最近、ハイパワーFFWクアッド9が発表されました。
これから試作をお考えの場合FFWクアッド9をお勧めします。
かなり作りやすくなりましたし、性能はFFWクアッド8と同等です。
FFW QUAD2はham world 2021年7月号に掲載されました。このブログは掲載された記事の原文をそのまま載せています。
FFW QUAD7 ロスアンゼルスで運用
FFW QUAD7 パラオで運用
FFW QUAD7 オーストラリアで運用
マグネチックループアンテナ FFW QUAD8 ハイパワータイプ 4set 頒布
私の試作品をお譲りします。
マグネチックループアンテナ深化 FFWクワッドⅡ(NEW)
これはマグネチックループアンテナ(MLA)の改良型です。7MHzから28MHzまで7バンドカバー出来ます。どのバンドでも室内で使っていますが海外局と多数つながっています。
JH1FFW 市川隆司
これが FFW QUADⅡ(クアッドⅡ) です。
4階屋上にて 7Mhz用 自宅の部屋にて 据え置き型と一緒に
28Mhz用 初期型 奈良県移動時 FFW QUAD1 10Mhz用
私のブログ FFW QUAD https://blog.ameba.jp/ucs/top.doをご参照願います。
このブログそれなりの反響があり、いくつかのコメントも頂きました。今回はそれらの点も考慮し、そして皆様が簡単に作れる再現性、また多バンド化にもトライしました。それがFFW QUADⅡです。
現在7Mhz,10Mhz,14Mhz,18Mhz,21Mhz,24Mhz,28Mhz、合計7バンドでQRVしてどのバンドにおいても室内から海外とつながっています。100WとFT8という条件ですが私の一階の部屋、地上高3m からですからそういう意味では今までの概念を崩しているのではないかと思います。
これが見晴らし良い高台のロケーションとか高層マンションのベランダとかではもっと良い結果になると思います。実際2階の部屋で試した方のレポートでは同じ室内であってもより良い結果が出ていると聞いています。ただし、鉄筋の入った建物の中では辛いようです。
マグネチックループアンテナからFFW QUADⅡに
私は以前6種類のマグネチックループアンテナ試作しましたが苦戦の連続で私として納得できる物にはなりませんでした。そしてFFW QUAD に到達しました。下記が苦戦した点、そしてその改良案です。皆様のご参考になれば幸いです。
マグネチマックループアンテナは通常金属パイプを丸く加工して作りますが加工にはかなりのテクニックが必要です。アンテナループに同軸ケーブルを使った場合、手軽で携帯にも優れているのですがHF用の大きなサイズとなるとその形が崩れてしまいうまく調整出来ませんでした。
市販品も有りますが高価であり、その割には思ったような結果が出せないようです。周波数を合わせてそれと同時にSWRを追い込んで初めてこの超小型のアンテナが実力発揮できるからかと思います。
まずは周波数を合わせるのですが一般的なMLAは同軸ケーブルを所定の長さに切ってそれをコンデンサーとして使ったりしているようですがその後の周波数微調整の為にえらく複雑な構造の物を作ったりしました。
高耐圧のバリコンを使ったりして皆さん色々工夫されているようですがいずれにしてもQRPでのみ使えるものかと思います。
私は水道用の塩ビパイプを使ってコンデンサーを作りました。100W でのQRVにたえています。最初塩化ビニールという材料はあまりコンデンサーには向かないのかと思いましたが塩ビの誘電率は決して悪くはないようで良い結果が出ました。
MLAは沢山作りましたが14メガ以上の周波数は何とかなっても私が望む7メガ帯などでは受信はできても送信用としては使いものになりませんでした。
これはアンテナループとコンデンサーの容量のバランスが崩れている為かと思います。今回はそれも考慮して各寸法を決めてあります。
この種のアンテナは周波数を合わせると同時にいかにSWRを下げられるかが使いものになるか、ならないかの分かれ道かと思われます。SWRを下げるという事はそれによる電気的損失を減らすという事に限らず、このアンテナの場合基本的な性能良し悪しにかかわってきます。所詮、超小型で狭帯域なアンテナである為です。しかし、もしそれらを抑えられれば素晴らしい性能を発揮します。
今回は後述のシンプルですが確実にSWRを下げる事の出来る構造を考案しました。
またFFW QUADⅡでは再現性を重視して簡単に加工が出来る構造としました。ほとんどの部品はホームセンターで購入できます。安価で誰でも作ることが出来ると思います。
小型で移動用、そして7バンドに対応
今回沢山のバンドに簡単にQSYできるようにしました。 移動用として作りましたので分解してスーツケースに収納出来る様にしました。太平洋の島々に移動してDXバケーションを楽しもうと考えている為です。このアンテナは超小型ですのでスーツケースに入れて移動して実際のQSO につかえるとすればそれは移動運用を考えている方には最高のアンテナになると考えています。国内移動でも同様に活躍すると思います。
