西海岸から、はるばるこちら東海岸に遊びに来た旧友たちと、ご飯を食べようということに。マンハッタンで落ち合うことになっていたのだけれど、そのうちの1人が「あなたの家の近くにいるから車に乗せて行ってくれない？」というので了承すると、ピックアップ場所に指定されたのは、なんとポルシェのディーラーだった。ポルシェのディーラーで友人と待ち合わせなんて聞いたことないよ！！でもあれ？そうか、そうだった。あの人たち富豪だった。いつも自然体で、少しもギラギラしていないから忘れてしまうけれど。

友人は、ポルシェが好きすぎるあまり、関連の事業を作ったそう。子どもたちが、シリアルナンバーの入ったグッズをもらった。私たち、ポルシェオーナーでないのに、これ身につけていいのかい？みんながポルシェ持っていると思っていたら大間違いだよ？色々突っ込みたかったけれど、ディズニーランドではしゃぐ大の大人みたいに、目をキラキラさせながら楽しそうにあれこれ語るから、代わりにムツゴロウさんのテクニックをつかって頭をなでたくなった。富豪レベルになると、もはやお金で物を推し量ることはせず、その代わり、本当に良いもの、好きなものなどの熱量で価値が決まるのだと思う（だからアートが何十億で売れたりするのだわね）。彼らにとってポルシェでの待ち合わせはスタバの待ち合わせと変わりなく、車のカスタムだって、コーヒーのカスタムと変わらぬ、日常を豊かに彩る楽しみなのだと思う。

その後、マンハッタンに住む彼らのお友だちのお宅にお邪魔すると、郊外の一軒家と変わらない広さのコンドミニアムがそこにあった。窓からの景色は一面ニューヨーク湾。都会にいながら、まるで海辺に暮らしているような気持ちになれる。

お酒を飲みながら色々な話題になって、「郊外へ引っ越したのはどうして？」と聞かれた。「学区が良いし、もっと広さが欲しくて…」と言いながら、そのおかしさに笑ってしまった。マンハッタンにいながら、子どもを私立に入れて、こーんな広い家に住んでいる彼らにそんなこと言ったってね。

仕方がないわね。

コホン。

説明しよう！

（このセリフで始まるアニメなんでしたっけね。今「説明しよう　アニメ」で検索したら、ヤッターマンって出て来たんですけど🤣懐かしいにもほどがある🤣）

「あのですね、普通のニューヨーカーは、1〜2ベッドルーム、広くて3ベッドルームの家に住んでいます。それでですね、子どもができると親は、いずれかかる大学の費用を貯めることと、いい大学に入れるための環境作りをどう両立するかを計算し計画するんです。結果、学区のいい公立区域に引っ越して、学力と経済のバランスを上手くとろうとする人が多いのですよ。」と、半分冗談(そんなこと言われずとも知っているだろうから)半分レクチャーモード(でもそういう人と普段付き合わないだろうから)で返答すると、あら不思議、初対面の壁が崩れ、なんか知らんけど互いに「この人好き」っていう見えない何かが交わされた気がした。

普通のビジネスピーポーが、朝早く起きて遅くに帰り、ワークライフバランスが〜と嘆くようなことを富豪はしない。忙しいとか、疲れたとか、そんな言葉も聞いたことがない。私は仕事のことを人に聞かないようにしているのだけれど、いつかそのうちの誰かが、「僕は、人が不得意で、自分がものすごく得意なことを仕事にしている。」と言っていた。

彼らにとっては周りも同じような人たちばかりだから、自分たちが富豪だなんて思ってもいない様子。自分を「なんて事のない普通の人間」と思う感性が彼らと私の共通項で、だから一緒にいてとても心地がいいけれど、いる経済域（😂）は、うんと違うわね。

(ポルトの街が、とても好きで。)

そういえば、富豪だった。