大浮世絵展 歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の共演 | けろみんのブログ

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日記・観た映画のこと・観た展覧会の感想

両国駅(JR、都営大江戸線)降りてすぐ!

江戸東京博物館
2019.11.19~2020.1.19

大きな展示替えは
2019.11.19~2019.12.15
2019.12.17~2020.1.19

巡回展します。(東京会場と違う作品が出るものもあります。)

福岡市美術館     2020.1.28~3.22
愛知県美術館     2020.4.3~5.31

喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の5人の巨匠の展覧会!

国際浮世絵学会が総力挙げて選び抜いた丁寧な彫り、刷り、よい保存状態の作品を!

メトロポリタン、ボストン、シカゴ、ミネアポリス、大英博物館、ギメ東洋美術館、ベルギー王立美術歴史博物館などの海外の美術館からも多数来日!

出品数は3会場合わせて366点!(一度に見られるのは150点ほど、各会場限定の作品あり)

高嶋おひさ
両国米沢町に実在した煎餅屋の娘で両国の水茶屋で給仕をしていました。地元代表です。
「難波屋おきた」と並んで当時大人気のアイドルのツートップの1人。

今年も沢山の浮世絵の展覧会が開かれ、私は太田記念美術館の年間パスポートを買ったこともあり、例年よりはるかに多く浮世絵を見てきました。

なので、この展覧会は遠いし行かなくてもいいかなと思ってましたが喜多川歌麿が5人の中に含まれていたので観にいきました。

ちょうど喜多川歌麿についての講演会を聞いたあとで、理解を深めようと思ったからです。
歌麿は1番充実した寛政年間の作品でまとめられています。

行ってみると今まで見ていた浮世絵はなんだったの?と思うほど色鮮やか、雲母刷りがムラなく残り、褪色しがちな青や緑も残っているような良い品ばかり。

江戸末期、19世紀の浮世絵は沢山あります。例えば葛飾北斎の「赤富士」は全世界で200枚は現存するそうです。それに対し18世紀の浮世絵は有名なものでも1~2枚しか残っていません。元の刷り数が18世紀はせいぜい100単位、19世紀には1000~1万枚にもなり。その分残った数も多いからです。

なので18世紀の作品で且つ状態が最良の作品が揃うこの展覧会、しかと見て色、ツヤ、輝きを心に留めようと思いました。

私がオススメなのは最初の喜多川歌麿と東洲斎写楽ですね。レア度が違います。

先日町田市国際版画美術館で開催中の「美人画の時代」展で大久保純一町田市立国際版画美術館館長の記念講演会その2「歌麿美人画の特質と影響」の中でこんなお話がありました。


「美人画の展覧会をやると聞いてなんと無謀なと思いました(大久保館長が町田の館長になる前の話です)喜多川歌麿や鈴木春信の作品数は少ないからです。そして、更に11月19日からは国際浮世絵学会が総力を上げて良い作品をかき集めていて……」

このお話で初めて「へぇ大浮世絵展。また沢山浮世絵集めるんだろな、疲れるだろな」なんて思っていました。


「浮世絵の美人画は、時間軸で輪切りにすると表現する女性のイメージは似たりよったりで時代様式に応じた理想の美人像に倣い画一的であった。
ところが、歌麿はそこに「個人の個性」「内面の表現」を加えた。例えば顔のパーツごとの特色を的確に表現する、何気ない仕草を表現するといった特色を加えて従来の「顔の作りは似たりよったりでアトリビュート的なもので誰かを示す」やり方から1歩進めた」

このブログでは写楽、北斎、広重、国芳は無しで喜多川歌麿の作品を紹介します。主に先日の町田市国際版画美術館での講演資料を元に並べています。
パブリックドメインバンザイ。(展示品と別の刷りです)

浮世絵のトレンドは明和時代→鈴木春信、天明時代→鳥居清長、寛政時代→喜多川歌麿でした。


①似絵表現の導入

歌麿は美人画に似絵表現を導入、それまでは時代様式に沿った画一的な美人の顔を大首絵で線で微妙な特徴を表現しました。
また、大首絵に合わせた雲母刷りも魅力の一つで大首絵の肌の色を明るく美しく引き立たせています。正面から見てもよくわからないので下から覗くと雲母刷りのパールのような輝きがわかります。

