自民の政治改革案 派閥もカネも置き去りだ | 元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

元世界銀行エコノミスト 中丸友一郎 「Warm Heart & Cool Head」ランダム日誌

「経済崩落7つのリスク」、
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「日本復活のシナリオ」等の著者による世界経済と国際金融市場のReviewとOutlook

「国家の盛衰を決めるのは、政治経済体制が収奪的か包括的かの差にある」(アシモグルら)

掲題の今朝の毎日社説。

極めて説得的。

ご参考まで。

 

 

 「政治とカネ」の問題に踏み込まないで、「刷新」の名に値するだろうか。中途半端な取り組みに終わるようでは、失われた信頼は取り戻せない。

 派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、自民党の政治刷新本部が改革の中間とりまとめ案を示した。

 

 事件では、政治資金規正法違反で安倍、二階、岸田3派閥の会計責任者らが起訴された。安倍派所属の3議員らも刑事責任を問われている。

 

 ところが、肝心の規正法改正などの法整備については具体策を記さなかった。与党の公明党を含め各党が厳格化のための提案を相次いで打ち出す中、自民の後ろ向きな姿勢が際立つ。

 資金の流れを「国民の不断の監視と批判」の下に置くのが規正法の目的だが、パーティーなどさまざまな抜け道が残されている。

 

 利権誘導につながりかねない企業・団体献金を禁止し、記載義務のない「政策活動費」の透明化を図る必要がある。

 弊害が指摘される派閥の全面的な解消には踏み込まなかった。「政策集団」と名を変え、事実上存続させる内容では不十分だ。

 

 派閥が資金を集め人事に関わることをやめ、政策本位の集団を目指すという。

 

 党のルールとして、政策集団がパーティーを開いたり、閣僚人事などで働きかけたりすることを禁止する。違法行為があった場合、党が活動休止や解散を要求できるようにすることも盛り込んだ。

 ただ、あくまでも党の内規であり、実効性は不透明だ。

 

 リクルート事件を受けて1989年にまとめた党の政治改革大綱は「派閥解消」を宣言した。にもかかわらず、「政策集団」の形で派閥は生き残った。同じ轍(てつ)を踏んではならない。

 

 そもそも、裏金作りの経緯と使途などの実態解明がなされていない。党として調査を尽くさないまま、再発防止に取り組むことはできないはずだ。

 

 首相は「けじめをつけなければならない」と、岸田派解散の理由を説明した。「けじめ」をつけるのであれば、政治資金の流れを「ガラス張り」にする抜本改革に正面から取り組まなければならない。