TRPG巻きの91  第23話  悔業と悪夢 レト編 | とんでけさんの一人言

TRPG巻きの91  第23話  悔業と悪夢 レト編

アメリカ帰りの、ハリウッドプロッター「とんでけ」が送る。TRPG.  Force. ESLAR.

まびお姉さん。マイさん。ジャニーさん。セフィロスさんに送ります。

 

 

口悔業と悪夢 レト編 






「過去の戦争の失敗をふまえ、ミリタリィムセイオンを開こうと思う」
拍手する国民。
姫が、アリエル国王のほっぺたにキスをする。
沸く国民。
レト「これが、アリエル国王か」
チャンネルを回す、レト。
CMが流れている。
夢の乗り物、ロードカーをあなたに。
颯爽と、綺麗な景色の中、走っている、車。
レト「他国は、お金を持っているな」
レト19の夏である。

いつしか、外の世界が気になりはじめるレト。
夢は、世界のワーキングツアー。

7カ国目。
ランド=ダデムで、王女アシュリーとの恋。
命からがらの逃亡。
一路、故郷エスオゴへ。

帰り道。4カ国目。ランド=レラーナ。

行きがけは、立ち寄っただけだが、戒厳令都市ランド=レラーナに興味がでるレト。
通行人を装って、ナイトメアステーションから、城塞都市に侵入することに。
エリア2。 ジュニアハイスクール付近。
レト「こんな所に学校が」
学校の周りには、バードハウスが集まっている。
ふと通りを見るレト。
一軒の家から、美しい女性が、数人の男たちに囲まれている。
若かりしレトは、中に立ち入っていく。
チンピラ「なんだ、てめえは」
レト「まあまあ、どうしたんですか?」
チンピラ「これから、この姉ちゃんに、カタに、体で支払ってもらう」
女性「助けてください」
レト「いやがっているじゃないか」
チンピラ「なんだ、てめえが、助けるだと!」
レト「お金ならある」
チンピラ「ほうー、旦那さん、物分かりがいいね」

懐から、旅銭を出す、レト。
チンピラ「冒険者?!」
「どうやって、都市に?!」

チンピラ「あ、まあ、儲かったから、今日は帰るわ」
去っていく男衆。

女性「ありがとうございます、冒険者さん」
「わたし、ヤーン=シライシ。独り身なんです」
「この国が、嫌で嫌で」
レト「たしかに、窮屈な作りになっているような」

ヤーン「あの、もしよかったら、私も連れて行ってくれませんか?」
レト「えっ?!」

これが、レト、25歳。妻、ヤーンの馴れ初めだ。

半年後、帰郷。
故郷、エスオゴで、間も無くして、ヤーンとの間に長女ロニーが生まれる。

嬉しさのあまり、働くことを決意するレト。
しかし、情勢が悪い、エスオゴで、雇ってくれる場所はなかった。

貧しさの中しのぐ、ヤーン。

政見放送
「ミリタリィムセイオンが、破産宣告をうけ、各国財界から、ロケット先進国の
エスオゴの、独禁法違反で、経済ロケットの停止を命じられる」

レト「よくは解らないが、ますます、財政が赤字になってきているんだな」
「どこの職場も、使ってくれない」
ヤーン「あなた、職業に貴賎はないのよ」
レト「たしかに、水商売と力仕事が残っているな」
嬉しそうに笑うヤーン。

配送手伝い。飲食など、転々と職を回る、レト。
しかし、現実は甘くなかった。
給料日に、夜逃げする、経営者。
意味のわからない、仕事を押し付けられる、職場。
給料の支払いを、伸ばす、職場。

