数あるミュージカル作品の中でも私の中のツートップは「RENT」と「Wicked」なのですが、コロナのせいでずっと公演が延期されていたドイツ語版「Wicked」がついに今年9月から上演が始まりました。

 

 

観に行ったのは先月なので、回想日記となってしまうのですが。。。あせる

 

 

場所はSバーンの駅”Holsten Strasse”を降りてすぐの「Neue Flora」という劇場。

 

 

 

ホワイエの様子

 

 

 

まずホールに入って驚いたのが舞台セットのデザイン!

「思ってたんと違う…!」

 

これは…「オズの魔法使い」でも描かれる竜巻の場面…?!

よく見ると、端っこの方に自転車や電気スタンドなんかが飛ばされている様子もうかがえます。

 

 

 

「Wicked」と言えば、お馴染みなのはこちらの舞台セットなのですが…。

(こちらはロンドン公演を観た時のもの)

 

 

 

そうなのです。

今回のハンブルク公演、全く予備知識なしで行ってしまったのですが、どうやら演出や衣装をリニューアルした新演出バージョンでの公演だったようです。

 

 

全体的に、より現代に近い舞台デザイン・衣装デザインになっており、スマホ的なアイテムでネットニュースをチェックしたり、演説するグリンダを群衆がスマホ撮影しているような描写があったりしました。

 

また、エルファバが「悪い魔女」認定されてしまい、追放デモが行われた場面では、ドイツで頻繁に行われている”気候変動デモ”を想起させる演出となっていました。(プラカードに「KLIMA(気候・環境等の意)」の文字が書かれていたり)

 

その他、オリジナルバージョンと違っていた点は、

・「Difying Gravity」のいちばん盛り上がる場面。エルファバが宙に浮いて魔女の衣装の裾が大きく広がる演出ではなく、通常の魔女衣装のまま宙に浮いて歌唱→最後に2階席上部まで飛んで行って暗転(娘は大興奮!(笑) 確かにこれはこれで凄かったのですが、個人的にはやっぱりオリジナルの演出の方が見栄えがする気がしました)

 

・オリジナルでは影絵のようにスクリーン越しで影のみの出演だった「オズの魔法使い」の主人公ドロシー。新演出では生身のキャストが顔出しで登場し、普通にドロシーとしての演技をしておりました

 

・マンチキン国出身の小人”ボック”の名前が何故か”モック”になっていた

・・・等々。

 

 

そして、かなり驚いたのが音楽面。

ホールにはオーケストラピットが無く、「あ、生演奏じゃないんだ…」と結構テンションダウンしていたのですが、スピーカーを通して出てくる演奏の音が最初こそ音源を流しているように聴こえたものの、「いや…?どうも生々しさを感じるぞ…?」と気になりだし。。。

 

1人悶々と音を気にしていると、娘が小さい声で

「後ろに指揮者がいる!」

と。

 

 

「えっ…?!」と後ろを振り返ってみると、確かに指揮者いたーーー!!ポーン

 

 

こちら終演後の画像ですが、左右にディスプレイが設置されているのがわかりますでしょうか?

公演中はこの画面にずっと指揮者が映っており、ステージ上のキャストも曲によってはどうやらこの指揮を見ながら歌のタイミングを合わせている場面があったっぽいです。

(演奏が無い場面では、椅子に座って待機している指揮者の様子がそのまま映っていました。笑)

 

結論を言うと、今回の公演は「リモート演奏」だったようです。

近年の”NHK紅白歌合戦スタイル”と言いますか、指揮者含む演奏者たちは別室で生演奏していた、というカラクリでした。

カーテンコールの時に、ステージ上のスクリーンに各演奏者達が観客に手を振る姿が分割画面で映し出されておりました。(指揮者の方はステージ上に登場し、キャストと共にカーテンコールに応えていました)

 

終演後、キャストの名前等が確認できるモニター画面を確認してみたところ、演奏者リストも表示されており、どうやら8人編成で演奏していたっぽいです。

オーケストラというより管楽器数名を含むバンド編成といった感じですね。

だからエレキギターがかなり前面に出たロック色強めなアレンジだったんだなぁ、と納得。

それにしても8人編成にしてはサウンドも分厚く、めちゃくちゃハイクオリティな演奏でした!

しかしそうなってくると、シンセの人…相当な仕事量だったはず。。。(笑)

 

 

 

そして今回のハンブルク公演、最大の驚き。。。

 

それは「チャラめのスカしたイケメン(次第にエルファバと真の愛に目覚める…)」という設定で、通常ならば正統派イケメンがキャスティングされる役柄である”フィエロ”。

 

 

ハンブルク公演のフィエロはこちらです!(見て頂いた方が早いので、よろしければぜひご覧下さい)

 

こちらの予告動画ではチラっとしか映っていませんが…

 

 

よりハッキリわかるのがこちら。

 

溢れ出る”輩感”&オラオラ感”…!(笑)

 

最初ステージに現れた時、

「フィエロ…?!あれがフィエロなの…?!?!」

と、思わず2度見、3度見してしまいましたあせる

 

作品の本来の雰囲気からすると、異分子感が半端ない。(笑)

そして、このテのタイプの男性(主に中東系)、ハンブルクの街でめっちゃ見掛ける…!!(笑)

既視感に観劇中も心の中で笑いが止まらない。。。(笑)

 

このキャスティングがもう個人的にはツボ過ぎて(公演後、夫も同じ思いだったことがわかり、この件で大いに盛り上がりました/笑)、ある意味このキャスティングに最もドイツらしさを感じ、新演出の「核」となっていたのが、正に彼をキャスティングしたことなのではないか?と思えるほど、フィエロが彼だったことで現代風の新演出にしたことが大いに活きていた気がしました。

(エルファバとグリンダはWキャストですが、フィエロ役は彼一人だけのようです)

 

ちなみに後から調べたら、フィエロ役の方はオランダ出身の俳優さんだとわかりました。

他の主要キャストもオランダ出身率が高めでした。

 

 

初めて観る「Wicked」がこの新演出版だと、もしかしたらちょっと微妙…というか、いろいろ誤解されてしまいかねない点があるのではないか…?という懸念もあるのですが、オリジナルの演出を知った上で観る分には、お得感&満足感満載の内容で、観に行けて本当に良かったなぁ~と思いました爆  笑

 

 

 

公演終了後はすっかり暗くなっており、劇場もより雰囲気ある感じに。

 

 

なんとか本帰国までに、港にある劇場で上演中の「アナと雪の女王」と「ライオンキング」も観に行きたいなと思います音譜