日経225の歪み | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

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アメブロによれば、

今日は225の日だ。

 

そこですかさず想起したのは、
平成バブル最高値を先週連休前に記録した
令和バブルに沸く日経225の3万9千円台乗せだ。
シカゴの日経先物225は既に先週末に39500円近くに続伸済み。
 
いずれにしても、日経225とは日経平均株価の別称であり、
後者が225銘柄から構成される個別株価の
単純平均であることを本来は意味する。
 
つまり、日経平均株価は225銘柄の単純平均なのだから、
それぞれの構成比率は225分の1の0.444…%の近傍のはず。
あるいは個別株価は平均すると
3万9千円を225で除した約173円であるべきことになる。
 
しかし、既に今朝のヤフーファイナンス記事で紹介したように、
1月31日時点の日経平均構成ウェートでは、
東京エレクトロンの先週末株価は36.580円で7.67%、
アドバンテストの先週末株価は7088円で4.28%と2銘柄で12%弱と
二銘柄の存在感は余りにも大きい。

 

また、ファーストリテの先週末株価は43270円で、

日経平均構成ウェートで10.94%(1月31日時点)と

「断トツのトップを誇る」ということらしい。

 

つまり、日経平均株価とは日経225銘柄の単純平均株価ではなく、

値嵩株優位のバイアスを持っており、

時価総額で加重平均したTOPIXに比較すると

無視できない歪みがある。

 

したがって、時価総額で加重平均しており、

理論上は、日経平均株価に勝る

TOPIXの先週末終値は2660.71であり、

令和バブル期のその最高値2886.50ポイントに

まだ約7.8%足りない。

 

いずれにしても、

日経225の先週末(木曜日)終値は39098.68円であり、

NYダウ(30銘柄)の先週末(金曜日)終値は39131.53ドルだった。

 

もしかすると日経225はNYダウ30銘柄単純株価平均値の

NYダウと勘違いしてはいまいか?

 

もちろん、これは冗談だが、

NYダウを構成する一つの銘柄が今週初に変更され、

2月21日の日経ウェブは次のように、

アマゾンがダウ工業株30種平均に採用されると報じている。

 

【ニューヨーク=竹内弘文】指数算出大手の米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは20日、代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均の新たな構成銘柄としてアマゾン・ドット・コムを採用すると発表した。アマゾン株組み入れを経て、ダウ平均はテクノロジー銘柄との連動性が一段と高まる。

 

アマゾン株組み入れの代わりに、ドラッグストア大手のウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスを除外する。構成銘柄入れ替えは26日の取引開始前に適用する。発表後、米国株市場の時間外取引でアマゾン株は1%程度上昇している。

 

大型の米上場株30銘柄で構成するダウ平均は、米国経済を映す鏡として大まかに業種別に銘柄数を配分している。ネット通販を手掛けるアマゾンは消費関連銘柄との位置づけだ。発表文は銘柄入れ替えについて「米国経済の変化を反映して、小売業などの配分を高めることになる」と指摘した。

 

もっとも、アマゾンはネット通販だけでなく、クラウドコンピューティングも事業の軸の一つに育っている。生成人工知能(AI)への投資などを進める同社は、株式市場で巨大テック銘柄の一角としての評価が定着している。

 

ダウ平均の構成銘柄には既に、時価総額で世界首位を争うマイクロソフトアップルが入っている。IBMやセールスフォースといったIT(情報技術)サービス、半導体のインテル、ネットワーク機器のシスコシステムズも構成銘柄だ。各社の事業モデルは異なるが、AI関連の需要拡大や金融政策などを背景にテック銘柄群の株価が同方向に動くケースは少なくない。

 

NYダウ30は日経225と先週末にはほぼ同値の3万9000㌦だが、

これを単純に30で除するとアマゾンの理論的単純株価は1300ドル程度となり、

実際の先週末アマゾン株の終値は約175ドルを約7.4株使用することで

NYダウ30の継続性が担保されることになる。

 

このため、アマゾン株は既に大幅な約30分割を実施済みなのである。

 

このように米株を代表する指数のNYダウと

日本株を代表する値嵩株に偏った日経平均株価は、

その公平性や透明性そして首尾一貫性の観点から

かなり異なると見ざるを得まい。