最近はすっかり秋の気候となって、やっと夏の暑さから解放されましたね。今年の夏は本当に暑かったですね。気象庁のホームページによりますと、今年の東京の7月と8月の平均気温は23.8ºCと28.1ºCで、去年に比べて1〜2ºC程高かったとのことです。また、7〜9月の日照時間は平年比で133%であり、晴れの日が多かった様ですね。これまでの傾向として、夏の平均気温が高く、日照時間が長いと、翌年春先のスギ花粉飛散量が増えると言われています。スギ花粉症の方にとって来春はいつもより症状が強く出現するかも知れません。また、これまで症状のなかった方でも大量飛散年には新規発症が増加するというデータもあり、油断は出来ません。早めの対策で何とか乗り切りましょう。

 スギ花粉飛散期の対応として最も重要なのは、スギ花粉の暴露を避けることです。天気予報等でスギ花粉飛散情報が出る前に、ごく少量の飛散は始まっているので、なるべく早めにマスク等を用いた抗原回避を心がけてください。また毎年ひどい症状が出る方には「初期療法」として、スギ花粉飛散前もしくは飛散後早期に治療薬を開始した方が、飛散ピーク時の症状を抑制出来ることが分かっています。ただし、近年の抗アレルギー薬は効果が発現するまでの時間が短く、何週間も前から始める必要はありません。プランルカスト(オノン)やモンテルカスト(キプレスやシングレア)といった薬は(鼻詰まりに良く効くのですが)効果が出るまで少し時間がかかりますが、それでも1週間前から始めれば良いですし、その他の抗ヒスタミン薬(アレグラ、アレジオン、ビラノア、タリオン、ジルテック、等々)や点鼻ステロイド薬(アラミスト、ナゾネックス)はせいぜい数日前に開始すれば十分です。かかりつけの耳鼻いんこう科がある方は、混雑する前に受診して薬を処方しておいてもらい、飛散直前に使用開始するのがお勧めです。

 スギ花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎は自然に治ることがほとんどない病気で、これらの抗アレルギー薬による治療は、鼻や眼の症状を緩和するための対症療法に過ぎません。現在、アレルギー性鼻炎を根本的に治すことができる可能性のある唯一の治療として舌下免疫療法が注目されています。アレルギーの元を少しずつ、舌の下に投与して身体を慣らしていくという治療法です。ちょっと専門的な説明をすると、舌の下から粘膜に吸収されたアレルギーの元は樹状細胞という細胞に取り込まれて、下あごの付近のリンパ節に流れていきます。このリンパ節でT細胞という免疫細胞を刺激するのですが、下あごのリンパ節の中には制御性T細胞(Treg)が多く存在していて、この細胞がアレルギーを抑制してくれることが分かってきました。ただ、この説明だけでは不十分で、分かっていないこともたくさんあります。舌下免疫療法は開始後3年間の継続が推奨される、とても根気が必要な治療です。千葉大学で以前に行った臨床試験では多くの被験者さんが1年目にはあまり効果が現れず、2年目から明らかな効果が出て来ました。ですので、根本的にスギ花粉症を治したい方や根気強く治療を継続できる方にはお勧めです。スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、花粉が飛散している春先には始められず、遅くとも11月末までには開始しなければなりません。興味がある方は今のうちに治療できる受診をして、相談してみて下さい。ご近所で舌下免疫療法ができる施設はこちらで検索できます。

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