9/28 | 怪談サークル とうもろこしの会

9/28

昨日の日記に書いた『狂気の価値』の西丸四方についてもう少し。
どうも著者の大叔父は島崎藤村だそうで『夜明け前』に登場する狂った父親(実在する藤村の父)の分析を『狂気の価値』で行ってもいる。狂気が遺伝するかどうかは別として、島崎藤村も含めて一族には精神病の気質のある人が多かったようで、そんな事情から精神科医の道を選んだのかもしれない。弟の島崎敏樹も精神科医である。
そのまた下の弟が西丸震哉だということも初めて知った。映画『ノストラダムスの大予言』の監修もや『41歳寿命説』で有名な人だ。オカルト的なことを言えば、山岳怪談の元祖という面もあるかもしれない。著書の『山とお化けと自然界』は水産試験場の女幽霊のエピソードが怖すぎたり、人魂を捕獲する方法(弁当箱に酵母の生きた醤油で膜をはって閉じ込めるらしい)を論じていたり、怪談本として読んでもかなり特殊で面白い。のだが、この人の怪談話はたいていの読者からかなり不評なようだ。別に元がオカルト畑の著者という訳ではないので、心霊的な体験談を書くと、拒否反応を起こす読者も多いのかもしれない。ウィキペディアのプロフィールでも「若い頃から鮮明な幻覚を見る事がよくあり」と、霊感に関しては潔いほど真っ向から否定されている。
信じる信じないは置いておくとして、本人が「幻覚じゃなくて本当に幽霊を見たんだよ」と著書で記述しているのに、傍から幻覚と断言するのはどうなんだろう。そう思っていたのだが、上記した家系の事情を知ってみると、そのあたりのバイアスが読者の人達にかかってたりするのかもしれない。ぶっちゃけて言えば、「島崎藤村の一族なんでしょ?じゃあ幻覚見るんじゃない?」みたいな意識が皆に働いているのでは、とも思ってしまったりして。邪推かな。
そこら辺も含めて、まあ、狂気について色々と考えることが出来た。