11月3日の今日は、「レコードの日」だそうです。
わたしもそうですが、わたしのまわりには、レコードへの想いが深い友人が多いです。
“LPレコード、33回転の深淵 ” を書かれている CORPS さんはいうに及ばず、友人の多くがたくさんのレコードを所有していて、よく借りたり、貸したりした記憶があります。
いちばんレコードを聴いたのは高校時代でしょうか?
近くのレコード屋さんに自転車で行き、どれを買おうかとレコードを繰っている時など、いつも大きな期待感と不思議な興奮を味わったものです。
当時のレコードは装丁がしっかりとしていて、あたかも本のような見開きになっていることも多く、美しい写真や芸術的な文章がたくさん記載されていました。ですから、写真を見たり、文章を読む喜びも大きかったように記憶しています。
フルトヴェングラーのベートーヴェン9番に書かれていた評論に感動し、何度もなんども読み返したことを、昨日のことのように覚えています。
たしか評論の冒頭に、こんなふうなことが書かれていたような…。
「宇宙が雪崩を打って落ち始める…」
そのレコードの表紙は、下のCDと同じものだったような気がします。当然ですが、大きくて、なかにはしっかりと本のようなページが入っていました。
当時、レコードは高価なもので、たいへんな宝物に感じられました。
やがて時代がまわり、音楽の主流がレコードからテープへ移り、やがてCDへと変わりました。いつしか、わたしもレコードプレーヤーを持っていない不便を忘れるようになりました。
不必要なものがあふれている自宅を片づけようと、レコードを整理したのは数年前のこと。そのとき、数百枚のレコードを売りました。なかには手元に置いておきたいと感じたレコードもたくさんありました。
見開きの空間に、自分の文字で詩のようなものが書いてあったり、感想が書いてあったりするものも多かったです。買った場所と日にち、雑感が少々書かれているものもたくさんありました。
しかし、「プレーヤーがないのに置いておいても仕方がない」と強いて考え、ぜんぶ売りました。
別れは辛かったです。
レコードを扱う時、ほんとうに集中したことも覚えています。
デジタルでなく、じっさいに音の波が刻まれ、壊れやすい繊細な生き物。スプレーをかけたり、拭いたり、吹いたりするとき、いつも真剣でした。
レコード一枚に、何と大きな世界が広がっているのだろうと感じました。
もし一枚だけレコードを手元に残しておくとしたら、やはり上記のフルトヴェングラーでしょうか。
わたしの持っていたレコードは二枚組で、片面に5番が入っていました。その演奏が、わたしは今でも大好きで、手放すときも「これだけは壁に飾ろうか」と最後まで悩みました。
バイロイト祝祭管弦楽団による第9交響曲の録音年代は1951年だったはず。
今ではその音源を徹底的に改良した新盤が出ています。もしフルトヴェングラーを聴きたいなら、上記のCDではなく、こちらの方がいいかもしれませんね。
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高校時代よく通ったレコード屋さんが、昨年倒産したと聞きました。
最後の数年はレコード屋というより、本屋として頑張っていて、わたしも何度か訪れたことがあります。
店を閉めるとき、そこの社長がわたしの父にこう言ったそうです。
「うちでいちばんレコードを買ってくれたのは、お宅の息子さんですよ。ありがとうございました」
もし、わたしに直接、そう言ってくれたなら、きっと涙したに違いありません。
レコードに、たくさんの感動と勇気をもらいましたから。
