中国、海上交通安全法を改正し、独自の領有権主張を展開する東・南シナ海での活動を正当化 | ボルタのブログ

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本文は、4月26日の産経新聞の要旨及びそれに関するコメントです

要旨

 中国の国会である全国人民代表大会(全人代)は、26~29日に北京で開く常務委員会の会議で「海上交通安全法」改正草案などを審議する。同草案は、昨年12月に審議が始まっており、年内にも施行される可能性がある。この「海上交通安全法」の改正案は、中国の海事当局が「独自に脅威」と判断した際に外国船に対して、領海からの退去を求めることを可能とするものだ。独自の領有権主張を展開する東・南シナ海での海警の活動を正当化する狙いが指摘される。

 国連海洋法条約によって、外国籍の船舶は平和や秩序を乱さない無害通航であれば、事前通告なしで他国の領海を通過できるが、草案では外国船が「中国の領海の安全を脅かす」可能性があれば、海事管理機関が退去を命じる権利があると明記した。

海事局は、主に海上の交通管理や汚染防止などを担っているが、海上交通安全法改正を海警と連携して尖閣周辺などで活動を活発化させる根拠とすることが想定される。

 

コメント

・中国は、今年2月に海警法を改正し、東・南シナ海での活動を活発化させている。

・海上で周辺国の民間漁船などと摩擦が生じた場合、海警法の改正以前は、中国公船を管理する海警局が対応していたが、法改正後は武警も海上警備に投入できるようになった。海警局は2018年の組織改編で非軍事組織である国家海洋局の指揮系統を外れ、軍事組織の根幹ともいえる中央軍事委員会の指揮下にある武警部隊の隷下に入った。(Fig.1)

Fig.1 海警の指揮系統の変更

 

・この中国の海警法の改正に対して、アメリカやASEAN諸国等は、懸念を表明し、また、対抗措置として東シナ海や南シナ海へ軍艦の派遣を行うなど抗議活動を行っている。

・現在、海警は、人民解放軍海軍(PLAN)から装備を供給されている。このため、装備の近代化が著しい。

・昨年12月に全人代常務委でこの改正草案が審議された際には、「海上交通管理の強化や、国家海洋権益の確保のため、有力な法律の支えを提供する」と強調している。