今日はわたしの誕生日。
68歳になりました。
フェイスブックやメッセンジャーなどで、たくさんのみなさまから祝福をいただき、恐縮しております。
お送りくださったみなさま、ほんとうにありがとうございます。
祝福の言葉に、恐縮してしまうのには理由があります。
それは、次のような昔の記憶とつながっているからです。
大学2年でスキーに出逢うまで、わたしには自分の未来が見えませんでした。
自分が成りたいものはあったのですが、どうすれば良いのかわからず、それに加えて成りたいものになるためには、もっともっとさまざまな経験をしなければならないと感じていたからです。
わたしがなりたいものは、作家でした。
しかし、残念ながら、どうしたら良いのか、まったくわかりませんでした。
大学2年でスキーに出逢う直前まで、よく大学構内のベンチに腰をかけて、「いったい、これからどうしたら良いのだろう」と悩んでいました。未来は見えず、どうしたら良いのかまったくわからず、迷いに迷っていたのです。あと2年ほどで社会人とならざるを得ないという事実に、恐怖すら感じていました。
それから、フリースタイルスキーに出逢って、フリースタイルスキーに取り憑かれ、スキーを滑ることだけで幸せな時期が何年か続きました。
幸運にも、スキーでかろうじて生計が立てられるところにも辿りつきました。
しかし、もう少しというところで、スキーの歓びではなく、わたしはスキーによる成功を求めてしまったのです。そして、大きな怪我を負うことになりました。
当時の医学では「致命的」と言われたヒザの靱帯と半月板の損傷でした。
半年に渡る入院中、「もう死のう」と思ったこともあります。しかし、さまざまな葛藤の中から、もう一度滑るところに帰ってきました。
つまり、わたしの人生はスキーに出逢うまで、迷路を歩いているようなものだったのです。
そしてスキーに出逢ってからは、強烈な運命に操られて・・・・導かれて・・・・、さまざまな経験に投げ込まれ、体験を積み重ねるものとなったのです。
怪我をした20代半ば、わたしは自分が50歳まで生きているなどと信じられませんでした。
不思議なことにアメリカの友人クーパー・シェルも同じことを言っていました。
しかし気が付けば68歳となり、今でもスキーヤーとして生計を立てています。
今朝も白馬五竜スキー学校の先生から、「角皆さん、今シーズンは休みなしですか?」と尋ねられました。ほんとうは「はい」と答えたかったのですが、残念ながら誕生日の今日、レッスンが入っていませんでした。つまり失業です。
ですから、もしわたしに誇れることがあるとすれば、「自分なりに精一杯生きてきた」ということだけです。
祝福に値するような人生だったとは、とても思えません。
自分のDVDを観れば、その下手さ加減にがっかりすることもしばしば・・・・・・。
スキーはわたしの人生の導き手ですが、そのスキーをどこまで会得できたのかについては、まったく自信がありません。
68歳の1日目となる今日、レッスンがないこともあり、妻と一緒に滑ることからスタートしました。
日本一練習効率の良い飯森ゲレンデを滑ってから、ゴンドラで山頂に上がり、大好きなグランプリコースでトレーニングし、それから一気に滑り下りて、リフトアップコーヒーでアーモンドラテをご馳走してもらいました。
人生はほんとうに不思議です。
何をどう間違うと、わたしのような人生を歩むことになるのでしょう?
たくさんの驚きに包まれた命に・・・・・・。
60歳を超えてようやく、少しずつですが、人生の方向が見えてきたような気がします。錯覚かもしれませんが・・・・・・。
ここまでわたしを引っ張ってきてくれたスキーに、心からの感謝を。
スキーに耐えられる心と体を作ってくれた水泳にも感謝を。
そして、現実にわたしを支えてくださっているのは、毎日のレッスンにご入校いただいているみなさまです。そんなみなさまからの祝福の言葉に10倍、100倍で、「ありがとう」をお返しさせてください。
心から感謝しております。
奇想天外な生き方をしてきたわたしですが、自分なりに考えたスキー論を、思い切り打ち出したDVDがこちらです。
ぜひみなさまにご覧いただき、感想などお教えいただけましたら幸いです。
最後にひとつだけ。
このDVDで伝えられなかった重大な内容がひとつあるのです。それを、次回に紹介させていただきたいと考えています。ですから次作も、どうかよろしくお願い致します。
誕生日のメッセージをくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。