情報を伝える方法 | ワクチン広場

情報を伝える方法

ある日、外来に来られたママが、ワクチンで死亡が多発していると言われるので、理由を伺ってみると、新聞に書いてあったと言われるのです。その日の新聞は自分が目下、購読しているのは日本経済新聞と読売新聞なのですが、掲載されているのには気がつかなかったので、新聞の名前を伺ってみると、そのいずれでもありません。どのような内容であったかを伺ってみると、内容はわからないがテレビでも放映していると言われるのです。その日のテレビの番組を新聞が掲載しているのですが、題名が「ワクチンで死亡が増えている」と書かれていたのだそうです。NHKのあさイチと言う番組でした。私もこの番組には関心があって、見たかったのですが、診療を8時40分から始めているので、最初をチラッとみて仕事を始めたのです。出演が感染研の先生と国立成育医療センターの先生で、お子様がヒブで細菌性髄膜炎に罹患をされて後遺症に悩まされていて、ワクチンの推進をアドボカシー運動として行っていらっしゃる方でしたのであり、肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンが一時接種中止をしたのが再開されたのを受けての番組でしたから、内容は異なっていたはずです。せめて後ろに?を着けて欲しかったとは思いますが、テレビの番組のタイトルだけを見て、新聞に書いてあったという表現をされることに驚きました。新聞のテレビ番組を見て、それだけで情報を得たと思う人がいるということを残念に思いました。紙媒体である新聞、雑誌、リーフレットなどから、ネットを利用した情報を利用するまで、情報を得る方法は多彩になってきました。情報を得たいと思えば、工夫をすれば工夫を凝らすほど、個人で情報を得る方法は多彩になりました。多彩になればなるほど、その信用度が問題になります。私ども医療人が出す情報も、方法としては多彩になりました。自分では正しいと思っても、思い込みで正確さを欠いている場合、正確に認識していても表現が曖昧になっている場合、正確に表現されていても受け取る側に誤解がある場合、などなど、目的とは異なって伝わる可能性があります。また、もっと知りたいと思ったときに繋がる先が用意されていると便利でしょうし、質問して答えを受け取ることもあればより効果的に情報の授受が出来そうです。ワクチンについても、そのような基地になれればと思います。