本日は加山雄三とザ・ヤンチャーズ「座・ロンリーハーツ親父バンド」(2010年リリース) です。
2010年に日本の元祖シンガー・ソングライターである加山雄三さんが、デビュー50周年を迎えました。1960年に銀幕の世界に俳優としてデビューし、翌年には歌手として「夜の太陽」でデビューしてから、数多くのヒット曲を生み出し、「若大将」の愛称で親しまれているのは、現在でもよく知られています。俳優業は2000代以降は一切行っておらず、音楽活動がメインとなっています。先にも述べたように日本の元祖シンガー・ソングライターでもあり、自作で曲を作り歌う草分け的な存在でもあります。(美輪明宏さんが元祖という説もあり) 80歳を越えた現在でも活動を続けており、その存在は多くのミュージシャンから信奉される存在でもあり、まさに「生ける伝説」でもあります。
そんな2010年に加山さんが新曲を発表、そこに加山さんと親しいミュージシャンを加えたコラボレーション・ソングがリリースされます。それがこの「座・ロンリーハーツ親父バンド」となります。
加山雄三とザ・ヤンチャーズは以下のメンバーで構成されます。
- 加山雄三
- 谷村新司
- さだまさし
- 南こうせつ
- 森山良子
- THE ALFEE(桜井賢・坂崎幸之助・高見沢俊彦)
ザ・ヤンチャーズはアメリカのバンド「ザ・ベンチャーズ」(The Ventures) から取ったもので、1965年に加山さんと共演してから長い間親交があり、加山さんも多くの影響を受けたバンドでした。そんな敬愛するバンドから捩ったこのバンドは大所帯で全員が大御所という、加山さんだからこそ集まったバンドでした。加山さん以外のメンバーは全員がサングラスを掛けるさださん曰く「制服」をするのが決まりとなっており、普段からサングラスを掛けることの多いTHE ALFEE以外はかなり珍しい姿を見ることも出来ます。また、全員が楽器を持ちながら歌を歌っており、加山さんと高見沢さんはエレクトリック・ギター、桜井さんはベース、それ以外のメンバーはアコースティック・ギターを持ちながらの歌唱となります。(谷村さんは12弦のアコースティック・ギターを持っての歌唱) 音頭を取り、ザ・ヤンチャーズという名前を付けたのはさださんでした。
曲が先に作られ、後から歌詞が付けられました。長い曲だったこともあり誰が歌詞を付けるかとなった際に、メンバー一致でさださんが歌詞を書くことになったそうです。理由としては長い曲にはさださんの歌詞が良いという理由でした。歌詞は歳を重ねてもあの頃の情熱はあるといった、壮年・老年になっても自分を鼓舞するような応援歌となっています。
「みんな歌おうもう一度 あの日のように声を合わせて」
「ときめく胸 恋の歌 忘れられない恋の歌」
若い頃から年月を経てみんなが集まった今。みんなであの時の想い出となる恋の歌を、もう一度歌おうと言うのです。
「誰でもいつか年を取る 当たり前じゃないかそんなこと」
「大切なのは胸の炎 燃やし続けること」
ここで谷村さんがハモリに参加。「サライ」で連携した歌声をここでも堪能できます。年は誰でも取るのは当然。だからこそ若い頃の燃えるような情熱を、いつまでも持っていることこそが大事だと言います。
「歌おう恋のときめきを」(恋の歌を)
「若造時代に気づかない」
「本当の優しさや 愛や生命(いのち)の重さを」
ここで全員が参加。THE ALFEEの3人はコーラスに徹します。今だからこそ恋の歌を歌おうじゃないか、あの頃の恋のときめきを思い出そうよ、と歌います。でも歳を重ねた今、若いときには何とも思わなかった優しさや愛と生命の重みを感じており、歌にも重みが加わっています。
「それぞれ色々ありまして」(夢破れて)
「切ないながら生き抜いて」(負けない)
ここは良子さんがハモリに参加。紅一点の澄んだ歌声が聴けます。ここまでの人生は勿論ながら順風満帆ではありません。色々と辛いことや悲しいこともありました。切ないこともありながら生きてきました。
「やっとこうして 歌おう さあ今こそ」
「人は一人じゃない筈さ」
だからこそ辛い時期を経た今、歌おうよ!そう鼓舞します。なにせみんなが集まって歌っています。人は一人じゃありません。
「ギター抱えて集まれば」
「あの頃と少しも変わらない」
ここはこうせつさん。ハモリバッチリで加山さんと楽しく歌っています。ギター抱えて歌えばあの若い頃と同じ、楽しい時間に戻ります。
「我らロンリーハーツ親父バンド」
「温もりじゃ負けはしない」
1番ラストはさださんです。若者に負けないのはもう一つ。ここのバンドは熱いだけでなく、温もりも負けはしません。
2番は良子さんとTHE ALFEEを代表して坂崎さんがハモリに参加しています。
作曲は「弾厚作」名義で加山さん自身が手掛けています。アレンジはアレンジャーの武部聡志さんによるもの。ベンチャーズの影響の強いサーフ・ロックサウンドに、アコースティック・ギターを重ねた暖かみのあるサウンドとなっています。バンド・サウンドもシンプルにまとめられています。エレクトリック・ギターのソロは高見沢さんによるものです。MVのピアノは「ゴダイゴ」のキーボーディストであるミッキー吉野さんが演奏しています。
まさに大御所の揃った「日本の宝」ともいうべきバンド。温もりと熱さが込められた、壮年世代を盛り上げる傑作でしょう。