ミャスコフスキーからロストロポーヴィッチへ | トナカイの独り言

ミャスコフスキーからロストロポーヴィッチへ

 久しぶりに音楽の話を書こうと思います。

 ここのところ毎日、仏教の本を訳しているので、ちょっと宗教の教理や哲学的思考から離れて、もっと感性に訴えかけてくるものを語ってみたいです。

 

 前のスキーシーズンの後半から、わたしはミャスコフスキーとペッテションという二人のマイナーな作曲家に、心を捉えられてきました。どちらも暗く、苦しそうな曲ばかりを創った芸術家です。

 スキーシーズンの終わる頃、しだいにミャスコフスキーに傾いていき、ついに彼の全集まで買ってしまいました。ずいぶん聴いたように思います。

 ミャスコフスキーは1881年生まれ。1950年に亡くなっていますから、かなり現代に近い作曲家と呼べます。そして、驚くのは大型の交響曲を27曲も創っていることでしょうか。どれもなかなか魅力的な曲です。響きがとてもマーラーに似ているようにも思います。加えて、曲想もマーラーと重なるところが多いように、わたしは感じました。暗くて、救いがない曲が多いのですが、とても惹きつけられます。

 いろいろ聴いているうちに、チェロ協奏曲も素晴らしいと感じました。

 ミャスコフスキーにしては、例外的なほどロマンティックな曲です。

 

 

 何人かの演奏で、これを聴いているうち、ロストロポーヴィッチの演奏に深く感動させられました。彼の音に込められた何かが、鋭く心に突き刺さってくるのです。
 そこで、彼のベートーヴェンやバッハを聴き直してみました。
 すると、どの演奏からも、独特の感動を得られたのです。特にバッハは素晴らしいと感じました。
 

 これまでチェリストというと、わたしがいちばん聴いてきたのは、ジャックリーヌ・デュプレでしょうか。彼女の数奇な運命(多発性硬化症を発病したのですが、短い間だけ全快して、音楽の録音をおこなった)とも重なって、その演奏からいつも深い感動を与えられてきました。
 今回のロストロポーヴィッチは、もちろんデュプレと異なっているのですが、やはり特別な何かを、音楽から与えてもらいました。
 

 ショスタコーヴィッチのチェロ協奏曲でも、彼の演奏はどこか特別のように感じます。もちろん、彼に捧げられた曲だからと言うこともありますが、特別に心に食い込んでくる音楽がそこに流れています。
 

 ミャスコフスキーの響きがマーラーに似ていると言いましたが、チャイコフスキーを思わせるところもあります。
 チャイコフスキーのオーケストレーションは特別で、わたしを驚かせるところがたくさんあります。音楽そのものの言いたいことより、響きに惹きつけられてしまうという不思議なことが起こる作曲家ですらあります。
 ここで響きの話になったので、少し脱線しますと、近頃ウェイトトレーニングする時に聴いている「Two Steps from Hell」というレーベルがあります。これが素晴らしいオーケストレーションを施されているのです。スターウォーズなどを作曲しているジョン・ウィリアムズやロッキーのビル・コンティも素晴らしいと感じてきましたが、この
Two Steps from Hell は別格で、まるでチャイコフスキーとベートーヴェンの良いところを合わせたようなサウンドを創り上げています。

 

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 音楽の歴史という観点から見ると、オーケストラの最良の響きが、ここにあるように感じます。
 ただ、Two Steps from Hell の曲はどれも短かったり、アップテンポで戦闘的な曲が多いので、ミャスコフスキーやショスタコーヴィッチのように鑑賞はできないでしょう。ウェイトトレーニングにはもってこいですが。
 

 もしチャンスがありましたら、マーラーより暗く救いのないミャスコフスキーを、ぜひ聴いてみてください。

 それからロストロポーヴィッチも。
 彼の演奏にかんしては、チェロだけでなく、プロコフィエフやショスタコーヴィッチを指揮した録音もお聴き下さい。