世間をさげずみ初める、レト。

帰宅するレト。
ボロアパートに、レラーナから落ち延びてきた、ヤーン=シライシと住んでいる。
定時に、働きに出るレト。


まかないが付いている、高級ホテルのレストランでの、ボーイの仕事だけが、心の休まる職場だった。
レト、40歳の頃に話である。

ある時、毛皮のファーのコートをまとった、夫人が現れる。
カミロ侯爵夫人だ。

カミロ夫人は食事を済ませると、一人、フラフラとホテルの一室に帰っていく。

給仕長。レトに「カミロ侯爵夫人、体調が優れないので、先にホテルの205号室に帰ったので、
コートを持って行くように」と。

205号室まで、コートを持っていくレト。

ドアをノックするが、反応がない。
ドアは開いている。

入っていくレト。

誰もいない。ベッドにはボスローブが投げており、シャワールームが使われている。

「んっ? シャワーかな?」

コートを置いて、帰ろうとするレト。

カチャリと、ドアのキーが降りる音が聞こえる。

「カミロ侯爵夫人!?」

一夜を、共にする。レトと、カミロ侯爵夫人。



それから、度々、情事を共にする、レトとカミロ侯爵夫人。



目をギョロつかせながら、レトは帰宅する。
息を切らせながら、レト。
ヤーン「どうしたの?」
レト「俺は、今日から、アルフレドと名乗ろうと思う」
ヤーン「かわいそうに」
レトの側に行き、抱きしめる、ヤーン。



いつものように、帰宅するレト。
ボロアパートに、ヤーンが一人佇んでいる。
側で泣いている子供。
ヤーンに、レトの不倫の事実が発覚していた。

レト「ヤーン!」

ヤーン「もう、呼ばないで!!」

服毒する、ヤーン。




葬儀は、身近のもので、簡素に行われた。
喪服に身を包む、レトとロニー。
レトの側に寄ってくる、一人娘のロニー。
「お父さん」
青空のもと、泣くレト。






高級ホテル。

カミロ侯爵夫婦。

カミロ侯爵「今日は、ご主人も来られた」
もどしそうになるレト。
カミロ侯爵「妻から、話は、色々聞いてます。レト君」

レト「すみません、最初は、怖さから、関係を持つことになって」

顎を横に振る、カミロ侯爵。

カミロ侯爵「レト君、不躾ながら、断れない、提案を差し上げましょう」

レト「!?」

カミロ侯爵「美しい長女だ。年は、15、6なかばかと見受ける」

レト「?!」

カミロ侯爵「単刀直入に言おう」
「長女、ロニーを、養女にもらおう」

レト「!!」

真っ青になるレト。

レト「そ、それは‥」

ロニー「お父さん?!」
数名の黒服に連れられているロニー。

レト「!!」

レト「待ってください!!」

連れて行かれるロニー。

レト「ロニー!!」






ランド=エスオゴ。 シティラペタ。
昼。
トラックに、梱包した、本棚を積み込む、レト。
頭には、手ぬぐいをしている。

夜。
ホテルの路地裏。
一人、食事を戻す、レト。

「ほれ、次の配送は23番地の、レット爺さん宅、カールさん宛だ」
「なにか、聞いたことがあるな」

23番地まで、宅配を届ける、レト。
「こんにちは、宅配です」
反応がない。
ドアが開いている。
「失礼します」
荷物を持って中に入る、レト。
中に入ると、壁に、ピクチャーが掛けてある。
『優しそうな、老夫婦。真ん中にカール』

「!」
「これは、たしか、ミラソーサで会ったことのある、カール」
「へえ、ここが、カール宅か。同じエスオゴ出身だったとは」
荷物を置こうとする、レトはなにかに気づく。

机の上には、宝剣が乗っている。
「!?」
「これは!?」
印を見るレト。
印には、エスオゴ城のエンブレムが入っている。
「これは、国王の宝剣」
横に手紙が置いてある。
目を通す、レト。

