2005年10月23日 23時35分17秒

大江健三郎について

テーマ:本でも読んでみっか

ノーベル賞作家大江健三郎、といっても、小説は意外に読まれていないんですよね、ノーベル賞作家として名前が知られているわりには。障害を持った子供の親としての方が知られてる?読んでもいないのに、難解な小説だと決めつける人が多い?読んだとしても、最後まで読めない人が多い?大江健三郎の小説が読まれていないのは、どうしてなんでしょうか?大江健三郎を、10代の頃から長年読んできたものとしては、残念でなりません。


とりあえず、僕の手元にある本だけでも並べてみましょう。

とはいえ、僕がリアルタイムで読み始めたのは60年代中頃からですが・・・
1950年代
 死者の奢り
 飼育
 芽むしり仔撃ち
 性的人間
 セヴンティーン
 われらの時代
 遅れてきた青年
1960年代
 政治少年死す
 叫び声
 空の怪物アグイー
 日常生活の冒険
 個人的な体験
 万延元年のフットボール
 我らの狂気を生き延びる道を教えよ
1970年代
 洪水はわが魂に及び
 ピンチランナー調書
 同時代ゲーム
1980年代
 新しい人よ眼ざめよ
 いかに木を殺すか
 河馬に噛まれる
 懐かしい年への手紙
 人生の親戚
1990年代
 静かな生活
 燃えあがる緑の木 第一部 「救い主」が殴られるまで 
 燃えあがる緑の木 第二部 揺れ動く<ヴァシレーション>
 燃えあがる緑の木 第三部 大いなる日に
 宙返り 上・下
2000年代
 取り替え子(チェンジリング)
 憂い顔の童子
 さよなら、私の本よ!


大江は自分の作品を、「奇妙な仕事」から64年の「個人的な体験」までを初期とし、四国の森を舞台にした67年の「万延元年のフットボール」から99年の「宙返り」までを中期としてとらえています。そして、97年に自殺した伊丹十三への追悼の思いを込めた00年の「取り替え子(チェンジリング)」、老作家のドン・キホーテ的なドタバタ劇「憂い顔の童子」、そして「さよなら、私の本よ!」と続くのが「後期の仕事(レイターワーク)」として位置づけています。


ということで、まずは、「燃えあがる緑の木」第一部「救い主」が殴られるまで、第ニ部揺れ動く<ヴァシレーション>、第三部大いなる日に。これは、大江健三郎が「締めくくり」と呼ぶ、最後の3部作であり、93年から95年にかけて、1年ごとに刊行されたものです。森に囲まれた谷間の村で繰り広げられる、「救い主」と見なされたギー兄さんと、今は女性として生きる両性具有のサッチャンの再出発から、ギー兄さんの最後の決断と突然の死、そして未来への励ましに満ちた大いなる結末!この3部作は、前作「懐かしい年への手紙」の続編でもあると言えます。さらに言えば、「懐かしい年への手紙」と次作「宙返り」へと至る、スーパー三部作第二部と言うこともできるものです。


次は、「宙返り」上・下。最後の3部作「燃え上がる緑の木」、自ら「締めくくり」と呼び、一旦はもう小説を書かないと宣言した大江健三郎の、小説復帰第一作目です。ノーベル賞受賞から5年目の1999年6月に刊行された作品。瞑想によって神との交信を行うという師匠(パトロン)、師匠(パトロン)が瞑想後に語る言葉を聞き取る案内人(ガイド)。2人は暴走する教団内の急進派を押さえるために、自らの教義を否定し、すべて冗談だったと「宙返り」を行います。それから10年後、彼らは再び活動を再開します。


そして、「取り替え子(チェンジリング)」、「憂い顔の童子」を経て「さよなら、私の本よ!」です。「取り替え子(チェンジリング)」は、自らの意志で向こう側へ行ってしまった友-義兄の映画監督伊丹十三に捧げる作品ですね。「さよなら、私の本よ!」は、その吾良の語りかけへ古義人が返答するという対話から始まります。「取り替え子(チェンジリング)」の続編「憂い顔の童子」は「取り替え子」の設定はそのまま引き継がれます。主人公の長江古義人は、母親の死をきっかけに、母親の遺志にしたがい森の中の村へ長男のアカリとともに移り住むことになります。

そして、最新刊「さよなら、私の本よ!」です。第一部は「むしろ老人の愚行が聞きたい」、第二部は「新だ人たちの伝達は火をもって」、第三部は「われわれは静かに静かに動き始めなければならない」というタイトルが付けられています。国家の巨大暴力に対抗するため、個の単位の暴力装置を作る繁と、人類の崩れの「徴候」を書きとめる古義人。「おかしな2人組」の、絶望から始まる希望を描く長編小説です。


おれの母ときみのお母さんに密約があったとして……つまりおれときみがね、おたがいに相手のために死のうとする間柄だ、と考えることを彼女らは望んだわけだ。そのおれたちが、こうして老人となり、もうあらかた、現世でやっておかねばならぬ仕事はやりおおせた。そういう境遇で、徹底して新しいことをやってみる気になれば、それは面白いものになりうるのじゃないだろうか? なかなか得難い結ばれ方の、二人組のやることだぜ。
大江健三郎:「さようなら、私の本よ!」より



大江健三郎が70歳を過ぎ人生の節目仕事の区切りが重なって、「晩年の仕事の方向性が見えてきた」と語ります。講談社は、「大江健三郎賞」の創設を発表しました。ノーベル賞作家の大江健三郎が1人で選考にあたり、可能性、成果を最も認めた「文学の言葉」を持つ作品を受賞作とするそうで、賞金はなく英語への翻訳と世界での刊行を賞とするとのこと。大江は、「世界に向かって日本のいい文学の言葉を押し出したい。日本の国内で純文学は話題にされなくなっているが、社会の中心にいる人に、もういちど小説を本気で読んでみませんか、と伝えたい」と言います。粗悪な賞が乱立し、安易に作家を粗製濫造している現在、この賞が社会に定着し、成功することを祈ります。



先日、「世界一のインテリは誰か」という調査で、米国の言語学者でマサチューセッツ工科大学(MIT)名誉教授のノーム・チョムスキー(76)が断然トップになったというニュースが流れました。大江健三郎も、小説だけではなく、「ヒロシマノート」や「沖縄ノート」を始め、過去40年間戦争など政治・社会的な課題を声高に一貫して批判してきた人物としても知られています。憲法改定の動きに対しては、加藤周一らと「9条の会」を発足させて、各地で精力的に講演活動も行っています。「世界一のインテリ」とは言わないまでも、大江健三郎こそ、日本の良識を導き代表する知識人と言えると思います。

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