こんにちは。

 

ちょっとだけ前の話になりますが、田村正和の訃報はとても残念でした。

 

我々おっさん世代としては、「うちの子にかぎって」「パパはニュースキャスター」の様なコメディータッチのものから、トレンディドラマと呼ばれたおしゃれなものまでこなせる俳優さんだったのですが、私にとって一番インパクトが大きかったのは何と言っても「眠狂四郎」でした。

 

 

「眠狂四郎」は田村正和の代表作の1つと言われていて、別段マイナーなものを拾い上げてきたものではありません。1972年に放映された番組ですので、私はリアルタイムではみていません。

 

カッコいい…

 

このドラマで思い出すことがあります。

 

大学時代(1980年代後半)、群馬県で一人暮らしをしていた私は、ご多分にもれず夜型のダラダラした生活を送っていました。夜12時過ぎに、近所のラーメン屋さんにラーメンを食べに行くことにしました。

 

このラーメン屋さん、実に怪しいお店だったのです。トタンで囲まれた木造平屋の古い建物で、店内もよく見えず、足を踏み入れるのに躊躇するお店でした。

こんな夜に、こんな怪しいお店に入って大丈夫かな…。中に怖い人が集まっていて、ひどい目にあったらどうしようかな…とも思ったのですが、好奇心がやや上回り、行ってみることにしました。

 

引き戸の入り口をガラガラと開けると、向かって右側にカウンターがあり、左の方を見ると4人掛けの机と椅子。確かソファーとテーブルもあったので、スナックのような店内。

カウンターの中にいた店主の方は、身長は高くないがガッチリした体格。目は大きくて目つきは鋭く、パンチパーマに口ひげをはやした50代くらいのおじさん。金色の喜平ネックレスをしていて、見るからに「あのスジの方」。客は誰もおらず、私一人。

 

げっ、怖いなあと思いながら、ラーメンを注文。

 

カウンターの向こうにはテレビで時代劇が放送されていたので、怖さを紛らわすためにテレビに少し集中しようかなと思いました。

 

そこで放送されていたのが、田村正和主演の「眠狂四郎」だったんです。

もともとはフジテレビ系で放送されていたのですが、多分テレビ東京の深夜枠で放送されていたんじゃないかなあと思います。(うろ覚えです)

 

時代劇と言えば、里見浩太朗とか高橋秀樹とか松平健とか、濃いめの顔の人と相場が決まっていると思っていたので、田村正和のようなスッキリした顔立ちの俳優が演じることがちょっと新鮮でした。

劇中、画面のトーンが全体的に暗い感じがして、しかもエロい場面が出てきたりしまして、私はつい画面を食い入るように見てしまいます。(笑)

この、オトナの淫靡さ。ニヒルな田村正和にピッタリあう雰囲気だなあと引き込まれました。

 

気がつけばラーメン到着。まあ別段うまいでもない普通のラーメンをすすりまして、完食。まだ番組の途中だったので、最後まで見たかった私は怖そうなおじさんに「ちょっと最後まで見ていっていいですか?」と聞いてみました。「ああ、まだ閉めないから」と言われたので、エンディングテーマまで見てしまいました。

 

田村正和の殺陣はお見事と言うしかなかったです。そして円月殺法。暗い画面にキラリと光り円を描く刀。迫力があるという感じじゃないけど、田村正和のカッコよさにめっちゃ惹かれましたねえ。男の色気ですね。

 

番組が終了し、私はおじさんにお金を払って、店を出ました。

怖そうなおじさんは、話し方も少し怖かったけど、怒られることもなく普通に会話ができてホッとしました。

 

とまあこんな話。どうってことないんですけど、もう35年ほど前になるこのラーメン屋さんでの経験を、テレビに映る眠狂四郎役の田村正和の映像と一緒にしっかりと覚えております。

 

このお店、私が大学を卒業する頃にはなくなっていました。

「どうしているかな、あのおじさん」と今でも時々気になります。お店にお客が入らず、店を閉じさせられた挙げ句、元締めの人にひどい目に遭ってないかとか、そんなことを考えたり。

結局一度しか会ったことのないおじさんですが、ものすごく印象に残っています。

 

Googleストリートビューで、あのラーメン屋さんがあったと思われる場所を見てました。

多分、この車が止まっている場所だったような気がします。もう建物ごと潰されちゃってるのかな。

もしかしたら左側にあるお店だったかもしれませんが、正直覚えていません。

あー分からなくて悔しい。

 

はー、ようやくこの話を吐き出すことができました!

私以外誰得でもない話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

この田村正和主演の「眠狂四郎」、DVDで出ているんですね!

お金に余裕があれば買って観てみたいなあ。

 

 

ではでは。