手紙
「この剣を持って、王宮に来くること」
「訳あって、いままで、育てることができなかった」
「君は、わたし、アリエルの唯一の実子だ」
「待っている、父より」

とたんに、さとる、レト。
「たしか、アリエル国王は、女系家族」
「君子の、生まれはなかったはず」

目の色が変わる、レト。
「これは、僕がいただく!!」

宝剣を掴んで、逃げる、レト。

出口で、騎士にぶつかるレト。
「レト!!」
「カミロ侯爵!?」



カミロ侯爵邸。
窓ぎわの、机。朝。
本をうず高く、積み上げ、勉強をしているレト。
昼食の差し入れがくる。
手早く済ませて、勉強に戻る、レト。
夜。
ランタンで照らされる、机。
辞書を照らし合わせながら、勉強をしているレト。


エスオゴ城門前。
人だかりができている。
受験者だ。
自分のナンバーがあるか、調べる、レト。
喜ぶレト。
青空のもと。
見事、下級士官に合格する。




王座に横になる、アリエル国王。
司祭がやってくる。
身を起こす、国王。

アリエル国王「カール、カールはどうしたのじゃ!?」
「老いぼれは、まちくたびれたぞ」
「聞いた話によると、宝剣はたしかに、持ち去ったと」
「使者の、伝言はまだないのか?!」

司祭「もうしばしの猶予を、アリエル国王陛下」







「バルトロメ伯爵が、帰ってこられたぞー」
馬車から颯爽と降りるバルトロメ。
踵を返すと、エスオゴ城へ入っていく。

会議室。
司祭を前にして、バルトロメ伯爵。
バルトロメ「最近、老陛下は、自室の閉じこもりっきりで、いったいどうなされたのです?」
司祭「いえ、陛下は健在です」
バルトロメ「聞いた、話では、もう、目がよく見えないとか」
司祭「いえ、陛下はご健在です」
バルトロメ「しかし、この、数年、公の場に姿を現させないとなると」
司祭「じき、お姿を、表すでしょう」
バルトロメ「ふーむ」
「私は所用がありますので、今日は帰らせていただきます」
司祭「どちらへ?」
バルトロメ「ランド=マヨイまで」
「それでは」






口士官会議
長テーブルの周りに、士官がずらっと座っている。
出席する、レト。
帽子を目深に被っている。
議題をもとに、提案をいう、下級士官。
上級士官が、取り仕切っている。
じっと聞いているレト。
発言がレトの番に回ってくる。
突然起立する上級士官。
上級士官「カミロ侯爵殿下!」
全員起立して、礼をする。
カミロ侯爵「レッド君」
出向くレトに、耳打ちするカミロ侯爵。
カミロ侯爵「それでは、レッド君は、ちょっと失礼するよ」
去るレト。
カミロ侯爵は、先ほどまでいたレトの席に座る。
カミロ侯爵「さあ、はじめてくれ」






レト「とうとうこの時がきたか」
自室に戻ると、枕もとから、宝剣を取り出すレト。
ベッドに置かれた王族の衣装に身を包むレト。
目の色が変わる。
レト「いくぞ!」


エスオゴ城 王宮。
王室前。
近衛兵に宝剣を見せる、レト。
「王位継承者、カール。父王、アリエル国王陛下に、ご謁見を」
近衛兵「今日はご面会の予定は」
宝剣を見せる、レト。
近衛兵「お待ちしておりました」

王室に入る、レト。
そこには、壮麗で、強く、威厳に満ちていた、王の姿はなく、背の少し曲がった、弱々しい国王の姿が。
「カール」
「カール、会いたかった、我が息子」
両手を前にだす、アリエル国王。
レト「カールです、お父さん」
手に宝剣を渡す、レト。
アリエル国王「うむ。よくやって来た」
「私は、高齢のため、目が見えない」
「よって、即位の儀を行いたいと思う」

