日本知育玩具協会・知育玩具マイスター/認定講師の船越智子です。

 

我が子は自閉症スペクトラムの診断を受けており、知的な指数的にも平均的なそれよりは劣った領域にいる子どもです。行動や言葉の選択など、様々な振る舞いが年齢相応よりは幼稚に映ることもいくらかあります。

 

しかし、そんな我が子に対して、私が絶対に忘れないでおこうと思っていることがあります。それは「子どもの年齢を尊重する」ということです。平たく言えば、年齢不相応な子ども扱いをしないということです。

 

当たり前だと思いますか?いえいえ、これが「障害のある子ども」となると、なかなか周囲はそうさせてはくれないのです。

 

・助けてあげようの気持ちが先走りして「○○ちゃんのためにも…」と、本人の選択も決定も取り上げて周囲が決めてしまう

・本人が選ぶべきことなのに「お母さん、どうしましょう?」の問いが横行する

・年齢不相応なものを選んでいても、それが「(障害者自身の)年齢にはふさわしくないことやその理由」すら伝えないという大人がいる、特に幼稚なものにおいて(中学生の年齢になってもアン○ンマンのハンカチを選択肢に入れている、など。)

 

障害を持つ子どもの親御さんにとっては珍しくない光景です。でもこれらはおしなべて、その人の年齢を尊重していない、ひいては、障害者本人の人権を軽く見ているからというところが原因です。

 

さて、健常のお子さんはいかがでしょうか。実際には、健常のお子さんであっても、先の障害のある子どものように、親や周囲が子どもの人生の様々な決定を子どもから取り上げてしまっていることは珍しくないのです。

 

確かに、子どもは様々なことを知りません。未熟であり、大人が危険から守ってあげなければいけない存在ではあります。しかし、子育てのあらゆる段階において、当たり前ですが、親と子どもは別の人間であり、別の人生を歩みます。一つ屋根の下に暮らしても、親が子の人生を代わりに生きてあげる、そのようなことは絶対に出来ません。つまり自らが自分の人生の主人公であるという意識を持っていないと、生きてはいけないのです。

 

「自らが自分の人生の主人公であるという意識を持つことができるように育てる」ということは、子育てにおいてとても大切なテーマなのです。自律ができていること、自己決定ができること、自身の意志を伝えられることと、意志を他者と共有できること、これらの力を育まねばなりません。

 

どうぞ子どもの年齢を尊重して、ひいては子ども自身の人権を常に考え、育ててあげてください。たとえば幼稚なものには良い悪い等の決定を代わりに出すのではなく、「幼稚とはどういうことなのか」を伝えてあげて、その上でのよりよい自己決定を引き出してあげる…そんな風に接していきたいものですね。

 

 

via Tomoko Funakoshi Website
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