19世紀末、ちょうどホームズが活躍していた時代に犯罪史に残る未解決事件がロンドンで起きました。「切り裂きジャック」の事件です。
 何人もの街娼が鋭利な刃物で切り裂かれて殺されるという、残忍な事件ですが、未だに犯人はだれかわかってはいません。
 この有名な事件はこれまで多くのフィクションやノンフィクションで取り上げられ、また映画などにもなっていますので、ご存知の方も多いでしょう。
 となると、同じ時代の名探偵であるホームズがどうしてこの事件を捜査しなかったのか、と誰しもが思うところでしょう。
 ホームズのパスティシュのなかにはもちろん、切り裂きジャックを扱った作品があります。

 エラリー・クィーンの「恐怖の研究」はワトスン医師の未発表原稿を手にした自身の探偵エラリー(作者と同じ名前で作家です)が切り裂きジャックを追ったホームズの活躍を読みながら、最後は自分で真犯人を推理する、という物語になっています。
 エラリーに原稿を送ったのはだれか、という謎もあって、過去と現代の名探偵の推理を楽しめるとはぜいたくではありませんか。

 もう一つ、エドワード・B・ハナ作「ホワイトチャペルの恐怖」はとあるところから発見されたワトスン医師の原稿をもとに三人称で書き直した作品、ということになっています。
 ビクトリア時代当時の陰影に満ちたロンドンが緻密に描かれて、陰惨な事件を追うホームズとワトスンの活躍がリアルに感じられます。
 事件は次第に英国王室ともかかわる陰謀に発展していきます。ホームズはジャックの正体を突き止められるのでしょうか。

 実際の事件が未解決であるだけにどのようにも話を発展させられるのが「切り裂きジャック事件」です。さて、真実はいったい?

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