王は静かに、王座の横の机にある、箱の鍵を開け、王印を出す。

レトに、王印を渡す、アリエル国王。



カミロ侯爵が、数名の部下と共に、王室に入って来る。
カミロ侯爵「お見事!!」

怯える司祭。



カミロ侯爵「ご子息に、王位をお譲りになられますな」
アリエル国王「うむ」

カミロ侯爵「直ちに、アリエル国王陛下を更迭しろ」
アリエル国王「!!」
「な、なんじゃ」

カミロ侯爵「国王陛下は、しばし、お休みになられる」

アリエル国王「まて、話したいことが」

「カミロ、謀りおったなー」

連れて行かれるアリエル国王。

豪華な牢獄部屋に軟禁される。
アリエル国王「ゆるさんぞー、カミロー」




宮殿。日の差す回廊。
数名の部下とともに、歩いているアントニオ。

「んっ? かすかに、角笛の音が!?」
振り返る、アントニオ。
「謀反が起きた!」
「いくぞ!」
数名の部下と、ともに、走り出す、アントニオ。

衛兵との剣劇。
倒れる衛士。

アリエル国王「アントニオ!!」
アリエル国王「アントニオ、わしは、今、無償に力がみなぎっている」
「息子カールが、生きて、わしに会いに来た」

アントニオ「いいえ、国王陛下、それが違うかもしれないのです」
「カミロの策略かも」
アリエル国王「まさか、息子が別人だというのか?!」
アントニオ「その、線も大いに、考えられます。陛下」
アリエル国王「ふぬぅー」
アントニオ「王印を渡したのですね」
アリエル国王「む」
アントニオ「ひとまず、ここから、逃げましょう」
「あとで、態勢を」
アリエル国王「うむ」
「すまぬ、アントニオ」

脱出する、アリエル国王と、アントニオ。





数年の月日が流れる。
クワを土に刺す、汗をぬぐう、アリエル国王。
空には、ひつじ雲が浮かんでいる。
「そろそろ、戻るか」

バラックの一角。
粗末な家。
窓から入る、薄暗がりで。
粗末なパンとスープと食べている、アリエル国王。
かたわらで、本を読んでいる。
「ジベラリンか‥」
そっと本を閉じる、アリエル国王。
「ちょっと、高いな」




所は変わって、ランド=レラーナ。
メモランディウムエンデ造幣局。
エスオゴ用の紙幣を大量印刷している。
次々の擦られる、お札。



国王になったレト。
カミロ公爵「どうする?レト」
「君の考えを、言ってみろ」
「現在、ミサハマから、学生難民が、大量に流れ込んでいます」
「お金を、使うしか」
バウティスタ公爵に、27%。
バルトロメ伯爵に、15%。
「私の取り分は」とカミロ。
貿易品で、金になるのは、鉄鉱石、アルミニウムくらいだな。
アントニオ男爵と、エリス子女の縁組。
バルトロメ伯爵には、ロッドセスの、最高のチケットを。





先帝の興した、ミリタリィムセイオンの赤字。
各国から、ロケット台の封鎖。
金融制裁で、貿易は赤字。

徐々に、暴動の、予感がしてくる。

経済界と、話をする機会を得る、レト。
カミロ公爵。
「肩に力をいれずに」
レト「過去の戦争の過ちからの、ミリタリィムセイオンは、廃業に追い込まれました」
「わずかに残った、国費と、経済界のお力添えを頂いて、今度は、民族博物館を作りたいと思います」

財界人「ほう」
「おもしろそうですな」

レト「現在では、軍事ではなく、経済。わかりやすく、民族の愛を訴えていきたいと思います」

財界人「なるほど」
「民族の愛ですな」

財界人2「ふむ」
「これは、ひょっとすると、当たるかもしれませんな」

笑う一同。

財界人「若い国王は良い」
「たしかに、財界からも協力させてもらうよ」

「今期政策は、民族博物館を作る。前回、ミリタリィムセイオンは、不作に終わった。今、エスオゴには、ミサハマから、人口が流動してきている。他民族国家になりつつある、我がエスオゴ。今こそ、民族博物館を作り、民族での愛を訴えたいと思う」

