皇帝の言葉を胸に、目標を定め、計画的に行動し、勇気を持って進むことの大切さを知ったフール。
※皇帝の言葉はこちらの記事でご確認いただけます。↓
『自分自身の力で、何を成し遂げたいのか?』
『社会の中で、自分はどのような役割を担っているのか?』
そんな自問自答を繰り返しながら、フールの旅は続きました。
けれども明確な答えは見つからず、足取りが重くなることもありました。
「このままでいいのだろうか…」
そんな焦燥感を覚えるたびに、フールは女帝の言葉を思い出します。
心を満たし、人に優しく接する大切さ――
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しかし心を整えても、すぐに迷いや不安が顔を出します。
「進むべき道は本当にこれでいいのか?」
胸のざわめきを感じた時、フールは女教皇の静かなまなざしを思い浮かべました。
――冷静に、内なる声を聴きなさい。
その言葉を思い出し、立ち止まって深呼吸すると、胸の奥のかすかな声に気づくことができました。
完全な答えではなくても、不安はほんの少し和らいでいきます。
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そうして、また一歩を踏み出しました。
「これから、どんな人に出会い、どんな学びを得るのだろう」
胸を高鳴らせながら進んだその時――
フールの前に現れたのは――
【5:法王(The Hierophant)】でした。
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フールが足を踏み入れたのは、灰色一色に包まれた静謐な空間。
まるで冷たい壁のようにそびえる二本の灰色の柱に囲まれ、その奥に石造りの玉座がありました。
玉座に座る人物【5:法王(The Hierophant)】は、純白の衣の上に情熱の赤を纏い、荘厳な三重の冠を戴いています。
左手には神秘的な三重の十字架の杖、右手は二本の指を天に掲げ、祝福を授けるような姿。
首元と裾に配された青は、知性と静けさを漂わせていました。
そして、彼の前には赤と青の衣をまとった二人が跪き、言葉に耳を傾けていました。
「汝の情熱は尊い。しかし正しき道へ導きなさい」
「汝の知恵は深遠である。しかし人々のために役立てなさい」
フールはその声を聞き、胸に刻みました。
「情熱も知識も、正しい方向に使わなければ暴走してしまう。
僕も学びを得て、人のために活かす存在にならなければ――」
《タロットカード【5:法王(The Hierophant)】とはどんなカード?》
石造りの玉座に座り、三重の冠と三重の十字架を持ち、
右手は二本の指を天に掲げ、祝福を授けるような姿の人物。
背後には二本の太く重厚な灰色の柱、足元には赤い絨毯と二本の鍵。
さらに、赤と青の衣をまとった二人の弟子が跪き、教えを受けています。
このカードは“伝統・精神性・導き・調和”を象徴し、師や導き手からの学びを示します。
《タロットカード【5:法王(The Hierophant)】を
包む“色”と“叡智”の象徴》
タロットカードには、描かれている色や形、配置にも深い意味が宿っています。
ここでは【5:法王(The Hierophant)】のカードを彩る“色”たちが語るメッセージを、
静寂と荘厳の象徴に満ちたこの一枚からひもといてみましょう。
一番面積を占めているのはグレーなのですが、目を引くのは、やはり方法の衣装の赤と
“三重の冠”と“三重の十字架の杖”に使われている黄色ではないでしょうか。
🔸テーマカラー
●【赤】:
法王のマント・絨毯・弟子の衣装の一人
“情熱・活力・権威”の象徴。
しかし、皇帝の赤が“力による支配”なのに対し、法王の赤は“人を導くための慈愛と情熱”を示しています。
●【青】:
法王の襟・裾・弟子の衣装の一人
“知識・理性・冷静さ”の象徴。
情熱だけでなく理性を持って調和することの大切さを表します。
赤とのコントラストが、法王の教えの核心――“情熱と理性の調和”を描き出しています。
●【白】:
法王の衣・装飾・靴法王の衣・装飾・靴。
“純粋さ・神聖さ”の象徴。
“行動も知識も、根底にある純粋な意志があってこそ活かされる”という教えを示しています。
そして注目すべきは、足元の白い靴に描かれた十字。
十字は本来、“信念”や“信仰”の象徴。
その神聖な印が足元に描かれているのは、一見すると違和感を覚えるかもしれません。
しかし、これには“高次の精神性を現実の地に根づかせる”という深い意味が込められています。
純粋な行動を通じて、神聖な意志を日常の世界に具現化するシンボルなのです。
