1月30日~2月4日
脚本…藤森一朗
演出…大橋由紀子
1月31日21:00~ (A班)
【A班】
奥田…谷田文郎
はるか…日向恵理
村山…音崎結映
火野…倉部琢也
稲葉…溝口恵美
フェイ…中村裕香里
陳…薮原遼
「PRIDE」に続いてエアスタの定番演目のひとつを初見。
1週目にも好きな役者が各班に何人も出演していて、でも他の演目を優先してしまい、見送り三振。
ただ、谷田がいる班で初見を迎えられたことは結果的には良かった。
事前の知識が全くないうえで観賞し、後半のシーンを観ながら前半の細かい伏線の数々を即座に思い出せたのは、まずやはり脚本が優れていて、その脚本をキャストがきちんと伝えられていたから。
特に今作の場合は、セリフ・シーンに無駄が全くない。よけいなエピソードも皆無。「PRIDE」のときと同様、脚本家の手腕にあらためて敬服。
谷田に関しては各論を述べる気にならない。硬と軟、緩急自在、人をあやめるときの凄み、ラストの人間くささ…。
今後も上演され続けるであろう本作を観ていくにあたり、谷田の奥田をひとつのスタンダードにできる。そのことが「結果的に良かった」
音崎は別班でフェイをも演じていて、観劇を誘われたのだけど、けっきょく足を運ばなかった。
村山が最後に姿を見せるシーンでの音崎が上手くて、すごくて、この印象をとどめておきたくなったから。現れた瞬間の足の運びだけで「村山は…そうなってしまったのか」と理解できた。音崎の上手さを再認識し、あの音崎の映像を今しばらく心にとどめておきたかったのだ。
中村は過去のキャスト表で名前を見た記憶があり、キャリアは知らなかったが今作を観ての印象は、どのシーン・どの瞬間も緊張度とモチベーションを高く維持していて、「こういう役者には“悪い慣れ”は生じないだろうな」
ラストシーン。独り残された日向はるかに朝日が射し、風が吹いてきたら、はるかの周りに枯れ草一面の荒野が見えた。
これは3週目を観ても現れなかった映像で、だがしかし正直、日向にそこまでの能力があったからなのか否かは判らない。
ただ、稽古中の記事だけ読んだうえで今作の彼女を観てはっきりしたのは、日向は現在アイドル活動をメインにしているようだけれども、生の芝居に向いた役者として必要な能力と心構えを備えていることである。台本を読み込み、演出家や共演者とともに稽古で煮詰め、完成させたものを生で体現する、そうした形式のものづくりに向いた表現者である。