据え置き用であれば作り方はより簡単になります。写真参照下さい。
もっと大きな物、たとえば3.5Mhzとか1.9 Mhz用のMLAも制作可能と思っています。私も次は3.5Mhz用のMLAを作ってみようと考えています。
製作方法
ほとんどの部品はホームセンターで購入できます。
アンテナループ、給電ループ用のケーブルは太めの物をお勧めします。
100Wで使う場合、特にハイバンドの場合、細いケーブルでは発熱する場合があります。
私は3.5㎜径のビニール被覆線を使いましたが今少し太いものが良いかも知れません。
水道用の塩ビパイプで作るコンデンサー
まずはコンデンサーですが厚手の水道用の塩ビパイプで外径38mm、内径31mmのVP菅という物でホームセンターで普通に購入できます。私の場合移動用に考えているので全長640mmとしました。この長さであればスーツケースに入るからです。
中心部にギャップ、左右の銅箔面には銅線を半田付け
銅箔を張る 固定用のマジックテープ
一本の塩ビパイプに銅箔テープを貼り付、中心部を10㎜位の銅箔テープを剥がして左右を分離させその中に外径30mm長さ640mmのアルミパイプを差し込み銅箔とのあいだで静電容量を持たせコンデンサーとして働かせます。左右に分離された銅箔面とアルミパイプとの間にできたC成分はそのアルミパイプによって直列接続される事になります。容量は半分になりますが耐電圧は2倍になります。ですから
100Wにも耐えられるアンテナが出来たのです。アルミパイプを出し入れして静電容量を調節してこのアンテナを所定の周波数に調整します。マジックテープを中心部にビニールテープで固定しこのコンデンサー部を釣り竿ポールに固定出来る様にします。
コンデンサーの構造
私が使ったのは銅箔テープはNITTO製の幅38mmの裏粘着のテープでやはりホームセンターで購入しました。すごく薄いので3重に張りました。巻きながら張るのではなく長手方向にはります。
裏にノリがついていてもそれを貫いて導通するので重ねて貼れれば電気抵抗を下げる事が出来ます。
100Wとなるとかなりの電流がそこを通過するわけで一重では足りません。念の為左右の銅箔面に一本ずつ銅線を半田付けしています。全て100Wまで使えるようにする為です。
これ便利です
両端にはアンテナループとつなぐ端子を付けますが写真の様なビニールホース等を固定するパーツで銅線を銅箔に圧着して端子とします。これもホームセンターです。その上にビニールテープを巻いて完成です。
太さの違う4種類のアルミパイプ
アルミパイプを塩ビパイプの中を出し入れして静電容量を変化させ周波数を合わせるのですが多バンドにする為、写真の様に4種類にの太さのアルミパイプを使います。各々のアルミパイプにはスペーサーを取り付けて塩ビパイプとの距離を一定にしながらしかもスムーズに出し入れが出来る様にします。
4本のアルミパイプで7バンドカバー
これらのアルミパイプで7バンドカバーすることになります。表1がその詳細です。コンデンサーは全て共通です。
私の近所のホームセンターには直径30㎜、厚み1㎜以外のパイプは」1mに切った物が売っていましたが直径30㎜のパイプはネットでの購入となりました。できれば2mm厚みの物の方が良いかも知れません。合わせてアンテナループの長さ(ワイヤー長)もご参照ください。
表1
アンテナループは移動用に途中で切って写真の様につなぎ合わせています。
全体的な構造
キャパシタースリーブとは
表にはキャパシタースリーブとありますがこれはこのコンデンサーの容量を微調整する為の物でその周波数にあった太さのアルミパイプをバンドごとに用意出来れば不要です。
アルミパイプをあまり引き抜き過ぎると片側だけの静電容量が小さくなってしまいパイプの発熱の原因になります。目安としては640mmのアルミパイプを120mm以上引抜かない様にしています。それを微調して沢山のアルミパイプがなくても全てのバンドに対応可能にするのがキャパシタースリーブです。これは100Wを想定した考え方であり、QRPではあまり関係ありません。
その場合120㎜以上引き抜いても大丈夫です。
コンデンサー部の断面
キャパシタースリーブはやはりホームセンターで購入したOHM社のプロテクター0号という家庭内の電灯線を隠すための物です。それに銅箔テープを同様に張り付けてそれを塩ビパイプコンデンサーの外側に取り付けてアルミパイプ以外のもう一つの固定コンデンサーを追加することによりアルミパイプだけでは出来なかった微調整をします。
キャパシタースリーブはプロテクター0号など使わなくても要は塩ビパイプと少しスキマを開けて銅箔の様な導通する物が左右銅箔面にまたがって取り付けられれば良いわけで難しく考えることはありません。ただし塩ビパイプに張った銅箔テープとキャパシタースリーブに張った銅箔の間隔3~4㎜位開けないと火花放電します。両端をマジックテープで固定します。
プロテクター0号 520mmのキャパシタースリーブ
150㎜のキャパシタースリーブ
