音楽とバレエスキー | トナカイの独り言
2007年03月23日(金)

音楽とバレエスキー

テーマ:音楽の話

 動画を撮ってくれた方は、今でもアクロの練習を続けている高島さんです。

 演技一曲目“This Guy's in Love”の最後の部分です。

 高島さんは、なんと兵庫県からこの夜のために駆けつけてくれました。

 わたしですらバレエ(アクロ)スキーをトレーニングするのが 6、7年ぶりだというのに、まさにバレエスキーに取り憑かれているとしか考えられません。やはり世の中にはマニアックな方がいるものです。

 ウイルコムのモーグル競技中、バレエスキーにバレエ用のストックを持った高島さんが、スピンしながらコース脇を通るのをみて、心の底から感動しました。

 やはり、バレエスキーには今も消えない魅力があります。

 フィギアスケートがブームを巻き起こしていますが、バレエスキーが復帰すると、フリースタイルスキーも、一気におもしろくなるかも…。でも、バレエほど練習が必要な種目も珍しいので、“即効果”を求める現代人には難しいかもしれませんね。

 今回の演技に使う選曲にかけた時間は、至福の時間でした。

 選手時代から、「この曲でやってみたい」と想う曲がたくさんあったので、そこから選んでみようと考えたのです。

 しかし、いちばん一生懸命練習し、いちばん気に入っていた曲は、結局使わずに終わってしまいました。それはバーバラ・ストライザンドとブライアン・アダムスによるデュエット曲“I Finally Found Someone”です。

 I finally found someone, who knocks me off my feet,
 I finally found the one, who makes me feel complete.
 ようやく、自分が崩れ落ちてしまうような「誰か」を見つけた。
 ようやく、自分が完全な自分でいられるような「誰か」を見つけた。

 この曲からは、バレエスキーに対してだけでなく、深く真剣なインスピレーションを与えられました。

 来年こそ、この曲で演じてみたいと感じています。じっさい、今年もこの曲のできがいちばんよかったのですから…。


 さて、音楽といえば、わたしは異常にベートーヴェンに惹かれます。

 その理由には次のようなものがあるかもしれません。

 それは、選手時代の絶頂期、ヒザに後遺症の残る怪我をしてしまった自分の存在。それが、絶頂期に聴覚を失ったベートーヴェンとだぶって感じられるからではないでしょうか。ヒザの曲がりきらないモーグルスキーヤーと、耳の聴こえない音楽家はどこか共通しているように感じたのです。

 ベートーヴェンは聴力を失ったにもかかわらず、素晴らしい作品を続々と産み出しました。

 晩年は時代を超えてしまい、まわりに理解されない曲も多くなりましたが、彼自身がその価値を知っていました。

「これは百年後の人類へのプレゼントだ」

 そう言ったというベートーヴェンに、心から脱帽します。

 二日ほど前、久しぶりにモーツアルトをたくさん聴きました。時々ピアノ協奏曲は聴いていましたが、久しぶりに交響曲を何曲か聴きました。

 ベートーヴェンとはまったく違う、自然にわき上がるような喜び。

 モーツアルトにしか感じられない音楽を堪能しました。

 特にヴェーグのプラハと、セルの39番に感じるところが多かったです。そして、昔から好きだったハフナー(セル)にも、身震いするほど感動しました。

 今まで、わたしはあまり39番に感動したことがなかったのですが、今回はほんとうに素晴らしい曲だと感じました。

 39番は比較的短い曲だとはいえ、25分くらいはあります。

 ふつうの現代人が精神を集中し、25分間音楽を聴くことは難しいことです。携帯が鳴ったり、電話が鳴ったり、騒音が入ったり、人が話しかけたり…。

 しかし、25分間集中して聴き続けるからこそ、理解できる深い世界があります。

 マーラーなら、それは2時間を超えることもありますし、ワーグナーなら4時間を超えることもあります。

 フルトヴェングラーの『音と言葉』のなかに、ベートーヴェンの解釈について、こんな表現があります。

「…全作品をその構成ぐるみ、生きた有機体として身を打ち込んで、そこに生きることです。作品の構成は、純粋音楽家であるベートーヴェンの場合、内心の経過そのものと同一です」

 つまり、作品全体を味わうことが、意味のあることだというのです。切り刻まれた鑑賞というのはあり得ないのです。

 どうか人類が、これからそんな時間の貴重さを再確認できますように…。

 しばし音楽や文学や、詩などに没頭できるような社会を創れますように…。

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