$カイビガンの休日

               (雪道を歩くローズ)

このシリーズでは、フィリピーナから聴きとった、
彼女たちの日常や人生を綴っていきます。

人は幸せになりたいと思って、努力したり、苦労したり、行動したりするわけですが、
なにが幸せという価値は千差万別。

人生いろいろ、フィリピーナもイロイロ

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首都圏に住むローズは30歳。
フィリピンのマニラからバスで4~5時間かかるヌエバエシハ出身。

フィリピンの米どころとして有名な地域で、彼女の家も農家だ。
10年前の20歳の時にタレントとして来日した。

美人というより、性格がいいので、魅力があるフィリピーナ。
彼女にどう生きて来たかを聴いた。

「最初は日本に来て、半年でフィリピン帰ってというタレントだったけど、そのうちランナウェイした」


ランナウェイした


ーーえっ、ランナウェイしたの?

「昔は今ほど厳しくなかったから仕事できた。4年間ランナウェイしてたんだけど、スナックで働いたり、昼間はパチンコ台のペンキを塗る仕事をしてた」

ーーへえ、パチンコ台のペンキ塗り。

「そう。その頃は不規則な生活をしてた。朝も昼も夜も、ご飯をたべなかったり。お店でお酒飲んで、ペンキの匂いをかぎながら仕事していたから、病気になった。1カ月入院してたんだよ」

ーーどんな病気?

「腸の病気。お医者さんからもうちょっとで腸が破裂するところだったって言われた」


私は彼女に「ペンキの匂いを毎日かぐというのはよくないね」と言った。彼女は鼻から匂いをかぐ仕草をして、「仕事だからしょうがなかったけど、そう、よくない」と顔をしかめて言った。でも、そのしかめっつらがちょっとかわいい。

ランナウェイだから、健康保険もなく、入院の医療費はとても高かったという。日本の入国管理当局は、2006年頃からフィリピン人への在留審査を厳しくし、04年末には8万数千人いたフィリピンのタレントが、徐々に消えていった。

彼女がランナウェイしている間に日本の入管が厳しくなってしまって、どんどん帰れなくなって行った。帰ったらもう日本に2度と来れなくなるかもしれない。

だが、ローズは4年間のランナウェイ生活で、体力的にも精神的にも疲れ切って、限界に達していた。

「そういう時、お客さんが同情してくれて、結婚してあげるよと言ってくれたの。それで、久しぶりにフィリピン帰って、その人とフィリピンで結婚式した」




               ーーーーーーつづくーーーー



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