辛いこと | トナカイの独り言
2006年11月19日(日)

辛いこと

テーマ:スキーの話

 今日は辛いことを書いてみよう。

 今年のシーズンオフに起こったことで、一生忘れないことについて…。


 誰にでも辛いことはある。

 誰にでも辛い記憶はある。

 振り返ると、わたしは比較的恵まれていて、ほんとうに辛いことは数えるほどしかない。

 いちばん古い辛い記憶は、幼い頃、大好きだった女の子を殴ってしまったこと。それは不思議な記憶で、殴った理由は「大好きだったから」としか説明できないほど…。思春期の魔力にとらえられた頃のできごとだった。


 大人になってから、辛いことがあった。

 あまりに辛くて、自分の心を整理せずにはいられず、“流れ星たちの長野オリンピック”という本を書いた。それはノンフィクションで、自分の経験した理不尽で、辛いできごとを、できるだけ冷静に書こうと努力した。そこから「何かが見つかるかもしれない」と思ったし、そこから「自分が変わるかもしれない」とも思ったから。

 書き上げた物語を持って、いくつかのスキー関連出版社をまわったけれど、どこもシャットアウトだった。一種の暴露本とみなされ、スキー連盟という権威に刃向かっているとされ、まさに総スカン。そこでコンテストに出してみた。不運なことにメジャーなタイトルを獲り、自分の人生をより難しいものにした。


 事業でも辛いことがあった。

 共同経営者と意見が合わず、わたしが飛び出すという形をとったことがある。

 正直、自分の心には「だまされた」という感情が残り、まわりのスタッフにも迷惑をかけた。


 もう一つ、書きたいことがあるが、それはまだまだ周りに影響が出るのでやめておこう。


 そして、今年のオフシーズンのできごとである。

 わたしたちの会社でもっとも成功していると考えられていた二人のスタッフが辞めたのだ。

 一人は高校生からスクールで頑張ってくれた人間。もう一人はスクールのトップを担った人間である。

 正直、ショックだった。

 二人の退職理由に、実家の問題や複合的な問題が大きくかかわっていたとは言え、辞める理由のどこかに、「今の会社に魅力が足りない」とか、「自分は彼らを理解していなかった」という事実があることは間違いないだろう。

 一人はさまざまな複合的な理由を、正直に話してくれた。そこにはやはり不満もあり、問題に光が当てられた。彼はスクールの主任会議でも、現状の問題点を的確に指摘してくれ、最後まで会社のためを思ってくれた。ほんとうにありがとう。


 もう一人はふだんから口数が少なく、わたしとの会話の量からすると、とても少なかった。

 しかし、彼が高校生で父親に伴われて訪ねてきて以来、わたしは心のどこかで、「彼は身内だ」と感じていた。彼に対する責任や、義務のようなものを感じていた。だから、どこかで自分の身内だと安心していた。

 そんな二人が辞めるということが、ほんとうに悲しく、淋しく、辛い。

 彼らの将来が、スキースクールにないことも理解している。しかし、彼らがスキーを大好きで、きっと一生続けるだろうこともわかっている。

 「実力を蓄えて、独立するのが社会の常識」

 そんな形ではない会社創りをめざしていた。実力があるからこそ、うまくかかわれる会社作りをめざしていた。しかし、実力のある彼らが去ったことは、自分が間違っていたことの証明である。

 実力を培って独立ではなく、「実力を培えば培うほど、うまくかかわれる会社作り」

 それは、どうすればできるのだろう。

 彼らと話し合い、結局「姉妹校」をスタートさせることになりそうである。これからも一緒に仕事ができ、活動サークルは広がった。しかし、彼らが辞めた理由が解決されたわけではない。


SwimmingComp

 近頃見た映画“名犬ラッシー”のなかに、こんな言葉があった。

「すべてを手に入れられるなんて、考えないで…」

 そして、近頃読んでいる河合隼雄さんの本に、こんな言葉があった。

「現代人はどんな事象に対しても、『なぜ』と問いかけ、その答えが簡単に得られ、それによって安心する、というパターンにはまりこみすぎている」

 きっと、明快な答えなどないのかもしれない。

 しかし、今シーズンは二人の退職を、深く考えながらすごすことになりそうである。

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