綺麗なメロディーとバラード。崎谷健次郎「Because Of Love」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は崎谷健次郎「Because Of Love」(1989年リリース) です。



1987年に「もう一度夜を止めて」がスマッシュヒットしたことで、崎谷さんを取り巻く環境が一変します。1988年には歌手・中村由真さんに「千年の涙」を作曲提供し、一般層にも徐々に崎谷さんの名前が浸透するようになってきます。シンガー・ソングライターとしてデビューする前は多くの歌手に作曲提供するなど、作曲家として腕をふるっていたこともあり、その幅広い音楽知識や経験に基づいた作曲技法、そしてデモテープにおいても完パケ(「完全パッケージ」の略で、メロディーだけを吹き込んだものだけではなく、多重録音などを施してアレンジまで万全の状態で提供したもの) で送っていたことが評価されていました。1989年に入ると以前に楽曲提供していた斉藤由貴さんのプロデュースを武部聡志さんから引き継ぎ、アルバム『âge』(アージュ) の作曲・編曲・プロデュースを手掛けます。この年にアメリカで流行していたハウス・ミュージックを現地で学び、その手法を取り入れたアルバムとなりました。また、このアルバムと同時発売で井上陽水さんの名曲「夢の中へ」を由貴さんがカヴァーしシングルとしてリリースすると、シングル・アルバム共に大ヒットとなり、崎谷さんの音楽性・プロデューサーとしての能力が高く評価されます。

とはいえ、自身の作品のヒットが「もう一度夜を止めて」のみというのが現状で、シンガー・ソングライターというよりも作曲家・音楽プロデューサーとしての方が知られています。但し、作る作品は質が高く、普遍的ながら時代を読むセンスにも長けており、「日本一過小評価されているシンガー・ソングライター」ではないかと思っています。元々はクラシックの素養も持っていることもあり、網羅するジャンルも幅広く、「ウタイビトハンター」として出演した日本テレビ系音楽オーディション番組「歌スタ!!」にもそのコメント力の高さ、着眼点の高さから司会を務めた東野幸治さんから「仙人さん」と呼ばれるほど、番組の人気を決定付けたミュージシャンでもありました。まさに「奇才」「天才」とも評されるミュージシャンです。

そんな崎谷さんがリリースした多くの名作から選んだのが、この「Because Of Love」です。

この曲はオービックのCMソングとして起用され、長年使用されていました。

何と言っても崎谷さんによるキーボード弾き語りのバラードは特に名作が多く、「もう一度夜を止めて」もピアノ弾き語りのタイプでした。この音楽投稿初期に投稿した「涙が君を忘れない」もキーボード弾き語りのバラードで、日本ではあまりヒットしませんでしたが、フィリピンで女性歌手がカヴァーすると、フィリピンで大ヒットするという現象も起きました。そんな中でもこの「Because Of Love」も名作と名高い作品となっています。この曲の仮タイトルは「グランドホテル」という曲名でした。

作詞は作詞家の田口俊さんによるもので、大切な人と夜にドライブデートしたときの様子を描き、「君」のことを改めて大切な存在だと認識するというラブソングとなっています。

エンジン止めて 見上げたあの星座は
都会で見える 一番きれいな星

夜にドライブデートに出掛けるカップル。都会のネオンを見ながら颯爽とドライブしていますが、ある場所で車を止めて夜空を見上げるように君に促します。その場所では都会にも関わらず、ハッキリと綺麗な星座を見ることが出来るスポットでした。

開いたルーフ 君には少し寒い
サイドシートは オリオンだけのプラネタリウム


オリオン座。

「オリオン座」は冬に見られる星座です。「少し寒い」ということもあり、このドライブデートは冬に行っていたようです。車のルーフ(天井部) を開けて夜空を見ていましたが、やはり君には寒いようです。でもこの特等席はサイドシートにいる君だから見れるもの。ここではオリオン座が良く見え、まるでプラネタリウムにいるような空間となっています。寒くなっている君を暖めようと上着を貸して、2人で少し暖まりながら夜空を見上げる画が浮かびます。

何げないこの夜が とてもいとしい Because Of Love

2人で見るロマンティックな夜。何気ないカップルの一コマですが、それこそがとても大切で、君を愛しく思えるのです。

君のことなくしたくない どんなときも

そして星座を見ながら僕は君を見て「どんなときも、どんなことがあっても君を守るんだ!」と改めて決意するのです。

作曲・編曲は崎谷さんによるもの。イントロのキーボードは本当に名メロディーです。このイントロから1番までは殆どキーボードとプログラミングによるもので、2番からドラムス・ベースが入ってきてバンドサウンドになります。キーボード、コンピューター・プログラミング・マニピュレートを崎谷さん自身で演奏しています。また、マニピュレートは崎谷さんが結成したバンド「VISION」のメンバーだった大竹徹夫さんも参加しています。ドラムは江口信夫さん、ベースは高水健司さん、エレクトリック・ギターは鳥山雄司さんと、全員が一流のプレイヤーで演奏されています。ストリングスはイギリス・ロンドンのオーケストラ「ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」によるもので、この為にイギリスまでレコーディングを敢行しています。ストリングスアレンジはキーボーディストの倉田信雄さんによるもので、レコーディング時に指揮まで行っています。

数ある崎谷健次郎作品の中でも私が一番好きな作品。綺麗なメロディーを堪能できる名バラードです。



↓以前投稿した「涙が君を忘れない」はこちらから。