国王に拍手喝さいを送る、民衆。

レトの後座で、カミロ侯爵はうなづく。









口ランド=ダデム。
白金の渚亭。
昼下がり。秋。
くつろいでいる冒険者一行に、マスターダッドが話かけてくる。



エディブ「これからは、国際化」
「冒険者のみなさんも、国際人になってもらいたく、買ったのよ」
重そうな箱を開ける、エディブ。
中から、でてくる、ブラウン管TV。

エディブ「高かった。このTV」

「新聞だけでは、遅れていると、同業のロセに言われてな」


アラゴー「うむ」
「ごたくは良い」

ソフィア「さっそく見よ」

チャンネルをつける、エディブ=ダッド。

白黒のグレアノイズが徐々に鮮明になってくる。

TV『ランド=エスオゴでは、病気を回復され、再び、国王が列挙されました』
『みなさん、拍手で、お迎えください』
『アリエル国王ー!』
『アリエル国王陛下ー!!』

壇上で、手をあげる、レト。


カール「あれっ?」
「これってレトじゃ?!

ソフィア「あ、ほんとだ」

エディブ「なにぃー、国王陛下と知り合いかー?!」

胸騒ぎのする、カール。

アラゴー「ガハハ」

カール「なにか、あったんじゃ!?」






バルトロメ「帰ってきたぞー」
「アントニオ、久しぶりだな。元気だったか」
口に指をあてるアントニオ。
バルトロメ「?!」
頷く、バルトロメ。

手招きするアントニオ。
ついていくバルトロメ。
離宮の、使われていない、一室へと、案内する、アントニオ。
「兄者、こちらへ」

「それが!!」
アントニオとバルトロメの言葉がかぶる。

バルトロメ「うむ、それが、現在のアリエル国王。若返ったとはいえ、若すぎる。私は、遠方のランド=マヨイまで、出向いて聞いたことなのでが、アリエル国王」
声をひそめる、バルトロメ。
「遺伝ベビーなのでは?」
アントニオ「?!」
「遺伝ベビー?! たしかに、その線も」
バルトロメ「以前、アリエル国王が、よく解らない、小市民に、多額の報奨金をかけた事件があってな。たしか、名をレトと言う」
アントニオ「なるほど」
「いや兄者。現在、本当のアリエル国王は、生きている。
「軟禁されそうになり、逃げている」
バルトロメ「どこにだ?」
アントニオ「現在、バザールの側の、バラックに隠れ住まわれている」
バルトロメ「ホントか!」
アントニオ「ああ、兄者」
「カミロ侯爵が、新しい国王を連れて来た。」
「カミロ侯爵の謀反だ」
バルトロメ「私が、遠方に出向いている時に‥」
「で、アリエル国王陛下は?」
アントニオ「‥会わせましょう」


昔、フェンダール城には、ジギラビリンスを通り、諜報で捕まった人材を
捉える、因習があった。各国に言われ、エスオゴがその役を司っていた。




市街地。路地をまわると、ボロを見にまとった乞食が。
バルトロメ「?!」
アントニオ「国王陛下」
ボロから、顔を出す、老王。

ついてこい、と、首をふる、国王。

バザールに連れていく。
そこには、小さな菜園が。
アリエル国王「もう、目が見えなくなってきているが、これも、人の為と、(自分の為でもあるが)、農作物を研究しながら、日々作っている」
笑う国王。
アリエル国王「ミリタリィムセイオンを見にきてくれた、客が、帰りに、購入してくれたらと思い。
栽培している」