FFW QUADⅡでは塩ビパイプで作ったコンデンサーにアルミパイプの出し入れで周波数を決めてから、SWRは上部に付いている給電ループを操作してSWRをおいこみます。
ここが最も大切なところです。
MLAのSWR値はアンテナループと給電ループの電気的な結合の度合いで決まるのです。
FFW QUADⅡでは給電ループ最上部の中心部を紐で引っ張って上下させてアンテナループ、この場合最上部のアルミパイプとの結合の度合いを調整してSWRを最低値に調整します。これはアンテナの真下で紐の引き具合で調整する事が出来ます。よって調整の為にアンテナの上げ下ろしは不要です。
当初、確かにSWRは下がるがそれがこのアンテナの最良の状態で働く為の調整方法なのか??でした。でも周波数を合わせてこの方法でSWRが下がれば飛びます。このやりかたは正しいし、マグネチックループアンテナはこの様な方法で調整出来れば実戦に耐える素晴らしいアンテナなのです。
輪ゴムを使った逆さΩマッチ
ブログで発表したFFW QUADのSWR の調整のやりかたは正しいのですがパイプの加工に多少テクニックが必要な為、今回は輪ゴムを使って簡易に作れる様にしました。
この場合アンテナ最上部に640㎜長(直径12mm)のアルミパイプにビニールテープでアンテナループと給電ループを固定するだけで出来てしまいます。
輪ゴムは結束バンドを外すだけでいつでも簡単に交換可能ですので心配ありません。これであれば難しい加工は不要でビニールテープと結束バンドだけで作れます。紐を引っ張ればアルミパイプとの距離が開きますし、緩めればゴムの力で上にもどります。逆さΩマッチの写真の状態、つまりアンテナループが緩んで最上部の状態で少しだけ輪ゴムが張った状態でセットするのがコツです。
アンテナ上部 逆さΩマッチ
最上部にはT字型のやはり水道用のパイプを使います。支柱に使う釣り竿の先端がうまく差し込めるサイズを選んでアルミパイプとビスで固定します。
逆さΩマッチとはゴムの力で給電ループの最上部をアルミパイプに近ずける為だけの為で電気的な意味は全くありません。
給電ループは同じケーブルで作ります。長さはそれほどシビアではありません。今回は1700mmです。M型コネクターへの半田付けの部分の長さは含んでいません。
あまり長過ぎるとアンテナループとの結合が強すぎてしまい紐をいくら強力に引っ張てもSWRが下がりません。短すぎて逆に結合が足ない為やはりSWRは下がりません。その時は目玉クリップで結合を強くする方法もありますが私の作ったサイズでは全バンド目玉クリップは不要でした。
クリップで結合を強くする
給電部は50オウムのケーブルを直接給電ループに繋いでいます。
給電部
アンテナアナライザーを繋ぐ
私はアンテナアナライザーを使っています。すばらしい道具です。
アンテナ切換えスイッチを繋いでおくと便利です。
送信時にアンテナに触れると危険ですので気を付けて下さい。
また、送信時にはあまりアンテナに近ずかない方が良いと思います。
ずいぶん作りました。
とりあえず今までの結果を書きましたがとにかく全てが試行錯誤の連続でここまで来ました。
失敗作も沢山あります。
塩ビパイプでなはなくアルミパイプの中に適度なギャップを開けてアルミパイプを差し込んでCをつくることにも再三チャレンジしました。驚くことに空気のコンデンサーより塩ビパイプのコンデンサーの方が良い結果でした。空気によるコンデンサーは100W時にパイプが発熱してしまい断念しました。
今までの結果からして私はこのアンテナには大きな可能性を感じています。
また更なる改良する余地が沢山残っていると考えています。これからも改良を続けてその結果をご報告するつもりですが皆様のご意見そして改良案をお待ちしております。
巨大なアンテナではなくこの小さな室内アンテナで誰でも部屋の中からDXが楽しめるようになることを期待しております。FT8だけではなくSSBでもQSOしましたが国内は普通に飛んでいます。
このアンテナを使ってDXCCにチャレンジしたいと思っています。
解ってきたのは多少指向性があること。普通のキュビカルクアッドアンテナとは90度違っていて2本のエレメントを結んだ方向に電波が強めに出るようです。それほど強い指向性ではありません
糸巻
これって意外と重要です。紐で給電ループ引っ張ってSWR値をチェックし、足りなければもう一度といった感じですがその間この糸巻で一時固定しておいてSWR の良いところを探して固定します。コンデンサーによる周波数がずれる事もあるのでの交互に調整し最良の状態にします。
糸巻 同軸ケーブル固定
今回、試しに会社の4階の屋上でこのアンテナでQRVしてみました。
さすがにそこにある現行の3エレトライバンダーと同じとはいきませんが自宅の私の部屋とは随分違います。30分くらいで結構やれました。
FFW QUADⅡでの交信
JH1FFW(日本)
T88RC(パラオ) パラオラジオクラブ会員
V63TI(ミクロネシア)
3D2TI(フィジー)
市川隆司 tony@tonyichikawa.com