の被災地には向かえない。

 

阪神淡路大震災東日本大震災の時のような全国規模での救援が期待出来ない(いずれの半割れでも被災が軽い北海道・東北・沖縄からは可能だが、あまりに不足)。

 

東の半割れでは、交通・輸送の大動脈である東名高速道路や東海道新幹線・東海道本線が寸断される。

 

2つの半割れで震度6弱~7になるエリアには、国内生産額がそれぞれ1位と2位の中京工業地帯と阪神工業地帯がある。

 

国内の海上空港のうちで唯一、関西国際空港は海底地盤深くの厚い洪積粘土層の影響で開港以来沈下を続けてきた。

 

2018年の台風による高潮でさえ浸水被害に遭った関空が、本当に南海トラフ巨大地震の津波の影響はないのか、また、海底地盤の変動(特に液状化)による滑走路の大規模な沈下や隆起あるいは傾斜で使用不能になることはないのか。

 

 

太宰府市(福岡県)は当然西の半割れでの震度が大きい(5弱)が、当市はそれよりも直下の警固断層帯南東部の活動による地震の方が脅威で、断層のどの地点から割れ始めるかによって予想される最大震度は異なるが、最悪のケースでは震度6強。

 

 

 

21世紀の日本は、果たしていくつの大震災に遭うのだろうか。

 

NHK スペシャル「南海トラフ巨大地震」では扱われなかったが、一方の半割れが起きた後では東日本大震災の時のような各地の発電所の破損・運転停止による電力不足がさらに大規模で起こると考えられ、無事なもう一方のエリアでは原子力発電所も含めてフル稼働しているだろう。

 

そこへもう一方の半割れが起きたら・・・、活断層による直下型地震が誘発されたら・・・、そして、原子力発電所の1つでも福島第1原発事故と同じことが起きれば・・・。

 

福島第1原発事故の教訓で原子力発電所の津波対策や電源喪失対策は為されているが、”想定外”のことが起きるかも知れない。

 

 

 2024.08.08 追記 

 

16:43 頃、日向灘を震源(深さ 31 km)とする Mj 7.1(Mw 7.0)の地震が発生し、宮崎県日南市で震度 6弱。

Mj は気象庁マグニチュードのことで、地震波形の最大振幅から素早く計算できる。精度は小規模な地震では高く巨大地震では低い。

Mw はモーメントマグニチュードのことで、地震波形全体や地震のメカニズムを精査するために計算に時間がかかる。精度は小規模な地震では低く、巨大地震では高い。

 

気象庁は南海トラフ巨大地震の想定震源域において一部割れが起きたと判断し、モーメントマグニチュードが基準の 7.0 に達したことと合わせ、南海トラフ地震臨時情報を運用開始後初めて発表し、区分は巨大地震注意とした。