ある日…
検査の結果ですが
残念なから 悪性腫瘍でした
ガンです
不安はありつつも
違う
絶対に違う
まさかガンなんかじゃないよな
違う
そう思いながら診察室へ入った自分が
すべて打ち消され
ガンです
と言われたときの気持ちは
言われた人じゃないとわからない
え? まさか…… という気持ちと
あ やっぱりか という気持ちと
がん?自分が? え?なんで?
という気持ちと
複雑に入り混じってしまって
でも ガンだとしたなら どうしたら助かるのか
自分のガンのステージは?
と、そっちも気になり
医師からの話を固唾を呑んで聞き入る事に…………
手術は?
ステージは?
どんなガン?
質問はたくさんあるのに
何から言えばいいのか 医師からの話の流れで聞こうと考えたり…………
治療方針や、入院、手術
聞かされる事はたくさんで
ガンと言われていっぱいいっぱいの頭に
これでもかと詰め込んでくるこれからの自分の身
痛かったり 悶絶してたりしてるなら
なんとかしてぇぇ!と なすがままになるけど
ちょっと胃の調子がなぁ〜 くらいで
とか、
あれ?この痛くないシコリなに?
とか
昨日まで普通に生活してたのに
今日からは ガン患者…………
それを受け入れるまでの心の葛藤は
どんな病気の時よりも辛くて 重い
すぐに入院 と言うことにもならず
家に帰り、入院の準備などをするための時間は
自分のこれまでの人生を考えたり
この先の自分の命の期限を考えたり
泣いたりして 命の大切さや
病気の重さを 思い知って
辛かったり
悲しかったり
これは 本当に 経験したことがないと この気持ちは理解できないと思う
頭の中が真っ白になって
何も考えられなくなる
私の上司も 喉頭ガン と告知された
入院し 放射線治療でガンを小さくして
それから摘出手術を施した
退院し
勤務し始めた頃 私の横にきて
二人でお店のカウンターに並んで前を見ながら
上司が言った
ステージ4だとよ……治療もな、完治は無理だって 悪化しないようにうまく付き合ってくしかないって言われてよ…………
私は
うん
うん
と聞くしかできない
でも 私にしか話さない
それは 私もガンを経験していたから。
ガンになった者にしかわからない 苦しさや辛さ
上司には こう言った
つらいよね、一番つらいのは課長だよね でもね、前にくも膜下出血やったあと、タバコやめなかったしお酒もやめなかったもんね だからそのガンは自業自得ってこともあるんだよ
もう、なったものはしゃーないんだから嘆くより闘わなきゃね
治療に疑問持ったら主治医にちゃんと言ってさ とにかく 進行止めて生きていかなきゃ!
そういうと 苦笑いを浮かべていた
3歳歳上
このときから二年後の11月
上司は 旅立った
会社として葬儀を仕切っていた常務も
部長も 私達パートも社員の人たちも
みんなが泣きに泣いた
その時 一緒に葬儀に参加していた
パートのおじさんも
去年 同じ喉頭ガンで亡くなった
私と5歳しか変わらないのに
そのおじさんもヘビースモーカーだった。私が何度も
たーにゃん(おじさんのあだ名)タバコやめなよ〜ガンになってからなら遅いんだよ? と言ってたのに なったらなったときだぁ!と笑っていたが
やはりなった 2020年に告知され2022年に
上司の後を追うように 旅立った
ガンは 死ぬ
ガン = 死
私も 術後13年
7月で14年目になる。
キャンデーズのスーちゃんは
16年目で転移し 亡くなっているから
私も決して 安心出来るわけじゃない
そして この不安ななんとも言えない気持ちは
ガンになった人じゃないと 理解不能だと思います。