デーデーポッポ、デーデーポッポ。
窓際から一枚ずつたたまれていく布団の上。
開いているのに焦点が定まらない瞳で、
差しこんだ朝日のストローがほこりを空へ連れていくさまをみている。

デーデーポッポ、デーデーポッポ。
フワッ・・ゴロ、優しい笑顔とともに畳の上に転がされ、ようやく目が覚め、大きく開いた窓の木枠にちょこんと座って外を見る。

ゴゴゴ、バシャ―。ゴゴゴ、バシャ―。
道路に大きな地図できた。
「ありがとねー、また明日頼むねー」
お向かいの新聞屋さんのおばあちゃん。
自分と同じ背丈の長い柄杓で道路に水を巻きながら、配達おわった学生さんを見送っている。
ゴゴゴ、バシャ―。ゴゴゴ、バシャ―。

カチャカチャカチャ。
キタキタ来た!白い牛乳とコーヒー牛乳。
けんかになるから半分ずつ、コップにいれてマゼマゼマゼ。コーヒー牛乳は値段が高いって、1本しか配達してもらえない。


ジー。
今日もいい天気!「おはよう!いこ!」
キャー、バチャン、スイスイスイ。
つめたーい!
カラン、カラン、カラン。
あがれ、あがれ、休み時間だぞ!
プール監視の高校生、ちょっとえらそうだけど人気者。
ジー。ジワー、ジュー。
からだについた水滴が灼けたコンクリートとおひさまに吸い込まれていく。

「まぶしいね。」

ミーン、ミンミンミン、ミーン、ミ、ミ、ミ、ミ。

スー、パサッ!
ひろみちゃんの虫取りは、百発百中の名人級。
オニヤンマたくさんカゴに入ってる。

ダダダダ!カラン!
ひとちゃん見つけた、ケーント!とっちゃん見つけた、ケーント!
ダダダダ!カラン、カラカラカラ・・
「あー、あー、泣いちゃった。鬼、変わってあげるよ。」
よっちゃん小さいから、缶蹴りは「はいのこ」ね。

カナカナカナカナカナ。
カナカナカナカナ。
カナカナカナ。

ほんのひとコマの思い出に、
緑の風に乗って溢れるほど聞こえてくる「なつのおと」はどこに消えちゃったのだろう。

みんなの姿が見えていた。
約束なんかしなくても、そこにいてくれる安心感があった。



出版を目指して