6月初旬の話になってしまいますが、度々ブログに登場する近所にあるイベント会場にてバリー・マニロウのコンサートがあったので行ってきました。


メジャーどころのアーティストのライブは昨年8月のトーリ・エイモス以来。

その時と同様にこの日は夫に早めに帰って来てもらい、娘のお世話をお願いして出掛けました。



バリー・マニロウ。超大御所歌手ではありますが、日本での知名度ってどれぐらいなんだろう?

スタイルとしては個人的にはエルトン・ジョンやビリー・ジョエルに近い気がするのですが(でもジャズ含めあらゆるジャンルをこなす感じなので、フランク・シナトラ的でもある)、エルトン・ジョンとビリー・ジョエルは知っていてもバリー・マニロウは知らないっていう人が結構いるんじゃないか?というイメージ。


かくいう私も、敬愛するとあるジャズヴォーカリストの方がバリー・マニロウの曲をいくつかカバーされているのを聴くまでは全く知りませんでした。それきっかけでアルバムを買って聴くようになりました。


「歌の贈りもの」「哀しみのマンディ」などヒット曲も沢山あるのですが、多分日本人にいちばん馴染みがあるのは「コパカバーナ」じゃないでしょうか。

何年か前、キャメロン・ディアスが出演するソフトバンクのCMでも使用されてましたね。

でも、「コパカバーナ」の曲は知っていても、それがバリー・マニロウの曲であるというところまで認識している人は、とくに40代以下の世代になると少数派なのではないかという気がします。



そんなわけで、私がバリー・マニロウの曲を聴くようになったのも20代も半ば過ぎてからでしたが、アルバムを聴いてみると本当に佳曲揃いで、とくに気に入っていたものの何曲かはラウンジ演奏の仕事をしていた時に度々弾き語りしていました。


中でもお気に入りだったのは「Paradise Cafe」「Say no more」 という曲。

憂いがあってムーディーで夜のお店のBGMに最適!!って感じでした。



でも、一時期かなり聴き込んでいたバリー・マニロウではありますが、あまりバリー・マニロウ本人のことについてはとくに調べたりしたこともなかったので、経歴だとかアーティストとしてどういうポジションにいる人なのかとか、現在の活動っぷりというのは全く把握していませんでしたあせる


コンサート当日にウィキペディアなどで今更ながら調べたのですが、元々はシンガーソングライターとして長いこと活動してきたようですが(作曲家・プロデューサー業など、歌手として以外も幅広く活躍されてたようです)90年代に入ってからはカバー・アーティストに転向していたようです。


あ、あと、昨年秋に長年の仕事上のパートナーだった方と同性婚されたそうです。

この情報がいちばんビックリした。(笑)



で、コンサート当日ですが、会場に行ってみると、ある程度予想はしていたのですが見事にお客さんの年齢層があからさまに高い。(笑)

50・60・70代が中心という感じでしたね。そして夫婦とか友達同士など複数で来ている人が多数でした。

私だってもはや「若い」と言える年齢では全くなくなってますが、それでも確実に浮いてる…と感じてしまう雰囲気でした。一人で来てたこともあって余計。。。



7時半開演だったのですが、アメリカのライブは基本的に本人が登場する前にオープニングアクトがあります。

今回はサックス奏者デイヴ・コーズ率いるフュージョンバンドの演奏を聴くことが出来ました。

基本的にインストでたまにデイヴ・コーズ本人やキーボーディストがヴォーカルをとるものもありました。

往年のヒット曲のカバーが多かったですね。

あ、でもアナ雪の「Let it go」なんかもやってました。


演奏は当たり前のように激ウマで、バリー・マニロウの前座を務めるぐらいなんだから、この方たち自体も相当なキャリアの持ち主なのでは…?と思って、他のメンバーは名前がわからなかったのでとりあえずデイヴ・コーズだけ帰ってから調べてみたらやっぱりスゴイ人でした。


わかりやすいところでいうと、ボビー・コールドウェルの「Heart of mine」 でサックスを吹いてるのは彼だったようです。来日公演もちょいちょいしているみたいなので、日本でもそれなりに知名度と人気があるサックスプレイヤーということなのだと思います。


ちなみにこの方も何年か前にゲイであることを公表しているようです。



オープニングアクト終了後、30分のインターバルがあったのちにいよいよバリー・マニロウが登場。


もうね、なんていうか登場した時の佇まいが「これぞスター!!!!」って感じで、出てきただけでこんなに大物感が出せるってスゴイ!!!と、のっけからヘンな(?)感動をしてしまいました。


見た目の雰囲気は、布施明7:郷ひろみ3だな。と、実物を目の当たりにした瞬間に即座に思い浮かびました。(笑)


ライブ内容の感想は、細かいことを書き出すとキリがないので大幅に言いたい事をカットしますが、バリー・マニロウの歌は予想を遥かに上回る素晴らしさでした!!


私は彼の顔をCDのジャケットでしか知りませんでしたし、聴いていた曲も彼がかなり若かった頃のものばかりだったのですが、それと比べてのギャップがほとんど無い!!

かなり歳もいってるはずだけど、昔と比べてほんの若干のシャガレ感はあるものの、加齢による劣化をほとんど感じさせないどころか、今だからこそ醸し出せる味というのがすごく良い形で出ていたように思いました。まさに「劣化」ではなく「熟成」と言うに相応しいパフォーマンスでありました。


家に帰ってから改めてネットで年齢を調べて心底ビックリ!!

現在72歳ですと?!?!?

結構な歳だろうとは思ってましたが、思った以上に歳いってました。(^ ^;

いやいや、72歳であんな美声が出せるって…。曲の締めのロングトーンなんかも圧巻!!だったんですよ。自然体で喋る延長で歌っているようでもありながら、全身が鳴ってるなぁ~という感じがしました。

しかもビジュアル的にも全く余分な肉がついてなくすごくシュっとしてて。。。アスリート並みの鍛錬を日々重ねてないと絶対に不可能だと思いました。


コンサート中もあんまり長々としたMCは挟まずに、わりとサクサク次の曲次の曲と進んでいっていた上に、ステージの左右にある2台のピアノとデジピを曲によって行ったり来たりして使い分けてたり、バックコーラスのメンバーと一緒に振付しながら歌う曲もあったりと、とにかくよく動き回っていて、あれが72歳のパフォーマンスだとはにわかに信じがたい感じでありました。



個人的にいちばん感動したのは「Could it be magic(恋はマジック)」 の演奏。

この曲はショパンの「前奏曲第20番ハ短調」がモチーフになっている名曲であります。


スクリーンに40年前のバリー・マニロウのライブ映像が映し出されて、その40年前の自分とハモったりフェイクをかぶせたりしてデュエットするという演出だったのですが、コレがもう圧巻で、曲も大好きな曲だっただけにマジで鳥肌モノでした。

同一人物が歌ってるわけですが、なんだか親子対決を見ているような気分になりました。

そして今のバリー・マニロウ、若い頃に全然負けてない!

バリー・マニロウ自身に「負けてないぞ!」という自信がなければ到底出来ない演出でもありますしね。
そういう攻めの姿勢にもグっときてしまいました。



近所でなければ行かなかったかもな…と思いながら出掛けたコンサートだったのですが、行って本当に良かった!! ベテランの底力を目の当たりにする機会が得られて本当に幸運でした。