元嫁さんに贈る言葉

友人の言葉を聞いて、無謀な旅行に行く元嫁さんを止めることが、私のやるべきことと思っていました。

しかし、その後…

 

 

 

14日に漢方の先生の診察を受けたとき、元嫁さんの状況もお話ししました。

元嫁さんも先生の患者で、白血病の再発に気づいたのは、本人ではなく先生なので、元嫁さんのことを気にかけてくださっています。

報告するたび、「とものすけさんがいるから安心です」と喜んでくださるので、理解者の一人として心強く思っています。


今回の旅行の件を話すと、真剣な顔で聞いてみえました。

医療関係者なら、血液内がん細胞が0%と2%の大きな違いはわかりますし、旅行が無謀であることも容易にわかります。

でもその後、先生は笑いながら、

「彼女らしいといえば、彼女らしいですね。私個人的には最期まで(自分の意思を)通してほしいと思います。

万が一でも、それは遺された人たちの課題ともとれますよね」

その笑顔を見て、答えを聞いて、旅行を止めることが間違っているように思えてきました。

「そうですよね、移植しても長生きしてほしいというのは、子供の我欲であって、お母さんの立場で考えてないと思うんですよね。

ありがとうございます」

そう言って、診察室を後にして、元嫁さんにどう言うべきか、よくよく自問自答して考えました。


「余命宣告されたなら、好きに生きたらいいんじゃない?」

私はそう元嫁さんに言っていたのに、いざとなったらそれを覆すの?

私なら移植しなくても、精一杯長生きできるように気を遣うだろうけど、それは私の生き方だ。

それを人に押しつけるのは間違っている。

ならば、血液検査の結果が変わらなければ、「後のことは私に任せて安心してね。いってらっしゃい」でいいんじゃないの?

そんな風に思い直すと、きっと旅行に行く結果になるだろうと思いました。診察日を迎えました。


 

緊張しながら迎えた診察の日、彼女は前回より調子が良いように見えました。

血液検査の結果は2%→1%へ、健康な血液細胞が増えたため、パーセンテージが下がっていました。

担当医も旅行には反対せず、「(再発したら)その時は開き直るしかない」と言いました。

今までは移植を勧めて慎重な話をしてみえましたが、いくら説得しても本人にその気が無いと、後は運を天に任せるしかないと判断されたようです。

前回の診察で肩を落としていた担当医の姿を思い出しました。

しかし、勧めた移植をしないからと投げやりになるでもなく、あくまで患者の立場に立った真摯な対応に、私は感動する思いでした。

若い、一生懸命なお医者様がいてくださることに、心強く喜びを感じます。

医師が反対していないなら、周りがどうこういうこともないでしょう、

元嫁さんも嬉しそうにしていました。

こうして笑顔で過ごせることが、余命半年と言われながら何年も生きていられるコツだと思います。

仕事のストレスで発症し、職場復帰で再発したことからも、ストレスが少ないことが体調の安定に繋がっていると言えるでしょう。


病院から帰ると元嫁さんからラインが入っていました。

「元夫にしても長男にしても本当に良かったです。いろいろありますが、よろしくお願いします」

診察を待つ間、夫や長男の話をしたことで、私がいてくれるからと安心してもらえたようです。

私はやっと出た答えを返しました。

「はい、こちらのことはお任せいただいて、安心して旅行に行ってきてください。

病人らしく生きる必要は無いので、元嫁さんらしく生きてください。

こちらこそ、ありがとう」

それに対して彼女の返事はありませんでしたが、私の中に何の偽りも、こだわりも、力みもなく、そう言えたことを嬉しく思っています。

これが私らしい戦い方なのかもしれません。

それが正しいかどうかの答えは、追々わかってくるんだろうなと、そんな風に感じています。
 

 

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