●【黄色(金色)】:
三重の冠・三重の十字架の杖、足元のガキ、弟子の装飾
“叡智・神聖な力・普遍的権威”の象徴。
物質・精神・霊性の三つの領域をつなぐ導きを象徴しています。
●【灰色】:
背景・石座・重厚な柱
“伝統・中立・不変性”の象徴。
人の情熱や知識が揺らいでも、普遍的に受け継がれてきた「教え」と「道徳」の基盤を示しています。
🔸カードに登場するアイテムとその意味
●三重の冠と三重の十字架の杖:
“三重の冠”は、法王が持つ精神的、宗教的な最高位の権威を象徴します。
法王が持つ精神的な力、導き、そして祝福の象徴です。
三重は、三位一体(“父”・“子”・“聖霊”)を表したり、“物質界”・“精神界”・“霊界”の三つの領域における権威を表すことがあります。
●重厚な柱:
太い柱は、法王が立つ基盤となる、揺るぎない精神的な支えや伝統を表します。
●足元に置かれた2本のクロスしたカギ:
精神的な知識への扉を開く、または秘密を解き明かす象徴です。
また、天国と地上の間の鍵を表すとも言われています。
●天に向けた右手:
神とのつながり、祝福、そして教えを授ける行為を示しています。
指1本ではなく、2本でさしているのは・・・
《タロットカード【5:法王(The Hierophant)】正位置の解釈》
【5:法王(The Hierophant)】のカードが正位置で現れた時、
それは『学びと導きを通して、人生に新たな秩序や安心感がもたらされる』というサインです。
これまで積み重ねてきた知識や経験を活かすだけでなく、
“師やメンターの助言を受け入れる柔軟さ”や
“伝統や規範を尊重する姿勢”が大きな成長につながるときです。
キーワードは“伝統”“導き”“学び”“調和”。
あなたは一人で戦う必要はありません。
信頼できる人やコミュニティとのつながりが、心の支えとなり、次の扉を開く力となるでしょう。
学びの場に身を置くことや、礼儀・感謝を大切にすることで、自然と人間関係も円滑になります。
- 伝統や規範に沿うことで安定を得られる
- 師やメンターの教えを受け入れることで成長できる
- 信頼できるコミュニティや仲間の存在に支えられる
🌿日常生活へのアドバイス
- 誰かに相談してみましょう。独りで抱えるよりも知恵が集まります。
- 信頼できる本・教え・学びに触れることが心を整えます。
- 礼儀や感謝を意識することで人間関係も円滑に進みます。
《タロットカード【5:法王(The Hierophant)】逆位置の解釈》
それは『与えられた枠組みや常識に縛られすぎて、自分らしさを見失っている』というサインです。
信じてきた規範や教えが、今のあなたには窮屈に感じられるかもしれません。
また、誤った指導者や、不健全な集団に依存してしまう危うさも含まれています。
キーワードは“束縛”“形骸化”“反発”“孤立”。
『みんながそうしているから』と盲目的に従うのではなく、
“自分はどう感じるか”という視点を取り戻すことが大切です。
疑問を抱くことは成長のサイン。そこから“自分の真の信念”が見えてきます。
- 伝統や常識に縛られ、窮屈さを感じる
- 盲目的に従うことで自分らしさを失う危険
- 誤った指導者や不健全な集団への依存
🌿日常生活へのアドバイス
- 「常識だから」と思考停止していないか点検してみましょう。
- 必要なら、一度枠組みから離れて「自分はどう感じるか」を大切に。
- 師や教えに疑問を持つのは成長のサインでもあります。
《まとめ》
誰しも、自分自身や自国を大切にしたい気持ちを持っています。
その思い自体は尊いものですが、強くなりすぎたり、向ける方向を誤れば、
“分断”や“孤立”を生んでしまうこともあります。
【5:法王(The Hierophant)】が示す導きは、そんな時こそ“心の羅針盤”を持ちなさい、ということ。
そこには4つの指針が込められています。
伝統と教え:先人たちの知恵や経験は、未来を歩むための宝物です。そこから学びを受け取りましょう。
精神性と道徳:内なる声に耳を澄ませ、誠実で調和ある生き方を心がけましょう。
導きと祝福:迷いや不安の時こそ、心を開き、導きを受け取りましょう。あなた自身の経験もまた、誰かを照らす光となります。
調和と仲介:立場や価値観の違いを超えて、橋渡しをする意識を持ちましょう。そこに平和が生まれます。
小さな灯りを分け合うように、
一人ひとりの学びと優しさが重なり合えば、
やがて世界を照らす大きな光へと育っていきます。
そしてそれこそが、法王が私たちに伝える“心の羅針盤”なのです。
《次回予告》
次回、“選択”と“調和”の試練
【6:恋人(the lovers)】