アリエル国王「少し前から、エルフのブシドー館の、方が友達になっての、畑を手伝ってくれておる」
アリエル国王「それで、アントニオ、現在の情勢は?」

アントニオ「今は、新しい国王に変わり、民族博物館で、歌に踊りの、愉快な、世相になってきています」

アリエル国王「レトの演説で、軍事に踏み切ろうと言う、動きは?」

バルトロメ伯爵「ある、各国から、ロケット発射台の、停止と、過去の戦争責任からの、出資」
「国民は、怒り心頭している」
「で、この演説だ」
小さなTVレコーダーをだす、バルトロメ伯爵。
「アリエル国王」
TVの小さな、モニタ。
そこには、レトがエスオゴ城の、高座から演説している様子が映る。
レト「今期政策は、民族博物館を作る。前回、ミリタリィムセイオンは、不作に終わった。今、エスオゴには、ミサハマから、人口が流動してきている。他民族国家になりつつある、我がエスオゴ。今こそ、民族博物館を作り、民族での愛を訴えたいと思う」

国王に拍手喝さいを送る、民衆。


TV放送を見終わる、アリエル国王、一行。


国王は口を開く。

アリエル国王「それは、昔、ある時、ランド=マヨイに、視察旅行に行った時のことだ」
「マヨイは、熱砂の国マヨイとあるように、砂漠気候の国だ」
「あまりに、巨大な施設群のある、公国だ」
「手紙をいただいた、ドゥレン公国城に在籍されておられる、カシュカーン=ケセス国王を訪ね、その後会食になる」
「ケセス国王は、食後、ドゥレン公国城から、2km南西に、はなれた、研究施設」
「サンドラドに連れて言ってくれる」
「そこで、ノンフリーズウォーターという、奇妙な液体を見せてくれる」
「隣のライフコーポレーションの、冷凍倉庫で、凍結した、動物がいるのを見る」
「話によると、この液体を研究開発すると、宇宙まで行けるとか」

「その頃から、わしは、密かな夢に、平和のための、旅行用ロケットをつくってはどうか?と考えるようになっていた」

「ノエールの研究者がおっての」
「ノエールには、前時代から、人種の、全データーベースをとっておるコンピューターがあるらしい」

「私の遺伝ベビーができたのも、マヨイに行ったことからだ」

バルトロメ「?!」

アントニオ「まさか、レト!」

頷く、国王。

アリエル国王「わしは、あの時、初めて、カールの顔を見ようとしたから、気が動転してたようじゃ」
「たしかに、演説をみていると、レト本人かもしれぬ」

アントニオ「たしかに」

バルトロメ「国王の若い頃に、そっくりだ」

「その、宇宙旅行ロケットの話は、カールには?」

アリエル国王「いや、まだ、会えていない」
「来てから、ゆっくりと話そうと思う」





口バザール側、小さな農園。

長身の美しい、男性が、やってくる。
エルフ「アリエル国王陛下」
「また、外宇宙の話ですか?」
会釈する、アリエル国王。
つられて、会釈する、バルトロメとアントニオ。
エルフ「こちらの、お二方は?」
バルトロメ「わたくし、伯爵のバルトロメ。こちら、男爵のアントニオです」
エルフ「初めまして、私、名乗るのが遅れました、エルフの村の、カイ=コーレ=セッシェルです」
アントニオ「話は存じております、陛下を助けていただきありがとうございます」
笑うエルフ。
「大変でしたね」
「大変つづきですが」
真顔に戻る、エルフ。
「そろそろ、おこりそうですよ」
アントニオ、バルトロメ。
「?!」
エルフ「暴動が‥」





動く憲兵隊に、連れて行かれる、民間人。
ジギラビリンスに連れていかれる。


送られてきた、紙幣を、エスオゴ城の金庫に、大量に積まれている。
紙幣の山に、手をかける、レト。
レト「これだけある、お金が、ペーパーに毛を生えたくらいの値段か‥」

美しい女性に、囲まれているレト。
レト「僕に、力を貸してくれ」

エスオゴ城の、レトの自室。
机の上で、お金の束を、封筒に選り分けているレト。
封筒に署名を書くレト。
束をより分けて、次々に封書を作っていく。
レト「これで、よし」

