1月30日

報告したいことがあるから
今日そっちに行くね


3度かけて
やっと電話に出た父の声は

少々怒りを抱えたように聞こえた


父は葛藤していたのか
私を諭すように




返してもらいたいものがある

金貨も無くなったままだ

俺が入院中おまえはいったい
何回この家に勝手に入った




父の中で納得出来ないことを
次々と口にしてきた














また。。認知の歪みだろうか。。


。。もうイヤ(泣)。。
その瞬間どっぷりとその感情の中でもがいた







物盗られ妄想が垣間見れる
電話越しに父の言葉を聞きながら

私の頭の中で
脳内会議が繰り広げられて行く







冷静に。。れいせいに。。。
大切なことを忘れないように
あれやこれや。云々かんぬん。。






だけど。。

そんな頭で考えた気持ちとは裏腹に
口から出てくる言葉は

 


まだ私を疑っているの?
何度も言ってる
私は金貨なんて知らない



今も疑ってるなら警察呼んで!

2年前入院していた頃
何度も警察に通報すると言われたことがある
(正直に詫びれば不問にしてくれるのだとか)






すれ違ったまま電話を切ることになり


もやもやしたまま
夫と一緒に車で実家に向かう


 

父の状態を分かってはいても
こんなことを言われるたびに


悔しい

そしてただただ悲しい



車の中で黙っていると涙が溢れてきたり

些細な言葉尻を拾って
夫に八つ当たりしちゃったり
(大きな心で受け止めてくれました)







実家に近づくにつれて
あの日のことを思い出しながら
大丈夫。大丈夫。
そう言い聞かせるようにつぶやく




何度も深呼吸した
時間はかかったけど一旦リセット









認知の歪みはどこから来てるのか
何か不安になることあったのか。。

一人暮らしの
父の立場になって感じてみる




大丈夫。だいじょうぶ。。
ちゃんと聴ける
そう思いながら実家のドアを開けた








家には上がらない選択を無意識にした

玄関での会話





認知症を通して
父を見るのではなく


父の中の一部に
認知の歪みが起こっていて

不安の中で
別な世界に意識が向いているだけ




今まで
本当の父に何度も出逢ってきた
父の中の光に繋がるように
あの日を信じて向き合いを始めた




私の中にある愛も怒りも悲しみも
隠さずに


そして父親としての威厳と
言葉の奥にある
不安や寂しさに繋がっていけるように
(車で八つ当たりした私を責めずに
気持ちが落ち着くまで黙って待ち続けてくれて
実家に到着したとき「 落ち着いたか? 」と
優しい笑顔で受け止めてくれた夫に感謝。。)







決して綺麗事ではない会話をした
父の揺れ動く気持ちが伝わってくる

しばらくして
表情が柔らかくなってきたとき

この日訪れた本来の目的
報告したかった事へ話を切り替えて

夫から父に直接伝えた






4月から○○へ転勤になりました
○年です
美保はこのまま
父や母(私の)やうちの母(夫の)へ
何かあれば動けるように残ります


中略


美保は頑張ってくれてるよね
いい娘だよね
(父は2度3度と小さく頷いてくれた)



もう責めあうのはお終いにしよう
それぞれに離れて暮らしていても
皆で助け合っていこうよ


そう
気持ちを伝えてくれた










父は
落ち着かない目線でうつむき



大変なことになったな


そう言いながら動揺していた




何年行くのか
いつ出発するのか

何度も聞いては下を向く





混乱しないように

忘れないように紙に書いて残した



〇〇は4月から〇年の予定で
〇〇へ転勤

美保は〇〇市に残るので
今まで通り
お父さんとお母さんの所に来ます



小さく頷きながら読む父に




あの日の想いと
受け取ってきた愛に包まれながら




さぁ仲直りしようよ


そう言って笑顔で両手を広げると






父はすぐに近寄ってきてくれて

一緒に心を温めあった





今回もとってもぎこちない抱擁




だけど
お互いを思い合っている
そう信じて

そっと父から離れると



隣にいた夫も手を広げて招き入れ
父を温めてくれた







夫からの
残される父と私への贈り物は

優しくて温かかった








夫自身も当初
この転勤には動揺が隠せずにいました

私と様々な語り合いをしながら
前向きに捉え
乗り越えてくれています








変化変化の日々の中で

父も夫も私も

希望の光を見つめながら




それぞれの場所で
自分らしく生きて行くことも
大切にしよう



今までとは違う人生を
楽しんでみよう





そう感じながら過ごしている
今日この頃です







昨年夏頃から
エンディングノートを作ることを
話し合ってました



なかなか進まなかった
ノートとの向き合いもやっと始まりました