声から見える被災地の今 | とんこの喜怒哀楽

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3月11日の震災後、

3月20日から東北で毎週放送されている番組

「声から見える被災地の今」


この番組が全国放送されていたものを見た。


この番組を司会されているのは、石巻で生まれ育ったアナウンサー。

この方も被災者。


番組の最後にこのアナウンサーの方がこう言っていた。


取材をしていると、

被災地にはまだまだ辛い、悲しい、苦しい状況がある。

悲しい話や、辛い話が続くと、目をそらしたくなる。

明るい話しや、ほっとする話はないかと探したくなる。

そして、明るい、ほっとする話を聞くと、そんな話ほど人の心に残る。

それは人間の無意識の感情。

だからこそ、今必要なことは、現状から目を離さないこと。

辛くても聞き続けなくてはいけない。

聞き続ける覚悟が必要。



私が見た番組で紹介された内容も辛いものがいっぱい。

でも、これが現実。



気仙沼市の女性。


おじいさんが津波に流されるのを

「おじいさん」と叫びながら見ていた。

毎日、おじいさんの仏壇に語りかける。

「おじいさん 一緒に逝けなくてごめんね。」

どんな思いで毎日、おじいさんに語りかけてるんだろう。

想像できない。

辛い。



南相馬市の男性


1年ぶりに戻った自宅を見て、断腸の思いと語った。

出入り自由になったって何もならない。

住めないんだから。

そのうえ、高価な物は持っていかれた・・。

荒らされた自宅を見て呆然とする男性の姿。

見ていられなかった。

忘れられない。



双葉町の女性


今だに避難所で生活している人たちがいる。

原発を恨んでもしかたない。

そのおかげで潤っていたし・・・

こうやって生きていられること、みんなに感謝している。

その女性は、こう語っていた。

そして、避難所で野菜や花を育て、

今までの日常を取り戻そうとしている。

ぐにゃっとまがったきゅうりを手作りの仏壇にそなえ、

今晩みんなで食べると言う。

こんな状況にあっても、受け入れて生きようとする姿に

言葉が出てこない。

私は、必死で生きているか?




南相馬市で居酒屋を営む男性


人気のない街で、毎日店を開け、

片付け、掃除している。

ここに住む者の意地だと語ってた。

意地・・

この言葉にすべてがつまっている気がした。

今まで生きてきた人生をなんとしてでも

取り返したい。

そんな思いなのかもしれない。




南相馬市で輪店を営む男性。


自転車やボートなどを売っている。

自分の生活を取り戻そうと、立ち上がっている。

でも、復興の邪魔をしないように・・・と言う。

立ち退きが決まれば、早く立ち退いて

復興に協力したい・・と。

復興の邪魔にならないように。

そのためには、自分の土地を捨てる。

どういう思いだろう。

被災をした方の強さ、すごさを感じた。




南相馬市で理髪店を営む男性


水道がまだ使えないので、

仮設住宅から水を運んで散髪をしている。

お客さんの髪を切って、おしゃべりすることが楽しい。

これって、復興になっているのかなあ・・と語っていた。

今の思いは、みんなに帰ってきてほしい。

自分たちが、がんばっていれば

みんな帰ってきてくれるんじゃないかって。


この方に、今年の夏、会いに行く。

その時、私は何を感じるんだろう?

私は、何を伝えられるんだろう?

その瞬間の私の気持ちに素直になって

出会いたいと思う。





精神科の専門の先生は、

この方たちの声を聞き、こう言っていた。


震災によって、歴史が寸断された。

今から新しい歴史を作っていきたい・・・

無意識に、命のレベルでそう思っている。

でも、それができる状況でないことへのもどかしさを感じる。

少しでも日常を取り戻すために、

毎日当たり前のようにしていたことをすることが大事。

そして、語ることが大事。

辛いことも、楽しいことも、語り合って共有することが必要。



この番組の内容は、ものすごく辛かった。

でも、アナウンサーの方が言うように、

目をそらしてはいけないと思った。

私たちが東北に行って出会う方たちは、

前を向いて歩き出している人たちが多い。

辛い話よりも、明るい話をしてくれる方が多い。

でもその中にある、

辛い思いや悔しい思いを感じた時は、きちんと受け止めたい。

きっと心は怖いと感じる。

私自身が受け止められずパンクするかもしれない。

でも、どんな状況からも目をそらさず

しっかりと私の心で受け止める覚悟をもって

今年の夏、また東北へ行きたいと思う。