ドアを開けて、秘書が入ってくる。
レトの側まで来ると、耳打ちする、秘書。
レト「!!」
レト「ばかな!? 国王が生きているだと!!」
秘書「はい、突き当てた、話では、エルフ族のものと、国交を計っているとか」
レト「エルフ族!!」
「たしか、上位種族」
「エミリー。もういい。今日は、帰ってくれ」
秘書は、一礼すると、丁寧にドアを閉め去って行く。

歯を小刻みに、ガチガチと噛む、レト。
「殺される‥」

机の上の、ティーカップを落とすレト。
レト「そうだ、エルフ族について、調べないと」

エルフ族の、情報を時間をかけ、調べるレト。
2日後。エスオゴ城の、レトの自室。
レトには、疲労の色が見え、顎には、うすらヒゲが生えてきている。
辞書の一面をめくると、急に立ち上がるレト。
レト「いた! 前に会ったことがある。 第44代王女。プリンセス、ソフィアだ!!」

すぐさま、ソフィアを王宮に呼びたいと、秘書と連携をとって、ランド=ダデム。白金の渚亭に、使いのものを出す、レト。






口二重使者

ランド=ダデム。
白金の渚亭。
夜。0時前。

TVでは、ニュースも済んで、歌番組が始まっている。

エディブ「で、どうだったんだい?ユリーサの旅行は?」
カール「うん、子供は可愛かったよ」
「アトラクションで、ギャーっと、ワーっと楽しんで」
エディブ「ガハハハ、そうかい。そうかい」

カラン、カラン。

バンガードアを、通って、人が入って来る。

エディブ「なんだい、こんな夜更けに」

密使「我、エスオゴからの使者、ドグラス。カール様たるもの、存じますか?」


一同「?!」

カール「ああ、俺がカールだが」

ドグラス「エスオゴの伯爵。バルトロメ伯爵殿下が、あなた様を、探しておられます」
「よろしければ、一度、ランド=エスオゴまで。ご足労いただきたいのですが」


カール「エスオゴ。俺の生まれ故郷だな」
「一度帰らないと、いけないと、みんなに話していた所だ」



ドグラス「よかった」

カール「故郷にいる、レット爺、婆。残したままなんだ」

ドグラス「いつ頃、戻られますか?」

カール「んっ それは‥」


カラン、カラン。
バンガードアを、通って、真夜中に、再び別の使者がくる。


第二密使「我、エスオゴ。国王。アリエル国王陛下の、使者。オッレ。第44代ランド=ソホン王女。ソフィア=ゴールドバーク王女。探しに、参りました」

ソフィア「? こんどは、私?」

鉢合わせをする、使者と使者。

オッレ「貴者、たしか、バルトロメ伯爵の」
「失礼、急用を思い出しましたので」

バンガードアから、急いで出て行く、使者、オッレ。

ソフィア「?」

カール「アリエル国王、たしか、今レトじゃ?‥」
「それに、ソフィアを探しに?」

アラゴー「レトが、ソフィアを探しているとな」

「いくぞ! カール!」

カール「今から?」

アラゴー「明日の、朝に、旅立じゃ」









口ランド=エスオゴ
エスオゴ城。
場内。一室。
書斎。

国王レト。
帰ってくる使者。

レト「どうだった? オッレ」

オッレ「それが、バルトロメ伯爵に、先手を打たれまして」

レト「!!」

レト心の声『白金の渚亭に、先に密使を送ったと言うわけか‥』

レト「もういい、下がれ」

真っ青な顔の、レト。

入ってくる、カミロ侯爵。

カミロ侯爵「どうやら、大変そうですな」
「アリエル国王殿下」

レト「カミロ侯爵!?」

レトに近づいてきて、カミロ侯爵、耳打ちする。

カミロ侯爵「そろそろ軍事をと‥」







To  Be  Continued.