高校1年生の女の子の話
高校1年生
口をひらけば恋愛の話でもちきりな年齢
私には彼氏がいたので
むしろバイトでお金を貯めるのに必死なとき
どちらかというと
いつも一人でフラフラしていた私にはガッツリとした
友人は少なかったんだけど
たまにお互いの核心をついた話ができる子がいた
その子は恋愛に疎くて確か好きな人もいなかったと思う
でも恋愛には興味があって知りたいと思ってる
ただ
彼女は幼少期の性的虐待経験から
男性というものが怖いという でも興味はある
で言われたのが
ねえねえ テレクラってどんなんなん??
当時は
公衆電話にやたらめったらテレクラのシールが貼られていた
多分何かのきっかけでそのシールの話になったんだと思う
システム的なことは年上バイト先輩から聞いて耳年増である
あとはそこにくる人物だ
こんなとこに来る人ってどんな人なんやろうねー
二人で盛り上がった
ねえ?電話かけてみん??
天真爛漫に彼女に言われた私は
全然いいんじゃない?
内心はドキドキである
もちろんそんなことしたことないので
怖い気持ちがあったのだが
なぜが姉御的役割をその子の前では演じていたから
ビビってますなんて言えなかった
まぁ、そんな馬鹿なことしてる男の顔見て笑ってやろー
実際に会うわけじゃないし・・・
そう思って
いいよー別にぃ
ちょっとアンニュイに答えたのである
どんな経緯でその男性と待ち合わせることになったのか
記憶は曖昧だが
とにかく、とあるバス停で合流しようとなった
相手にはもちろんこちらが二人の女子高生なんて伝えてない
伝える必要もなかった
どんな人がテレクラなんてフラチなことをするのか
隠れて遠くから見て笑ってやろう
そんな気持ちしかなかったのだから
その男性は車に乗って現れた
しばらく車でハザードランプを点滅させて辺りを伺っていた
そのバス停はターミナルになっていて
通常の停留所より大きく
一つの大きな部屋になっていた
だから
女子高生が二人 そのターミナルで
ぺちゃくちゃ話していても不自然ではなかったはずだ
ところが・・・
その男性は車を降りてこちらに向かってきた
ねぇ君たち電話してきた??
最初はとぼけていた私たちも そこはこどもだ
すぐにバレた・・・
しばらく会話した後
私たちはその男性が危険ではないと判断し
二人なら大丈夫か・・・と
その男性の車に乗った
車で話をしていたのか・・・
はたまたどこかのファミレスにでも入ったのか
これまた記憶が定かではないが
私たちは大いに盛り上がった
大人の男の・・・いや 男というものの生態を聞いて
彼女の恋愛に対しての臆病な悩みも聞いてもらい
友人はかなりスッキリした様子だった
時間も時間だったので
その男性は私たちを車で送ると言ってくれた
男性は友人を先に自宅近くへ届けた
歩いて帰れる距離の場所へ
そして私も・・・
のはずだった
けど
その男性はそうしなかった
彼は終始紳士だった
ふざけて電話して笑っていた小狡い女子高生たちに
ずっと紳士的に振る舞った
だから
私はこのまま帰ったら駄目な気がした
友人も笑顔で帰った
ふざけていた私たちを恫喝するでもなく話を聞いてくれた
このまま私は帰っていいのだろうか?
彼の誘いにNOは言えなかった
16歳の判断能力である
きっと全く正しい判断ではなかっただろう
ただ
16歳の女の子の価値を
当時の私はわからなかった
馬鹿なことをした自分たちの過ちに
報いたいと思う自分がいて
それはその男性に恥をかかせないことだと
そんな風に思ったのだ
だから男性の誘いにのった
そして私も
人に言えないような悩みを抱えていた
それをこの人なら聞いてくれる
そう思った
案の定そのおじさんは私の悩みを聞いてくれた
そして
その悩みが採るに足りない小さなことだと教えてくれた
当時の私にとっては大きな救いとなった
おじさんは
出会ったバスターミナルまで送り届けてくれた
タクシー代だよ
そう言って2万円を渡してくれた
もちろん私の家は徒歩圏内だ
それから
絶対に今日のことは人に話しちゃ駄目だよ
おじさん捕まっちゃうからね
でもまた何か困ったことあれば連絡しておいで
そう言って
携帯番号を書いたメモを渡した
私は救いを得たと同時に
大きな罪悪感も手にした
怖かったけどおじさんの連絡先も捨てれなかった
携帯電話だとバレないように
手帳の上の余白に1ページに一つずつ
数字を書き込んでいった
ただ2度とおじさんに連絡はしなかったけど。
おじさんの連絡先はお守りみたいなものだった
次の日友人に
あれからちゃんと帰った?
そう聞かれて
うん。ちゃんと送ってもらったよー
そう答えたまま
今まで誰にも話していない
その時の
高校生は被害者なんだろうか?
おじさんは加害者なんだろうか?
法律の上ではおじさんは間違いなく加害者で
万が一
当事者ではなく
私が当事者に近い親近者であれば
その男性を許すことはできないだろう
世の中は実に複雑なのだ
そして矛盾に満ち溢れている
正義を盾に振り翳しても
案外
しあわせになれる人は少なくて
正義のもとに泣いている人もいることを忘れてはならない
一人一人正義は違うのだから
正義と守るべき規律はきっと違う
守るべき規律がなければ無秩序になり
守られるべき弱者が守られない
だから絶対に決め事は必要なのだ
ただ
自分の正義がいつでも正しいとは限らない
誰かの正義が決め事に書かれることとは限らない
そしてそのまた逆も
正義と平和は全く違う
大切なことだと考えておこうと思う
頭の真ん中ではなくて
いつだって隅っこに
うまくいえる語彙力がなさすぎて
散漫な文章で申し訳ない
ある女の子の話