山種美術館で「皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画―」を観た! | とんとん・にっき

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「皇室ゆかりの美術
―宮殿を彩った日本画―」チラシ

 

「皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画―」案内板

 

山種美術館で「皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画―」を観てきました。観に行ったのは、去年の11月25日のことでした。

 

新宮殿完成から50年の節目の年、しかも平成最後の年です。「皇室ゆかりの美術」は、時宜にかなった企画といえます。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章 皇室と美術―近世から現代まで

  皇室の書

  絵画

  ボンボニエール

第2章 宮殿と日本画―皇居造営下絵と宮殿ゆかりの絵画

  皇居を飾る

  山種美術館と宮殿ゆかりの絵画

第3章 帝室技芸員―日本美術の奨励

  日本画

  工芸

 

本展のみどころ

1. 初公開作品を含む秘蔵の皇室ゆかりの美術品をご紹介!
天皇自筆の書(宸翰)や宮家旧蔵品に加え、皇族から下賜された美術工芸品やボンボニエールなど、秘蔵の名品を展示します。
2. 4年ぶりの一挙公開。新宮殿完成から50年の節目の年に、当館所蔵の宮殿ゆかりの日本画で宮殿の美を体感!

ダイナミックなスケールで宮殿装飾に取り組んだ日本画家たち(安田靫彦、山口蓬春、上村松篁、橋本明治、 東山魁夷、杉山寧ら)。彼らが当館のために揮毫した宮殿ゆかりの作品を一挙公開いたします。
3. 帝室技芸員の名品をまとめてご覧いただける貴重な機会!

皇室による美術の保護奨励の目的で設置された帝室技芸員制度。帝室技芸員の絵画・彫刻に加え、近年、特に人気の高い工芸家たちの優品も展示し、明治、大正、昭和の美術の粋をご紹介いたします。

 

下村観山「老松白藤」大正10年(撮影可能作品)

 

「老松白藤」

伏見宮家旧蔵の屏風。明治神宮造営局の命により制作され、同局総裁であった伏見宮貞愛親王に奉献された。本作品は、はじめ「老松紫藤」と呼ばれたが、のち「老松白藤」と称された。松に絡まる藤の図様は、吉祥のモティーフとして古くから絵画や工芸に表されてきた。松は幹の天地を切り取って描かれており、画面の外にまで広がる大木の全容を想像させる。金字を背景にした大胆な構図や、左隻に飛ぶ熊蜂の一瞬の動きを捉える精緻な描写には、江戸琳派や円山四条派などの古画学習の跡がうかがえる。

 

第1章 皇室と美術―近世から現代まで

 皇室の書

 

重要美術品 後陽成天皇「和歌巻」江戸時代

 

  絵画

 

野口小蘋「箱根真景図」明治40年

 

下村観山「老松白藤」大正10年

 

川端龍子「南山三白」昭和4年

 

西村五雲「松鶴」昭和8年

 

  ボンボニエール

 

左:「犬張子形ボンボニエール」昭和9年
右:「釣灯籠形ボンボニエール」昭和3年

 

第2章 宮殿と日本画―皇居造営下絵と宮殿ゆかりの絵画

 

  皇居を飾る

 

左荒木寛畝、渡辺省亭 赤坂離宮下絵
花鳥図画帖 明治39年頃
左:渡辺省亭「尉鶲に牡丹」 右:荒木寛畝「雉」

 

左:竹内栖鳳「土筆に子犬」 右:竹内栖鳳「土筆に犬」

 

横山大観:「飛泉」昭和3年

 

  山種美術館と宮殿ゆかりの絵画

 

東山魁夷「満ち来る潮」昭和45年

 

左:橋本明治「朝陽桜」昭和45年
右:山口蓬春「新宮殿杉戸楓4分の1下絵」昭和42年

 

第3章 帝室技芸員―日本美術の奨励

 

帝室技芸員

帝室技芸員とは、皇室(帝室)の保護のもと、美術・工芸の奨励を目的として優れた美術家に与えられた終身制の栄誉職である。第一回の1890(明治23)年から最終回の1944(昭和19)年までの54年間に、全13回の推薦により絵画45名、彫刻7名、工芸(刀剣を含む)22名、建築2名、篆刻、図案、写真各1名の計79名が任命された。制度開始当初は幅広い分野の伝統派や国粋派の大家が選ばれたが、昭和期以降は文化政策の変更とあいまって、その対象は絵画、彫刻、一部の工芸の分野に絞られていった。帝室技芸員は、皇居の室内装飾や宮中行事・御慶事に伴う御用をつとめたほか、当時の殖産興業政策や文化財保護政策などを背景に、海外輸出を目的とした作品や万国博覧会への出品作の制作、賓客への贈答品制作などのご下命を受け、日本を代表する芸術家としての役割を果たした。

 

  日本画

 

左:荒木寛畝「雉竹長春」明治18年
右:瀧和亭「五客図」明治19年

 

左:川合玉堂「鵜飼」明治28年
右:山元春挙「火口の水」大正14年

 

上村松園「牡丹雪」昭和19年

 

鏑木清方「伽羅」昭和11年

 

  工芸

 

左:並河靖之「花鳥図花瓶」明治時代
右:香川勝廣「菊に蝶図花瓶」明治時代
清水三年坂美術館

 

「皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画家―」

当館創立者の山﨑種二(やまざきたねじ)は、1968(昭和43)年に完成された皇居宮殿を飾った美術品に感銘を受け、より多くの人々にこの優れた作品をご覧いただきたいという願いから、山口蓬春(やまぐちほうしゅん)、上村松篁(うえむらしょうこう)、橋本明治(はしもとめいじ)、東山魁夷(ひがしやまかいい)ら宮殿装飾を手掛けた日本画家たちに同趣向の作品制作を依頼しました。
このたび、山種美術館では、これら当館所蔵の皇居宮殿にちなんだ作品を4年ぶりに一挙公開するとともに、皇室ゆかりの美術をご紹介する展覧会を開催いたします。
加えて、天皇の手になる書・宸翰(しんかん)や宮家に伝来した絵巻、皇族から下賜された美術工芸品、野口小蘋(のぐちしょうひん)、下村観山(しもむらかんざん)、西村五雲(にしむらごうん)らによる宮家旧蔵の日本画など、皇室とゆかりの深い作品をご覧いただきます。
さらに、1890(明治23)年に皇室による美術の保護奨励の目的で設置された帝室技芸員制度にも注目します。橋本雅邦(はしもとがほう)、竹内栖鳳(たけうちせいほう)、上村松園(うえむらしょうえん)らの日本画から、川之邊一朝(かわのべいっちょう)、並河靖之(なみかわやすゆき)、濤川惣助(なみかわそうすけ)、香川勝廣(かつがわかつひろ)らの工芸作品、そして黒田清輝(くろだせいき)や和田英作(わだえいさく)らの洋画まで、帝室技芸員に任命された作家たちの優品を通して、近代の美術家たちが皇室とどのように関わってきたかを振り返ります。

 

「山種美術館」ホームページ

 

「皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画家―」

2018(平成30)年11月17日発行

監修:山下裕二(公益財団法人)[山種美術館評議員

                 山種美術館顧問、明治学院大学教授]

編集:山種美術館学芸部

発行:山種美術館

 

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