先週、島村楽器にて、講師会員限定のセミナーがなんと無料で行われるということで、本日参加してきました。

 

講師はヤマハクラビノーバデモンストレーター・ヤマハ音楽教室システム講師などをされている、真弓朋子先生。

今回はこの「電子ピアノを知り尽くした先生」による、電子ピアノを使って練習している生徒に起こりがちな問題とその解決法についてのお話を約2時間に渡って聞くことが出来ました。

 

今の時代、自分の教室の生徒の半数以上が電子ピアノを使用しているという状況がわりと当たり前なのではないでしょうか。

 

そして、ひとくちに「電子ピアノ」と言ってもそのクオリティは本当にピンキリで、おもちゃのキーボードと性能的にそんなに変わらないようなものもあれば、「ハイブリッド・ピアノ」と呼ばれているような、鍵盤の構造自体は本物のピアノと同じものを採用している、それこそヘタなアップライトなんかを使うよりもよっぽど良いと思えるようなものまで様々です。

 

また、セミナーでもお話しされていましたが、子供の生徒が「うちにはピアノがある!」と自信満々に言っていたとしても、それが果たして本当にピアノなのかどうか…?もはやそこから疑った方がよい時代に入っているようですあせる

「ピアノ」と言い張っているソレが、実はピアニカだったりお母さんが「ピアノ」とマジックで書いた紙鍵盤だったり。。。(笑) まぁそれは極端な例であるとしても、自分の生徒が所有している楽器というのは出来る限り具体的に調査・把握しておく必要があるなぁと再認識しました。

 

 

セミナーでは、自宅で電子ピアノを使用している生徒に見られがちな特徴、現行で販売されている電子ピアノの性能、昔の製品との違い、電子ピアノの生徒を上達させるための方法などなど…実に有益な情報をいろいろ得ることが出来ました。

 

セミナー会場にはヤマハの4種類の電子ピアノが用意されており、セミナーの最後には参加された講師の方々と3人ずつのグループに分かれて、1台のピアノを3人で演奏できる簡単な楽譜を初見で演奏、それで4台のピアノをグルグルとローテーションして弾いてみることで、実際にそれぞれの電子ピアノの特性を実感することが出来る時間も設けて頂きました。即席セッション気分でちょっと楽しかった♪(笑)

 

 

そんな今回のセミナーでいちばん強く感じたことは、

「今時の電子ピアノって、思った以上にまだまだ発展途上なんだ…ガーン

ということ。。。

 

正直、現行品だったら10万円も出せば最低限の機能を備えたものが購入できるのかなと思っていました。

ところが、販売価格が10万円を少し超えるようなものでも、スタッカートが性能上不可能だったりペダルの造りがあまりにお粗末だったり、、、

 

そしていちばん戦慄が走ったのは、エントリーモデルとして大人気のヤマハのArius(アリウス)YDP-163が、ダンパーペダルを踏みっぱなしで弾き続けても一切音が濁らず、綺麗な響きを保っていたこと。。。叫び 

同じ演奏方法で本物のピアノを弾いたらどうなるか……恐怖。。。そして当然、音色を聴く耳も育ちませんよね。。。

(加えて、YDP-163はスタッカートも出来ませんでした…)

 

総合すると、最低でも15万円以上、出来れば20万円以上の電子ピアノ(しかも古い機種ではなく現行品)をチョイスしないと、「最低限の性能」を備えた電子ピアノには行き当らないのかな、という感じがしました。(このあたりは、実際に楽器店で実物をどんどん試奏して検証する必要がありますが)

 

 

また、技術が足りなくても弾きやすくなるような工夫、例えば鍵盤の奥の方を押さえても重みがなく簡単に音が鳴る、爪が伸びていても鍵盤がカチカチ鳴らない等、「小さな親切大きなお世話」的な性能を備えた電子ピアノも多く出回っているようです。

 

 

大人の生徒さんが完全に趣味だと割り切って楽しまれる分には、自分のお給料の中からなんとか捻出できるかな…という5~6万程度の電子ピアノをチョイスするのは、個人的には大いにアリだと思っています。

 

ただ、あらゆる可能性を秘めた小さな生徒さん達にとっては、最初の楽器選びを間違えると、とんでもなく悲惨な結果に終わってしまうこともあるため、そういった事態を極力避けるためにいかに講師がスポンサーである保護者を上手く導けるかが非常に重要だなと、強く感じました。(そのためのちょっとしたワザなども教えて頂きましたが、これが通用するかはケースバイケースでしょうね)

 

 

 

結婚前に教えていた私の生徒の中にも、家にはおもちゃのキーボードしかない環境でレッスンを続けて、1~2年ほどでお母様から「なかなか上達しないので辞めさせます」と言って辞めていかれたケースが2件ありました。

 

そのうちの1件の方(カルチャーセンターで教えていた生徒)なんかは、ある日突然レッスン日に生徒から「なんか、今日が最後なんだって~」と言われ、なんの心の準備もないままレッスンが強制終了。その最後のレッスン後にもお母様から直接のご挨拶等もなく…と、本当にやり切れない気持ちになったことがありました。

 

しかも、いずれの2件も私から見れば、家にキーボードしかない割には順調に上達しているという実感があったのと、生徒自身は(いずれも男の子でしたが)私にすごくなついてくれており、最後のお別れの時もまだ事態がしっかり呑み込み切れていない戸惑ったような表情を見せていて、もう悔しいやら切ないやら虚しいやら……正直もう、最初から「キーボード以上の物は買いません」というスタンスでピアノ教室の門を叩くような方は、お互いの為にも受け入れるべきではないのかなと思うようになりました。

 

 

上記とはちょっと違うケースとして、これはつい最近私の教室で起こったことなのですが、この4月から通い始めている女子高生の子。

幼少の頃に1年だけピアノを習っていて、今になってもう1度やってみたくなったということでレッスンすることになったのですが、自宅にはピアノが無いということで、自分でバイトしたお金で5~6万の電子ピアノを買うつもりで島村楽器に行ったりしてどれを買うか選んでいるところでした。

 

生徒:「こないだ島村楽器に行って、良さそうなのが2つあってまだ迷ってるんですー」

私:「そうなんだ。もし機種名がわかればどっちが良いかアドバイス出来ると思うから、わかったら教えてね~」

 

なんてやり取りをしていました。

 

しかしその翌週。

「ピアノ、どれ買うか決まった?」と訊いてみると、

「それが、、、うちの両親が私の誕生日にサプライズでキーボードをプレゼントしてくれちゃって。。。(^ ^;;」

…と、なんとも苦い顔で報告してくれましたあせる

 

後日、そのキーボードの取説を持ってきてもらいましたが、2万円程度で買える61鍵盤のいちばんよく見かける感じのカシオのキーボードでした笑い泣き

その女の子も、親からの好意での物だけに「コレじゃない!!」とも言えず、複雑な面持ちでした汗

 

 

生徒が持っている楽器についてしっかりと把握し、それを踏まえた内容のレッスンにしていくということをこれまで以上にこだわって取り組んでいく必要があるなと痛感したセミナーとなりました。

 

今回は恐らくヤマハの商品のプロモーションも兼ねたセミナーということで無料だったんだと思うのですが、他メーカーの電子ピアノの性能についての紹介もありましたし、決して他メーカーをあからさまにディスってる風でもなかったですし、レッスンに直接役立つ情報満載の内容だったので、迷わず参加して本当に良かったですグッド!