トップ画像の高嶋おひさと比べると少しキリッとした顔で若干幼い難波屋おきた。
目がキリッとしています。背景の白っぽく見える部分が雲母です。

婦人相学十躰 浮気之相

ちょっと手ぬぐいを絞る何気ない仕草に歌麿は「この女性は浮気しそう」とみたのですね。

婦人相学十躰 面白キ相

ユニーク!お茶目な人妻さんです。


②女性の性格や境遇の描き分け

「北国五色墨」では遊女の最下層女郎をえがいた「てっぽう」が展示されていました。これは珍しいので必見です。手入れの行き届かない髪型、たるんだお腹周りの肌にやるせなさが漂います。

歌撰恋之部 あらはるる恋
背景の雲母摺りがピンク色、うちわも可愛い花模様。絞りの浴衣がはだけて、櫛が落ちそうな部分の細かな書き込みをご覧下さい。浮かれて動揺してるみたいですが何があったのかは不明。

歌撰恋之部 物思恋
今度は眉を落とした既婚女性が口をきゅっとしぼり、目は虚空をみているようです。渋い服装からも、町屋の既婚女性のようですが心ここに在らず。誰かと恋仲に?それとも贔屓の役者のことを考えてる?




③スナップショット的な姿態表現

青楼十二時 続 子の刻
やっとお仕事の終わった新造らが継ぎのあたった粗末な寝具に着替えて休むところです。
顎で袖山(というのか?)を固定して畳む姿が実録的ですね

青楼十二時 続 午の刻


昼見世の時間に向けて支度に大わらわ。髪を結う前に煙管にタバコを詰めていると、新造がやって来て取り急ぎの手紙を見せます。慌ただしい日常がよく伝わります。
3人の構図ですが慌ててるとはいえ花魁と隣の禿と比べると花魁の身のこなしが明らかに優雅で顔も理知的です。
この作品を見ていたらふと、今吉野石膏コレクションで見られるドガの踊り子を思い出しました。着目点が似ています。


「青楼十二時」は正に吉原24時間密着取材です。これだけ吉原のことを知り尽くしているからには相当通いつめていたんだろうと(講演会で町田の館長が仰ってました)西洋でいえばドガ。スナップショット的な一瞬の動きを捉えた良いシリーズです。全場面見たいですが、東京では前期後期で4点、他の会場も4点で3会場で12枚になるようですね😅仕方ないので、パブリックドメインの画像で楽しみます。

④トリミングと対角線構図
画面の安定感より斬新なトリミングを採用したり、上手く対角線に人物を配置するのでごちゃつかず、緊張感のある画面構成となる。

名取酒六家選 兵庫屋華妻
思いっきり遊女を左に寄せている。

すごい綺麗でしょう、本物は雲母摺りの背景のものや空摺りなどの技巧もみられてなお良いです。

私が好きなのは、この作品(櫛)のような生え際です。他の作品は生え際の髪が真っ直ぐですが、この作品は複雑な曲線で表現されています。それと燈籠鬢という、耳の横の毛の描き方。後ろの毛が透けるほど薄く繊細なものです。透けるものは大好きです。櫛も透明ですね。珍しい更紗模様の背景です。

透けると言えば、蚊帳に入る前後というのも良いですね。
蚊帳が出てくる作品が沢山あって歌麿が蚊帳の中の外、布目の表現などにとても関心を寄せていたことがわかります。

油絵と違い、浮世絵は色が褪色しやすいので展示期間が短いです。それでも欧米の大きな美術館が作品を貸し出してくださったおかげでこれだけ見事な歌麿の作品をまとめてみられて幸せでした。
色褪せのせいか、歌麿作品はみなオレンジ味のあるピンクがかって19世紀のベロ藍を使用したキリッとした浮世絵と違うふんわりしたムードがあって好きです。
他には黒の絣の着物の着慣れた木綿の柔かな表現が大好きです。

ナマニクさん応援、2019年11月24日は新宿でトークショー。
ヒロシニコフさんの「不肖」の使い方が面白いですね。




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